ひとつ前の記事で 採血検査で癌の早期発見は現時点では難しい というお話を書きました。
それでも唯一 採血検査で早期発見することができるのが、前立腺がんのPSA検査です。
今日は前立腺がんのお話を書こうと思います。
詳しくは泌尿器科が専門になりますので、私の知っている範囲でのお話です。
日本人の前立腺がんですが、年間死亡者数は1950年には80人あまりでした。ところが、現在は1万人を超え、いずれは2万人に到達すると言われています。
日本人の前立腺がんの志望者は増加の一途をたどっています。前立腺がん患者さんの増加の理由ははっきりとはわかっていませんが、欧米にも前立腺がんの患者さんが多いことや日本人の食の欧米化などから 食生活が影響しているのではないかと言われています。
前立腺は生殖器官の一部で男性だけにあります。前立腺から分泌される、前立腺液は精液の一部となり卵子との受精を助ける働きがあります。
前立腺がんはこの前立腺に悪性の腫瘍ができることを言います。
ちなみに前立腺肥大はまた別もので、良性の前立腺が大きくなる病気です。前立腺が肥大することで尿漏れや頻尿といった症状が出ることを前立腺肥大症と呼びます。前立腺肥大症が前立腺がんになることはありません。病気の発生部位がそもそも違うからです。肥大は内腺・がんは外腺です。
前立腺がんは早期で発見できれば高い確率で治療が可能です。しかし、初期では全く自覚症状がないので、健診で早期発見する以外に自覚症状で発見することは難しいと言われています。
先に述べたように、前立腺がんの早期発見にはPSA検査が最も有効です。PSAというのは前立腺から分泌される糖タンパクのことです。前立腺がんを発症すると血液中のPSAが増加するため、採血検査でPSAを調べることで高い確率で癌の早期発見につながります。
PSA検査はスクリーニング検査といわれるもので、前立腺がんの疑いがある人を見つけ出す検査です。少量の血液からの血液検査で行われ、検査を受ける人の負担も少ないです。欧米では前立腺がんの発症者が多く、早くからPSA検査を取り入れられています。日本ではまだまだ健診項目で毎回採血しているという人は少ないので、当院では必要に応じて定期受診の際の採血で検査をするようにしています。
前立腺がんは40歳代までは少ないですが、50歳を超えてくると患者数が増加します。そのため、年齢を重ねれば定期的に数値の変化を見ていく必要があると思います。50歳を過ぎた男性は年に1回はPSA検査を受けることをお勧めします。
健診でもいいですし、かかりつけの病医院(泌尿器科でなくとも採血なので検査可能です)で検査が可能ですので気になる方は相談してみてください。
もちろん尿の症状がある方は泌尿器科受診をお勧めします。