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DAZN観戦 2021年J2リーグ第40節 愛媛FCvsSC相模原

2021-11-24 16:08:13 | サッカー視聴記(2021年J2)

※前回の愛媛の記事はこちら(35節・磐田戦、2-2)
※前回の相模原の記事はこちら(38節・群馬戦、1-1)

残り3試合、という所で発生した降格圏同士の直接対決。
ともに勝ち点34で、18位のクラブ(金沢)が勝ち点37という状況なので、解り易い「残留への蜘蛛の糸を掴む」べくの戦いとなりました。

高木琢也監督就任以降、秩序あるチーム作りの成果が表れてきた相模原。
ロースコアの接戦を演じる事で勝ち点を稼いでいるという印象ながら、時々カオスな試合結果が齎される事もあり。
32節・水戸戦がその発端で、取られたら追い付くの繰り返しをアディショナルタイムまで演じ、4-4というスコアでの引き分け。
この荒れ模様は功罪を齎し、36節・北九州戦(2-1)で逆転勝利を演じたかと思えば、前節・岡山戦(2-3)は逆に先行逃げ切りを果たせずの逆転負け。
非常にスリリングであり、傍らから観ている方は面白いですが、当事者としては計算し辛いのは困りものでもあり。
ただし既にリーグも最終盤で、どんな形でも良いから勝利が欲しい状況なので、この「総員突撃」ともいうべき前傾姿勢はある意味大事でしょう。
しかし流石にディフェンスのテコ入れが必要と判断されたか、3バックの中央には鎌田が久々のスタメンとなり、ベンチにはこちらも久々の梅井が入りました。

ともに3-4-2-1というフォーメーションで、かつ愛媛・相模原のどちらも「ある程度のボール保持はするが、ガチガチのポゼッションスタイルとは言えない」チーム。
それ故、ミラーゲームの特徴が色濃く表れる試合となりました。
立ち上がりはそのマンマーク状態を避けるように、お互いロングボール中心の組み立て。
相模原が1トップ・平松狙いのパスを中心としたのに対し、愛媛は2列目の近藤・川村を裏へ走らせるパスが中心となった入りを見せました。

いかにも狙いが解り易いですが、対処する側としてはイレギュラーに弱いという要素もあり。
それが起こったのが前半10分の相模原の攻撃で、右サイドでポストプレイの連続での前進から成岡が裏へミドルパスを送ると、受けるべき平松がオフサイドポジションに居たため走らず。
しかしそのために後方から受けに走り込んだ石田を愛媛サイドはケアできずとなり、フリーで奥で拾った石田がカットイン、エリア内からクロスを入れるという事態に。(ブロックされてコーナーキックに)
得た右CKで、クロスがクリアされた所を石田がミドルシュート(枠外)と、イレギュラーな事態からファーストシュートを生んだ相模原。

一方の愛媛、1トップ(吉田)を囮とするような攻撃を続けていましたが、16分に内田のスルーパスで吉田を走らせるシーンが生まれ。(繋がらず)
そして20分、右サイド後方から西岡が一気にエリア内へロングパスを送ると、走り込んだ吉田が中央からヘディングシュート。(GK三浦キャッチ)
距離がある浮き球のパスに点で合わせるという、こちらも相手が予測し辛い攻撃で好機を作った愛媛。

それでも基本はミラーゲームらしい睨み合いといった状況が長く続き。
飲水タイム(24分)以降は、愛媛がポゼッションに針が振れ始めます。
右センターバックの西岡が前に出る、右肩上がりの姿勢でパスを繋いでの組み立てが目立ち。
しかし相模原も無闇なプレスは掛けず、5-4-1のブロックで構える体勢を取る、一種の膠着状態に。
試合を動かすべく、35分に高木利弥(相模原・高木監督の息子)が右ハーフレーンからミドルシュート(枠外)、39分には川村が中央からミドルシュート(ブロック)と遠目から撃ちに掛かった愛媛でしたが実りません。

一方の相模原も、後方から繋ぐ姿勢を見せるも、愛媛のプレッシングの前に奪われるシーンが目立ち。
終盤の42分、ゴールキックからのロングフィードで、平松がフリックしたボールを拾った松橋が細かいタッチでの前進からシュート。(GK岡本キャッチ)
やはり効率が良いのはロングボールでの攻撃、という事が示され、以降相模原のターンとなるもシュートまでは持ち込めず。
結局スコアレスのまま前半終了と、負けたくないという意思が両チーム前面に表れる展開となりました。

