リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

ローカル線の廃線は許せない……のか?

2017-07-02 | 一般
JR北海道が多くの路線を維持できない見込みだという.ローカル線の廃止やバスでの代替の話が出ると,不採算路線を廃止して生活の足を奪う利益本位のやり方は許せないという声が聞こえてくる.だが30年前に国鉄の民営化に反対だった私としては何をいまさらと思えてならない.民営化するということは利益を追求する普通の企業になるということであり,公益性の高い性格から純粋に利益だけで万事決めることは許されないだろうが,採算が取れない事業をやめるというのは当然の経営判断ともいえる.(批判されるべきはむしろ,採算を度外視して政治主導で新幹線を作り続けることではないか.)
人口減少の時代にあって,やはり路線によっては廃止という選択もやむをえない.電車がバス路線に変わると所要時間は長くなるのだろう.だがその一方で,きめこまかな路線や停留所を設定して電車にはできないサービスを設定することだってできるはずだ.また,電車程度に停車場を少なくして所要時間を短くした急行を導入するという選択肢もありえる.都市部でバスがいやなのは交通事情によって遅れが日常的になっていることだが,過疎地方ではその心配もないのではないか.
そんなふうにローカル線の廃止もやむなしと思っていたところ,交通経済学の専門家,宇都宮浄人氏の論考が朝日新聞(2017-7-1)に掲載された.それによれば,ヨーロッパでは採算が取れることは鉄道事業の前提とはなっていないらしい.社会インフラと位置付けて公的補助をするのが当然になっているとのこと.日本では交通分野の公的補助が道路に偏っているが,その一部を鉄道向けに振り向ければ新たな財源がなくても採算にこだわらず鉄道を維持できるという.では「民営」の看板は降ろすのかと気になるところだが,たしかに道路も含めた交通インフラとして公的資金の配分を見直すというのは目からうろこの視点だった.


関連記事:(2017年9月17日)
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 安倍1強につける薬はないか | トップ | 東京都民が「安倍1強」に鉄槌? »
最新の画像もっと見る

一般」カテゴリの最新記事