リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

コロナ感染拡大防止の基本的な考え方 ― 緊急事態宣言が遅すぎたのではない

2021-01-26 | 一般
菅内閣の緊急事態宣言は「遅すぎた」と思う人が80%に上るそうだ(朝日新聞2021-1-25)。昨年のときもそうだったが(過去ブログ)、私は遅すぎたとは思っていない。対策が後手後手に回って感染拡大を防げなかったことは批判すべきだが、菅内閣がどこを誤ったのかを正しく分析しないと今後に生かせない。
アベ・スガ内閣に批判的な私だが、経済を回しつつ感染拡大を防ぐという基本路線は正しいと思っている。野党は厳しい制限をかけて一気に抑え込むことを主張しているようだが、感染がこれだけ広がってしまっては、よほど厳しい外出制限をかけないと難しいのではないだろうか。絶対ダメとは言わないが、仮にそうするなら、どの程度制限すればどの程度の効果が得られるのか、専門家の意見をきちんと聞くべきだ。
菅政権の問題はやはり感染が拡大を続けてもGoToの停止をためらったことだろう。もともとコロナ終息後の支援策だったGoTo事業をコロナの真っただ中に始めた罪は大きい。(もっとも、私が一番気にしているのは公費を無駄に使ったという点であって、昨秋の感染が落ち着いた時期には、「旅行に行ってもいいよ」というメッセージを発する口先介入はあってもよかったと思う。だが、税金を投入して人の移動を促したというのはやはりありえないことだった。)

急遽コロナ抑え込みに舵を切った菅内閣だが、時短要請に従わない店や入院を拒否した人に対する罰則に頼るむきが気になる。たしかに正直者がばかを見るのでは困るが、そのために協力金を設けているのではないか。売り上げ規模によらず一律というのは改善の余地があるが、やはり罰則ではなく、協力に頼るべきではないだろうか。協力金といっても多くの店にとっては売り上げ減のごく一部しかカバーしないだろう。時短要請に応じるかどうかはやはり店の自主的な判断に任せるべきではないか。その一方で「会食は控えよう」というメッセージをしっかり発する。菅内閣の問題は、政府として発するメッセージがはっきりしないことだ。感染が拡大している時期にGoTo事業を続けたのはその最たるものだが、夜8時以降の会食だけ控えればいいのか、政府の発信ではどうもはっきりしない。政府の国民への要請の結果として客の入りが減ることに対しては補償はしない。(過去ブログなどでも書いたが、コロナによる売り上げ減を補償していったら、国民の生活を政府が丸抱えすることになる。支援が必要なのは間違いないが、補償はできない。)

政府の方針で特に気になるのが「店名公表」だ。これは世論によるバッシングを当て込んでいるように見えていやらしい。感染者たたきもそうだが(過去ブログ)、コロナに限らず、SNSでよってたかってたたくというのはやはり異常だと思う(過去ブログ)。

追記:新型コロナウイルス感染拡大に対応する特別措置法と感染症法の改正案が国会で審議されている(朝日新聞2021-1-30)。入院拒否に対して刑事罰まで課すことはさすがに取り下げられたが、50万円以下の過料という行政罰とされただけだ。疫学調査拒否についても30万円以下の過料、時短命令などの違反は30万円以下の過料などの罰則が盛り込まれている(朝日新聞2021-1-29)。正直者がばかを見る制度では困るが、かといって罰則に頼るのはいかがなものだろうか。罰則があることで感染を隠すようになれば、感染拡大防止には逆効果だ。また、世論のバッシングを助長することにもならないだろうか。


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