リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

日銀の株買い支えをやめてくれないと、株を買う気になれない

2020-08-11 | 一般
政府はNISA(小額投資非課税制度)の要件を緩和して個人の投資を活発にしようとしているが、アベノミクスが株の購入意欲をそいでいるのではないか。過去ブログでも書いたが、個人レベルでも改めてそう実感した。
アベノミクスのもと株価が好調などというが、日銀の場投資信託(ETF)などのため上場企業の多くで日銀が「大株主」になっている。そのことが適正な株価の形成という市場機能をゆがめている、ということはあちこちで語られている。
自分が株を買おうかと思ったとき、買った後に値下がりしてもらっては困るのであって、値上がりしそうなころあいや銘柄を見定める。だが今の株価が日銀の買い支えによるものだとすると、本来の株価ははるかに低いはずだ。今株を買えば、アベノミクスが出口に向かうときに値下がりして損をするのが目に見えている。だからアベノミクスが続いている間は株を買うという選択はありえない。今株を買う人は、アベノミクスが正常化することはないこと(またはソフトランディングというきわめて難しい出口戦略が成功すること)に賭けているということになる。
だが、アベノミクスが「戦後最長の景気拡大」(結局最長ではなかったが)といいながら、一向に出口戦略を取ろうとしない間にコロナショックを迎えてしまったことからわかるように、ばらまきによる景気下支えは続ければ続けるほど、日本経済の体質が麻薬のように依存症になり、やめられなくなる。個人の話でいうと、今株価を正常化すれば、今株を持っている人が大損をする。金持ちの投資家が損するだけならいいのだが(政府が気にするのはそういう人たちなのだろうが)、NISAとかに乗せられて個人でなけなしの資金で投資している人が増えているとなると、個人で損する人もそれなりに多くなっているだろう。
もちろん、株価の急落といったショックを起こさず、金融政策を正常化するソフトランディングが求められているのだが、それはきわめて難しい。せめてコロナショックの救済は、大企業や投資家よりも、困窮している個人を中心にしてもらいたい。
おりしも先日、コロナショックでマンションが値下がりするかと思ったが、それほど下がらず困っているという人の記事を読んだ。その人の購入予算は9000万円とかだったと思う。困っているといっても、庶民からは夢のような世界の話だ。「コロナ対策で日銀が上場投資信託(ETF)購入を増やして株価を支えているのは、企業と株主にお金を配るのと同じこと」(GLOBE 2020-8)。金持ちにお金を配るアベノミクスやコロナ対策はやっぱりおかしい。

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その他、「日銀」で検索すると関連記事があります。

追記:重田園江教授は、すでに投資している人々が株価優先のアベノミクスの恩恵を受けているため、何があろうと安倍政権に対して「沈黙の支持」を続けてきたと指摘する(朝日新聞2020-9-23夕刊)。株取引が最低100株だった昔と異なり、バブル後に作られたミニ株制度や、2018年からのNISAによる小口投資のため、多くの投資家が、有望企業を見極めるのではなく、平均株価と連動して儲けが出る分散投資をしていることが背景にある。だが教授も指摘するように、円安・株価が最も重要というのは当然のことではない。菅現首相は、9月8日に株価・円安をアベノミクスの成果として自賛する一方、「非正規雇用問題、過労死や長時間残業、外国人技能実習制度の問題、看護・介護・保育・教育などエッセンシャルジョブの低賃金」には触れなかったという。

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