共にハーフタイムでの交代は無く、迎えた後半戦もそんな状況は変わらず。
後方からショートパスを繋いでのビルドアップを展開するも、シュートは後半5分の川村のミドルシュート(枠外)と、遠目からのもののみとなった愛媛。
ロングパスを送り、そこから押し込んで攻勢を掛けるも、敵陣でのパスのズレが目立ち好機に繋げられない相模原。

愛媛のプレッシングも変わらない状況の中、相模原は9分にGK三浦の縦パスでプレスをいなしたのち、ショートパスを繋いでの攻撃を敢行。(シュートまではいけず)
しかし大まかな流れは変わらぬまま、双方最初にベンチが動いたのが12分。
相模原が清原→安藤に、愛媛が吉田→唐山へと交代します。

采配の交錯を経て、愛媛が唐山を絡めてのチャンスを演出。
13分に中央で近藤→川村→唐山とダイレクトで繋ぎ、そのまま唐山がエリア内へ進入するもGK三浦が前に出て抑え。
直後の同じく13分、ヘッドでの繋ぎを経て受けた唐山がそのままミドルシュートを放つもジャストミートせず。
途中加入以降、能力を発揮する事はするものの、肝心の得点には未だ辿り着けていない唐山。
藤本不在という逆境の中、その力が呼び起こされるのが待望されます。

その後相模原もやり返し、17分には最終ラインでの繋ぎから成岡が左サイドへロングパス、収めた平松のスルーパスに走り込んだ夛田がグラウンダーでクロス。
ニアサイドで安藤が走り込むもシュートは撃てず、GK岡本に抑えられ。
相模原もボール保持への意識が高まりつつありますが、以降愛媛の好機が続く展開に。
そうした状況で、22分に愛媛がこの日初のCKを得たというのは意外でしたが、相模原サイドもここまで2本。
共にCKの少ない展開で、ディフェンスの対応が光っていたという事でしょうか。

24分に飲水タイムが挟まれましたが、愛媛は内田・相模原は川上がともにピッチに倒れ込んでしまう状況でのブレイクとなり。
内田は自力で起き上がるも、川上は担架で運ばれる事態になり、明ける際に交代となります。(梅鉢と交代・同時に松橋→中山に交代)
しかし内田も、その後もプレーを続けたものの27分に再度足を痛めると、そのまま交代となり。
このタイミングで3枚替えを敢行(内田・山瀬・近藤→岩井・横谷・榎本)と、勝負に出た愛媛サイド。

交代でシャドーに入った榎本(川村がボランチにシフト)が、左からのカットインで抉る場面を作るなど、勝利へのゴールへと迫る愛媛。
その一方で、バックパスをGK岡本がトラップミスして相模原にCKを与えてしまう(34分)など、前掛かりの意識の功罪が表れつつありました。

終盤も目前となり、集中を続けていた守備力も低下が懸念される時間。
37分の愛媛、小原が右サイドをドリブルで仕掛けて一気にエリア内を突き、マイナスのクロスを入れるもブロックに遭い。
ゴールまで後一歩といったシーンが描かれると、直後の38分には今度は榎本が左サイドで仕掛け。
カットインの姿勢で中央へパスを送り、そこから横谷→川村→唐山シュートと、鮮やかなダイレクトプレイを経てボールは相模原ゴールに突き刺さり。
ようやく初ゴールに辿り着き、その場で雄たけびを上げる唐山。

先制されて後の無くなった相模原、40分に最後の交代。
鎌田・藤原→梅井・木村と、最終ラインを2枚替える手段を採りました。(木村が中央CB)
同時に愛媛も小原→田中へと交代。

その後FKを得たという事もあり、パワープレイかと錯覚するかの如く前線に張るのが目立った、一際長身である梅井。
何とか前線にボールを運びたい相模原、左サイドで裏にパスを送る→クリアされスローイン、の繰り返しという漸進戦法で敵陣へ。
梅井がロングスローを投げるシーンとなり、なりふり構わずという攻撃を敢行しますが、それが見事に功を奏します。
44分、梅井が投げたボールは直接ゴールへ向かう軌道となり、虚を突かれたか目測を誤ったGK岡本が弾いた末にゴール内に吸い込まれます。
スローインが直接ゴールに入ってもノーゴール扱いになるのですが、ゴール手前で触ったという事で得点が認められ、オウンゴールという形で同点とした相模原。
愛媛にとっては最終局面を迎えるという段階で、イレギュラーに対応出来なかった悔やみきれない失点になってしまいました。

