リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

まん延防止措置:時短命令より広域移動の自粛が重要ではないか

2021-04-10 | 一般
昨年と今年、二度の緊急事態宣言には遅すぎたとの批判があるが、私はそうは思わなかった。裏返せば、緊急事態宣言をしてもしなくても、自粛する人はするし、しない人はしないと思っていたからだ。その一方、先ごろの緊急事態宣言の小幅延長での解除は早すぎたのではないかと思っている。緊急事態宣言は、時短や休業の命令そのものよりも「今はやばいんだから我慢しよう」というメッセージとしての意義が大きく、その解除は「もう大丈夫」という誤ったメッセージを発することになってしまう。新型コロナウイルス感染者が増加傾向にあった時点での宣言解除はやはり問題があったのではないか。
そして今、大阪などから始まって東京でもまん延防止措置が適用されることになった。緊急事態宣言は飲食店、百貨店、映画館などを幅広く対象とし、営業時間短縮のほか休業命令も可能だが、まん延防止措置では飲食店などに対する時短命令ができるだけとなっている。緊急事態宣言が都道府県を対象とするのに対し、まん延防止措置は市区町村などの区域に対して適用できる。(朝日新聞2021-4-9
私は長らく、この「時短」の意義がわからなかった。緊急事態宣言で対象とされた百貨店や映画館について、営業時間を短縮すれば混雑はむしろ増すのではないだろうかと思っていたのだ。だが今考えてみると、飲食店での夜の営業をやめれば、夜外食しようと思っていた人が自宅で食事をするようになる、という意味で感染拡大防止の意味があるということなのだろう。時短は、営業しなくなった時間に利用するはずだった人たちが(時間を移すのではなく)利用しなくなる、という前提が成り立つ限りにおいて、意義がある。

だが大阪などでの変異株が流行している今、小池東京都知事のいうように、「都県境を越える移動」を控えることが重要ではないか。もちろん、飲食店と違って交通機関は止めるわけにはいかないだろうし、一律に都道府県境を越える移動を禁止するのも現実的ではない。昨年のように「何が何でも人と人との接触を7割減らす」というのではなく、感染リスクの高い行為に絞って規制をかけるというのもわかる。だが、広域移動に関しては、政府としてもっと積極的なメッセージを発するべきではないだろうか。
このたび小池知事が急遽東京都へのまん延防止措置の適用を要請することにしたのは、関西圏と東京との間の移動を控えるよう政府として訴えるよう求めたのに、政府の発信が鈍かったからだという(上記朝日記事)。もしそうだとしたら、菅首相が広域移動の自粛を訴えないのは、昨年のGoTo中止が遅かったことへの批判につながることを恐れて必要な対策を怠っていることになるのではないだろうか。

追記:投稿後に朝刊を見たら、菅首相は昨日、「都道府県間の移動について極力自粛してほしい」と記者団に対して述べたという(朝日新聞2021-4-10)。

追記2:どんなに時短しても、会食したい人は昼飲みをしているから意味がないのではないかとの疑問はやはり出ていた(朝日新聞2021-4-15夕刊)。さらに「ラーメン店など短い時間で会話が少ない業態を同じように扱うかは議論が必要」とも。たしかに複雑すぎる制度もよくないが、経済と感染防止の両立の上で、まだ工夫の余地がある。

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