アジアはでっかい子宮だと思う。

~牧野佳奈子の人生日記~

ハーバル=薬草で身体を癒す

2008-08-31 | その他の国の旅
『ハーバル』というのは、スリランカで日常的に使われている薬草のこと。
スーパーに売っている国内産の石けんやシャンプーにも普通に含まれている。


この『ハーバル』をふんだんに使ったハーバルオイルマッサージが、これまたGOOD。

薄暗い部屋に干し草のような独特の香りが漂い、露呈した裸体が次第に滑らかなオイルを浴びていく過程は、自分の肌と筋肉と内蔵と五感の全てを自然の力に委ねることに等しい。

ちなみに薬草といっても漢方の香りとは全く違い、草原のような “緑な” においがする。





一見ふつうの家を装ったそのマッサージ店に入ると、ロビーから部屋に向かう廊下一面にそのハーバルが敷き詰められて、「ここはまさにハーバル王国」といわんばかりの怪しげな雰囲気を演出している。

マッサージしてくれるのは、よく訓練された地元のおばちゃん。
リゾートの高級マッサージ店ではないので決して愛想は良くないが、ぶっきらぼうにも丁寧な手つきで全身の肉を見事に揉みほぐしてくれた。


マッサージの後はバスタオルを巻いて薬草サウナだ。

日本ではあり得ない程の簡素なサウナ(扉もきちんとは閉まらない)に入ると、その地面の真ん中に四角くて大きな穴が空いていて、その穴を覆うように大量のハーバルが敷かれている。どうやらこの穴から蒸気が出ていて、蒸し状態になったハーバルが効能のある香りや成分を室内に放出している、という仕掛けらしかった。





そしてその生温いサウナが済むと、今度は本格的個別のスチームサウナ。

一人用のベッドに仰向けに横たわり、その上からまるで棺桶のふたみたいなものを被せられる。
その状態で30~40分身体を蒸され、薬効と共に汗を絞り出すというわけだ。

ちなみにハーバルマッサージで最も人気かつ効果的なのは、その後にやる「シロラーダ」というもの。
額の真ん中に温かいオイルを少しずつ垂れ流しにするのだが、なんせ薬効のあるオイルを多量に使うので料金別途で非常に高い。

金額的な理由で断念した私は、店のオーナーのご好意で5分間だけ体験させてもらった。

すると・・・、確かに気持ちがいい。

20cm程の高さから額目掛けてオイルが落ちてくる何ともいえないスリル感に加え、その温かい感触、柔らかさに不思議な気分を味わう。そしてそれが次第に快感に変わっていく頃には、すでに額だけでなく全身が脱力状態の天国気分になっているのだ。


ちなみに私が払ったマッサージ料金は5000円弱。
シロラーダは別途3000円ほどだったと記憶している。

(恐らく店もしくは客(交渉力)によって金額は違う。別のホテルでは同様のマッサージが2000円程だった。)






マッサージでリフレッシュした翌々日、今度は薬草自体を育てている「スパイス・ガーデン」たる場所に足を運んだ。

スリランカの山間部では遠い昔から何種類もの天然薬草(主にスパイスやハーブなど)が自生しているらしく、スパイス・ガーデンでは観光客向けにそれらを育て自家製品を販売している。
細い道路沿いにいくつも並ぶ看板にはそれぞれ番号がつけられていて、ガイドの話では、政府が認めたスパイス・ガーデンには登録番号が与えられているのだとか。

私が訪れたのはナンバー1のスパイス・ガーデン。
ドクターと呼ばれている50代くらいの男性が、緑生い茂るガーデン内を丁寧に案内してくれた。





虫除けの効果があるという葉、風邪に効くというシナモンのオイル、関節痛など痛い患部に塗るとよいらしいオイル、脂肪を燃焼させるハーブ、コレステロールを溶かすというハーブ、体毛を溶かす樹液・・・。


それらの匂いを嗅いだり舐めてみたりすると、どこかで身に覚えのあるものが多い。

虫除けに効く葉は、確かにムヒの匂いだ。

痛み止めのオイルはタイガーバームの匂い。

毛を溶かすというクリーム(既に製品になったもの)は、かすかに除毛剤の匂いがする。


・・・そうか。
私が知っている様々な化学薬品は、元々はこうした天然素材でできていたんだ。






ガーデンを一通り回ったあと、ドクターは私の足のすねに白いクリームを塗った。

15分後、ドクターがティッシュペーパーでクリームを拭き取ると、全く手入れされていない私の醜い足のすねは、その部分だけ驚くほど綺麗さっぱりと “ツルっツル” になっていた。
市販の除毛剤より効果的に、匂いは少なく、しかもその後洗う必要はないのだという。当然、痛みもない。


ドクターの説明終了後、私がその場で大量にハーブ製品を購入したのは言うまでもない。

天然の薬草に、乾杯(完敗)。


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