そのままATに突入し、勢いに任せるかの如く攻勢を掛ける相模原。
クリアボールを拾った平松が右へ叩き、石田のクロスからファーサイドで安藤がヘディングシュートを放つもGK岡本がセーブし、左へこぼれたボールを成岡が再度クロス。
そして中央で今度は平松がヘディングシュートを放ちますが、惜しくもゴール上へ外れてしまいます。
愛媛も再度の勝ち越しを狙うべく攻め上がり、その結果戦術と我慢がウェイトを利かせる様相はすっかり消え失せ、完全オープンな展開となり。

カウンターでゴールに迫る相模原、成岡のスルーパスを受けた夛田がエリア内左を突いてグラウンダーでクロス、走り込んだ梅鉢がファーサイドで合わせシュート。
GK岡本が辛うじて足でセーブするも、中央へ転がった所に走り込んだのは1トップの平松。
しかしシュートはジャストミートせずにゴール左へ逸れ、またも逃してしまった平松。
これで勝利の運気は尽きたかと思われましたが、この日のサッカーの神様は尚も気まぐれぶりを発揮します。

愛媛の攻撃、唐山が左からのカットインでエリア内を突くも、相模原・木村に反則気味に奪われてまたも相模原のカウンター。
縦パスを受けた平松のキープを経て、成岡のスルーパスで中山が抜け出して受け、GK岡本の跳び出しを右へかわしてシュート。
空っぽのゴールに吸い込まれ、土壇場で勝ち越し点を挙げた相模原。
本当にオフサイドギリギリという中山の抜け出しに、神の意思が舞い降りたかのような錯覚を覚える幕切れとなりました。

その後愛媛はラストプレーで左から高木利(岩井の投入で右WB→左WBへシフト)のクロスに繋げたものの、結局得点は生まれる事無く、ゴールラインを割った所で試合終了の笛が。
劇的な勝利を挙げ、残留の芽を膨らませる事に成功した相模原。
カオスな試合展開もこの日は大きな追い風となり、悲願へ辿り着くまで残り2試合です。

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DAZN観戦 2021年J2リーグ第40節 ファジアーノ岡山vs京都サンガFC

2021-11-22 16:05:31 | サッカー視聴記(2021年J2)

※前回の岡山の記事はこちら(38節・山形戦、1-0)
※前回の京都の記事はこちら(34節・群馬戦、1-1)

前節の磐田と同様に、あと1勝という所まで辿り着いた2位・京都。
試合前には、3位の長崎が引き分けに終わった事でさらに有利な立場になりましたが、自力で決めたいのは当然過ぎる程当然でしょう。

そこに立ちはだかるのが後半戦絶好調の岡山で、22節以降僅か2敗(7勝9分)で推移。
引き分けが多いため上位までは割って入れずにいますが、現在3連勝中であり、最後に当たるには相手にとって不足は無い。
敵地・シティライトスタジアムに乗り込んだ京都、この日も戦闘意欲を前面に押し出しての試合を繰り広げました。

しかし立ち上がりは、目の前で相手の昇格阻止を狙う岡山が攻勢を掛けます。
前半2分、敵陣でカットした宮崎智彦がそのまま前進からクロスを上げ、中央でイヨンジェがヘディングシュート。(枠外)
6分には右サイドからの攻撃、河野縦パス→イヨンジェポストプレイを経て受けた上門が前進からクロス、ここでもイヨンジェがヘディングシュートを炸裂させ。(GK清水セーブ)
今季2試合目のスタメンとなったFW・イヨンジェに合わせる攻撃を中心に、得点を狙いにいきました。
現在のターゲットマンはミッチェル・デュークが中心ですが、オーストラリア代表として国際線を戦っている立場であり、合流後間も無いという事でベンチスタートだったこの日。
存在感を示すべく、早々にフィニッシュに絡みにいったイヨンジェ。

13分にはゴールキックから、イヨンジェを狙ったロングボールのこぼれを拾った上門がミドルシュート(DFに当たる→GK清水セーブ)と、ターゲットマン絡みでの好機を作っていく岡山。
しかし京都も黙って指を加えているクラブでは無く、以降反撃。
16分はヨルディ・バイスのロングパスを、ピーター・ウタカが収めたのちヒールパスで繋ぎ、こぼれた所を三沢がダイレクトでシュート。(ブロック)
22分には右サイドから中央へ渡ったのち武田が縦パス、ウタカのポストプレイを経て武田がダイレクトでシュート。
ブロックされたボールを三沢が繋ぐと、再度ウタカのポストプレイから三沢がダイレクトでシュート。(枠外)
普段と変わらぬ、中央主体で細かなダイレクトパスの連続でゴールを狙いにいく攻撃を見せ始めます。
25分に飲水タイムでブレイクとなり、クロスを入れてターゲットに撃たせたい岡山・簡単にクロスは入れず中央で崩したい京都と、対照的な攻撃が垣間見えた第1クォーター。

