勝手にお喋りーSanctuaryー

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「誰にでも秘密がある」の原作映画

2005-09-15 | 映画のお喋り
ちなみに私は「誰にでも秘密がある」は未鑑賞だ。
後半部分はストーリーが変わっているらしいので、見てない私には何とも言えないが、原作映画を見た限り、これじゃ「韓流ブーム」に乗った人にはきつかったんじゃないかと思う。

だが、原作「アバウトアダム」は面白い。
ケイト・ハドソンなども出演してるのに、なんでこの映画が劇場未公開なんだろう。
それにしても私のマイナー志向は止まらないなあ。

 『アバウト・アダムーアダムにも秘密がある』 2000年  
          アイルランド・イギリス・アメリカ合作映画
 監督:ジェラルド・ステンブリッジ
 出演:スチュアート・タウンゼント、ケイト・ハドソン、フランシス・オコナー、シャーロット・ブラッドリー

ストーリーは、よくあると言えばよくある手法だが、3姉妹と弟ひとりが、それぞれの視点から見たアダムとの関わりを描いている。
4人の兄弟姉妹が、アダムに対して抱いている共通認識は、「ヴィンテージ・ジャガー」に乗る男。
その一点のみだ。

第1章は末娘ルーシー(ケイト・ハドソン)編
彼女はアダムをひたすら内気で誠実な男だと思い込んでいる。
それまで遊びで付き合っていた男たちと違って、がっついて来ない。
デートにも誘えず、自分がリードしてやらないと何も出来ない男。それがアダム。
*ジャガーについて:両親がなくなった後、思い出としてその遺産を全部はたいて、父が母に買い与えることを夢見ていたジャガーを買った。

第2章は次女ローラ(フランシス・オコナー)編
堅物で文学の修士論文製作中のローラは、運命的で情熱的な恋を夢に見ている。
妹から紹介されたアダムは、どこか暗い影の付きまとう謎めいた男。
彼女が論文テーマに選んだ女流詩人の詩を暗誦するようなロマンチックな男。
話の途中で席を立ち、車の中で泣いているどこか庇ってあげたいタイプに見える。
*ジャガーについて:母は幼い頃になくなり、育ててくれた父が免許を取った日に買ってくれた。父はその後失踪し、彼の心に深い傷を残してる。

第3章は弟デビッド編
3人姉妹の末に生まれた唯一の男デビッドは、常日頃から男兄弟を望んでいた。
出来ればどんな相談にも乗ってくれる兄貴が欲しい。
彼はアダムにガールフレンドとの仲が進まないことを相談する。
親身になってくれる優しいアダム。女の扱いも手馴れたものだ。
いったんはガールフレンドを奪われたと思ったものの、結局彼女はデビッドの許へ。
アダムってなんていい兄貴!

第4章は長女アリス(シャーロット・ブラッドリー)編
平凡で面白味にかける夫にうんざりした毎日を送るアリス。
心のどこかで乾いた心を満たしてくれる素敵な男性との出会いを望んでいる。
初めはアダムの誘いを退けたものの、単なる遊びの関係と割り切っている彼に身を委ねる。
火遊び上手だが、常識を持った信頼のおける青年と思ってる。
*ジャガーについて:両親と姉をこの車の事故で亡くす。特別な思いを抱いた彼は、遺産を全て使って、このジャガーを修復した。

ジャガーについてのそれぞれの認識。
これがアダムに対する見方の象徴だ。
もちろんアダムは相手によって微妙に話を作り替えている。
真実は誰にもわからない。と言うより、単なるナンパ道具かもしれない。
ルーシーは父の願いをかなえる為にジャガーを買ったことを、彼の『優しさ』と捕らえる。
ローラはジャガーを買い与えた後、何も言わずに失踪した父親の思い出を引きずり、自分を責める彼の『孤独』と捕らえる。
アリスは父母と姉を奪い去った車をわざわざ修復する、彼の『複雑さ』と捕らえる。
この辺の作りが上手い。
女性が男性に求める三つの要素を、アダムはひとりひとりに分け与えてるのだ。
「優しく思いやりに溢れ」「孤独の影があり」「複雑な心理を抱える」男。
それがアダムなのだ。

ラストは結局四角関係がバレて、ドタバタになるのかと思ったら。
なんと言うハッピーエンドだろう。
でも不幸になった女性は一人もいないんだから(弟を含めて)、確かにハッピーエンドなんだよね。

もしもアダムが私の前に現れたら?
私は彼をどんな男性と思い込むのだろう。
それがきっと私の理想で、アダムは見事にその男性を演じてくれることだろう。
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