再読のための覚え書き
下町
林芙美子(1903-1951)
《下町 ダウン・タウン》
りよは、郷里の静岡の茶を東京で売り歩いて生計を立てている。
りよの夫は戦争でシベリヤに抑留され、出征からもう6年も帰ってこない。
りよはある時、鉄材置き場の人夫の鶴石と出会うが、鶴石もまたシベリア抑留の経験があった。りよは次第に鶴石と親しくなり……。
《匂い菫》
つたは、歳の離れた老人に囲われている。
つたには頼子という娘がいるが、かつて愛人の気を繋ぎ止めるために妊娠を偽って人から赤子を譲り受けた。それが頼子だった……。
いずれも女性の深い心情を捉えた好短編。
その他、「軍歌」「折れ葦」「御室の櫻樹」を収録。
2022.12.25読了
下町
角川文庫
昭和32年5月30日初版発行
旧仮名遣い
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