アジアはでっかい子宮だと思う。

~牧野佳奈子の人生日記~

ホームステイにしませんか?

2008-04-14 | ボルネオの旅(-2009年)
ボルネオ島の北部・サバ州は、キナバル山をはじめ何かと観光資源が豊富なところだ。

そこで、観光旅行の際のおススメ情報をひとつ。

ボルネオを訪れるなら、宿はホームステイにするといい。
観光に力を入れているマレーシアでは、民家に泊まって生活や文化を丸ごと体験できる「ホームステイ」に力を入れていて、個人で看板を上げている宿のほかに、国家プロジェクトで4つの地域が支援されている。


私が訪れたのはそのうちのひとつ。
サバ州の首都・コタキナバルから車で40分ほどのところにあるPAPAR(パパー)という町。
その一角にあるコミュニティで、6年前にホームステイプロジェクトは始まった。





ホームステイというと、外国人を一般家庭に招いて数泊の間面倒を見る、というのが日本でのイメージだが、ここでは「ホームステイ=民宿」の意味合いだ。
つまりホストファミリーはいつでも宿泊客を受け入れられるように部屋や観光プログラムを用意していて、ただホテルと違う点は、その地域ならではの家庭料理が食べられること、そして家族との会話を楽しめること。

更にPAPARでは、ひとつの家庭だけではなく複数の家庭が一緒に客をもてなす “地域ネットワーク” もつくられていた。


日本でも同じようなニーズがボチボチと高まっているところ。
“田舎暮らし体験” や “農業体験” “グリーンツーリズム” の先には、民家に泊まってその土地の人と触れ合うことが期待されているし、農水省も田舎の活性化につながるとして、その受け皿づくりに力を入れている。


けれど、「地域で客をもてなす」というのは一体どういうことなのか・・・?

英語では「Community Business」と呼ばれるその具体的な取り組みを、私はここPAPARで初体験することになったのだった。





まず私が宿泊した家は、ここの地域ネットワークのコーディネイターを務めているウィリアム家。家主である彼が、この地域全体のホームステイ客の誘致と割り振りを行っている。

各ホームステイ先の家族はオペレイターと呼ばれ、必要に応じて会議が開かれたり役割分担されたりする。
そして集落の中心にあるインフォメイションセンターでは公式なイベントが開かれる他、集団で訪れた観光客への文化披露なども行われるという。


私が宿泊した1日目の夜。
ウィリアムが近所のオペレイターを夕食に招き、大勢での即席歓迎パーティの開きとなった。

ウィリアム家は仕事を退職した夫婦2人だけだが、他のオペレイターが家族を連れてやってくることで子どもから大人まで様々な顔が揃う。
この辺りにはどんな人が住んでいるのか、どんな近所付き合いをしているのか、地域のことをまだ良く知らなくても、彼らの表情や話し方を見ているだけで一気にその地に深く入り込めたような気分がする。

そして、この地域の主要民族であるKadazan(カダザン)族の衣装を着て写真撮影。
黒くてごついキツキツの布地にカラフルな刺繍、頭には農作業で使う菅笠のような素朴な帽子をかぶり、皆にはやし立てられながらご近所家族の若い息子さんとツーショットを撮ったり・・・。

こうして地域の人たちの顔を知り、彼ら同士の絆を見て、さらにKadazan族の文化を体験することもできるのだ。




そして3日目の夜。
再びオペレイターの家族や近所の人が集まり、今度は伝統食のSago(サグ=ヤシの一種)やココナッツを使った料理と、民族ダンスの披露が催された。








ちなみにこの Sago というは白い粉みたいな形で売られていて、それをお湯に溶かして練り、スープに浮かべて皿に盛られる。味は淡白で「美味しい!」という感じでは・・ないが、まぁ、こうした質素な食事が伝統なんだな、ということを舌で理解することができる。
ちなみにちなみに、ココナッツの内皮を削って焼いたものも、まぁ、「美味しい!!」という感じでは、残念ながらない。





ところでこうしたサプライズはどうやらプログラムのひとつとして用意されていて、どこかの家に客が来れば皆が協力して文化体験を提供することが、この地域の売りでもあるようだ。
そしてその収益は地域コミュニティの収入として還元され、メンバー同士の結束を強めていく。

またコーディネイターのウィリアム氏は、観光客にひとつのホームステイ先だけでなく複数の家に泊まってみることを勧め、各オペレイターにお金が回るよう配慮していた。
それは文化体験でいろいろな人の顔を見れるからこそできることで、観光客にとっても、次は誰々の家に泊まってみたい・・とリピート率を上げる結果になる。

実際、次はダンスを教えてくれた若い家族の家に泊まろう~♪と、近々再びPAPARを訪れる約束をしている私・・・。

「地域を知る」ということは、「地域に住む人を知る」ということだ。
そしてそれが最も観光客の心に印象を残し、“また来たい” と思う原動力になるのだと思う。





PAPARを訪れる日本人観光客は年間100人ほど。その一部は何度も足を運んでいるリピーターだという。
この地域の人が日本語を話せるわけではなく、旅行代理店が宣伝しているわけでもない外国の田舎町に、毎年100人の人が訪れているのだ。


ボルネオ島にいらした際にはホームステイにお泊まりなさい。
近所付き合いや親戚付き合いが希薄になっている日本で、ここを訪れる日本人観光客の多くが深い感動を味うことを、私が保証いたしましょう。

そして日本でも、人のつながりに感動できる温かいグリーンツーリズムが広がるといいなぁ。

・・・田舎にできることは、まだまだあるんだ!



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