リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

菅首相訪米は、自主外交を取り戻すチャンスを逸したのか

2021-04-19 | 政治
いくらきれいごとを言っても政治は力関係がものをいう。辺野古埋め立てや米軍機の超低空飛行など、日本政府の対米従属ぶりはひどいものだが、中国の脅威が増す一方、国力が低下する一方の近年、アメリカの軍事力に頼らざるを得ない日本はどうしても強い態度に出られない。
もちろんアメリカが日本に基地を維持することはアメリカの世界戦略の上で重要なのであって、安保条約は日本がアメリカに守ってもらうばかりの「安保ただのり」論は失当なのだが、昨今の米中対立にあってアメリカにとっての日本の重要性が高まっているということを遅まきながら気が付いた(朝日新聞2021-4-18同社説)。
菅首相がバイデン大統領が初めて対面会談する外国首脳となったことで、日本の国際的地位も捨てたものではないと思われたが、アメリカとしては日本に対する注文があったからこそそうしたのだ。日本側は「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」構想や「尖閣諸島への日米安保条約第5条の適用」などを確認したが、こうした成果は単に再確認事項が多い(同2面)。その一方で、台湾問題でアメリカ側に立つことを表明させられた。これまでも「台湾環境を巡る問題の対話を通じた平和的解決を促す」(2005年の日米共通戦略目標)との文言が使われたことはあったが、あくまでも第三者的な立場で平和的解決を促すというものだった。だがこのたびの日米共同声明では「日米両国は台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促す」となった。「日米」が連携して「平和的解決を促す」という今回の表現では、日本はアメリカ側に立つと宣言しているように聞こえる。日米首脳間の文書に「台湾」が明記されたのは初めてのことだそうだ。当然ながら中国は猛反発しており、中国外交筋は「台湾に手を出すという意味を日本はよく考える必要がある。これは釣魚島やウイグル族などの問題の比ではない」と警告するが、アメリカが起こす紛争に日本が巻き込まれる危険性を高めてしまったのではないか。
菅首相は外交が苦手との世評だと聞く。十分な準備なしに会談に臨み、多数の「再確認」と引き換えに、台湾問題に引きずり込まれてしまったのではないか。
まだ間に合う。共同声明は「中国との率直な対話の重要性」も謳っているという。中国の横暴が看過できないのはもちろんだが、日本と中国の結びつきはアメリカ以上のものがある。アメリカの言いなりになるのではなく、重要性を増した日本の立場を自覚し、自主的な外交によりアメリカと中国のかけはしになるような役割を果たせないものか。それとともに、これまでアメリカのいいなりだった在日米軍に関わるさまざまな問題で、もっときちんとした主張をするべきだ。当面、米軍駐留費の協定の更新が話し合われるだろうから、法外な値上げを飲まされることのないよう、心して交渉に臨んでもらいたい。(値上げしなければいいというものではなく、値下げにも踏み込むべきなのだが、まだそこまでいう力はないのではないかと思う。)

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