再読のための覚え書き
雲の墓標
阿川弘之（1920-2015）
京大文学部の学生たちが海軍の飛行部隊に配属され、出撃するまでの日々と懊悩を、日記と手紙の形で描いた作品。
戦争の愚かさというよりもむしろ、騙す者たちの悪辣さと騙される者たちの劣弱さが、作者の良心であろう時折り挿入される手紙によって浮き彫りにされる。
では、現在の「戦時下」にいる私たちはどうか。外電に耳を貸さず、疑うことなく大本営発表を鵜呑みにし、自己の免疫系を自ら抑制する私たちの哀しさはいったい何だ。
2022.12.14読了
雲の墓標
新潮文庫
昭和33年7月20日初版発行
昭和42年7月30日14刷
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