再開後、28分には京都が、岡山GK梅田のフィードを宮吉が頭でカットする(そのままゴールラインを割る)場面が生まれ。
相変わらずハイプレスでのハイテンションなサッカーが繰り広げられていたものの、試合展開としてはやや膠着。
岡山は後方からロングパスをエリア内へ供給し、2列目の選手を走らせに掛かる攻撃に活路を見出し。
一方の京都も、サイド攻撃に活路を見出す場面が見られ、(主に右サイドバックの白井康介が)クロスを上げる割合が増し。
裏の手を見せ始めつつも、フィニッシュには繋がらずに時間が進んでいきました。

終盤を迎えた43分、上門が敵陣深めでボールカットに成功し岡山の攻撃。
一旦戻したのち白井永地が縦パス、イヨンジェのポストプレイでこぼれた所に上門が走り込んでシュート、しかしバイスが懸命に足を延ばしブロックで防いでコーナーキックに。
その左CK、キッカー石毛のフリック狙いのニアへのクロス、井上がすらしたボールが京都・武田に当たりゴールへ向かうもGK清水が抑え。
京都にとっては冷や汗モノの時間帯となりますが、京都最後の攻撃、パスワークから持ち上がった荻原が岡山・上門に倒されて反則。
エリアからすぐ手前という絶好の位置での直接フリーキックを得て、十分時間を掛けたのち三沢が直接狙いましたが、壁を直撃してしまいモノにならず。
同時に前半終了の笛が鳴り、スコアレスで折り返します。

共に交代は無く後半が始まり、早速の後半1分に好機を得たのは岡山。
ここもイヨンジェ目掛けたロングパス、クリアされたボールに石毛が走り込んでそのままミドルシュート、しかしブロックに当たって僅かにゴール左へと逸れ。
この日得意の形で好機を得た影響か、以降押し気味に展開する岡山。
8分に決定機といえる形を迎え、左サイドでクリアボールをそのまま徳元が裏へ送ると、フリーで上門が走り込み。
さらに中央にはイヨンジェがフリーで走り込んでおり、後はそこへクロスを送るだけという上門でしたが、上がったクロスは単騎追い掛けた京都・麻田がその間で頭でクリア。
麻田のファインプレーで何とか防いだ京都。

この時間帯は中々ボールを前に運べず、好機すら作れない苦しい状態であった京都。
次第にMFのうちの一人が最終ラインに降り、後ろ3枚でビルドアップを始めるシーンが目立ってきたのもその影響でしょう。
しかしこれで落ち着きを得られたか、12分には岡山のパスミスから好機、パスを繋いだ末にウタカがエリア手前でキープする局面に。
左手前からウタカが上げたクロスをファーサイドで宮吉が収め、シュートを放ったものの岡山・井上がブロックで防ぎ。
岡山もセンターバックの好守で救われるシーンが生まれ、どちらが先に得点するのか、熱を帯びてきた試合展開。

その後先にフィニッシュに辿り着いたのは岡山で、16分自陣でのパウリーニョのボール奪取からカウンター気味にボールを前線に運び。
左サイドで上門・徳元・パウリーニョのパス交換が行われた後、上門がそのままサイドからクロス気味のシュートを狙い、これがゴール右へと際どく外れ。
惜しくもゴールはならなかったものの、京都の昇格を阻止するゴールへの期待が高まるホームの岡山。

そんな流れを変えにいくように、直後の17分に京都が選手交代。(三沢→福岡)
以降は前半控えめだったクロス攻撃を仕掛け、両SB(右=白井康・左=荻原)が盛んにサイドを抉ったのちクロスを送ります。
それでも岡山と違い決定打には繋がらず、22分に岡山がイヨンジェ→デュークへと交代した所で後半の飲水タイムが採られ。

勝負の第4クォーター、先に好機を作ったのは岡山で25分。
サイドでの細かい繋ぎからサイドチェンジを交えつつの長いポゼッションを経て、中央から白井永がエリア内右へロングパス。
走り込んだ河野がヘッドで折り返し、クリアされたボールを白井永がミドルシュート。(ブロック)
これでまたも流れを得た岡山、今度はサイドで組み立てても容易にクロスにはいかずと、前半から逆になったかのような攻撃を見せ始めます。

