再読のための覚え書き
佐藤春夫詩集
佐藤春夫(1892-1964)
堀口大学編
佐藤春夫の小説を二作読んだので、次に詩集を手に取った。
谷崎潤一郎の妻に恋をして、その気持ちをうたった詩の数々は、せつなくて美しい。
口語体の詩が流行る時代の中で、敢えて、文語体で形式的な詩を書いた。
《水辺月夜の歌》
せつなき恋をするゆゑに
月かげさむく身にぞ沁む。
もののあわれを知るゆえに
水のひかりぞなげかるる。
身をうたかたを思ふとも
うたかたならじ我が思ひ。
げにいやしかるわれながら
うれいは清し君ゆえに。
《願ひ》(一部分)
大ざつぱで無意味で
その場かぎりで
しかも本當の
飛びきりに本當の唄をひとつ
いつか書きたい。
神さまが雲をおつくりなされた氣持ちが
今わかる。
2021.10.3読了
佐藤春夫詩集
角川文庫
昭和33年6月10日初版発行
昭和39年5月10日10刷
旧仮名遣い
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