一方の京都も27分、今度は持ち前のダイレクトパスの連続による中央突破。ウタカを中心に細かく繋ぎ、松田のポストプレイでそのウタカにシュートチャンスが。
しかしループを狙ったのかウタカのシュートはジャストミートせず、ゴール右へと逸れてしまいました。
そんなシーンもあり流れを得れない中、31分に再度交代カードを切る京都。
白井康・荻原・武田→長井・黒木・庄司と、一挙に3枚替えを敢行します。

これで再度戦闘意欲を上げ、意識を前へと振る京都。
福岡がスライディングで反則・警告を受ける(32分)場面もありましたが、33分には交代で入った長井が中央からミドルシュートを放つ(エリア内の宮吉に当たり枠外)など、フィニッシュへの意識を取り戻したかに見えました。
尚、この場面ののちに岡山・井上が鼻から出血し、治療のためピッチ外に出る事となりました。(36分に復帰)
直後に岡山は徳元→木村へと交代。

終盤を迎え高まるテンションの中、39分には京都・バイスが岡山・デュークとの競り合いで倒れると、デュークに向かいヒートアップする場面も見られ。
自力昇格に向けて戦闘意欲は最高潮といった所で、直後の40分に切り札としてイスマイラも投入されます。(松田と交代)
しかしそんな意欲が空回りするかのように、以降はお互いにボールを素早く前に運ばんとするも、中々好機に繋がらずに時間が経過するもどかしい展開となります。

そんな中で岡山の最終ラインが右上がりの形を採り、河野が前に出る分サイドハーフの石毛がフリーマン的に動き回るのが目立ち。
その形から45分に好機、左サイドでスローインを受けた石毛からデュークに渡ると、エリア手前左という難しい位置からシュート。
これが絶妙な軌道でゴールを襲い、バーを直撃するという際どいシーンとなりました。
惜しくもゴールはなりませんでしたが、これを境にして一気に岡山ペースに針が振れてアディショナルタイムへ。

石毛の動きと共に、木村が逆の右サイドでプレーしたりと流動的に攻める岡山、白井永がドリブルでエリア内右を突いて右CKをゲット。
そのCK、キッカー石毛のクロスを中央で安部が合わせヘディングシュート、しかしこれも惜しくもゴール右へと外れ。
その後は元のポジションへと落ち着きを見せるも尚も攻勢が続く岡山、パウリーニョのボール奪取から、左サイドで木村のスルーパスがデュークに渡って抜け出し。
そしてデュークの低いクロスが守備ブロックの遠目を突くと、ファーサイドで上門が受けたのち石毛がシュートを放ちますが、京都・庄司がブロックで防ぎます。
その後も宮崎智のシュート(ブロック→GK清水キャッチ)、パウリーニョのシュート(枠外)が遠目から放たれる等、完全に凌ぎを強いられた京都。
反撃に出る隙も無く、最後まで昇格へのゴールの道筋が生まれないまま、試合終了の時を迎え。
スコアレスドローで勝ち点1に留まる事となりました。

岡山の意地に上回りを見せられた格好の京都。
結局翌日の試合で4位・甲府が勝利したため、今節での昇格はお預けとなり。
それでも後勝ち点1で良い状況に迫り、残り2節。
対戦相手は千葉と金沢ですが、彼らの意地のサッカーを振り切り、ゴールに辿り着けるか注目となるでしょう。

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DAZN観戦 2021年J2リーグ第39節 V・ファーレン長崎vs栃木SC

2021-11-18 16:08:30 | サッカー視聴記(2021年J2)

※前回の長崎の記事はこちら(34節・新潟戦、1-1)
※前回の栃木の記事はこちら(35節・町田戦、0-0)

既に昇格の可能性があるのは4クラブのみとなり、残り4試合まで迫ったJ2リーグ。
しかし2位と3位の間に7もの勝ち点差がある状況で、3位(長崎)と4位(甲府)のクラブは悲壮感を漂わせつつ、ただ勝利を挙げるしかない立場にあります。
そんな状況下で残留争いをしているクラブとの対決となれば、お互いの悲壮感がぶつかり合って複雑な試合内容になりがち。
3位の長崎ですが、この日は栃木との対戦。
敗れた場合は首位・磐田の昇格がその時点で決定するというばかりか、翌日京都の勝利で昇格の可能性が潰えるという瀬戸際の試合となり。

ただし残留争いといえど、栃木は比較的上に位置している(15位)ため、「いつも通りのサッカーで勝ち点を1でも積み上げる」という思想に落ち着きやすい状況でもあり。
それが長崎サイドには幸いしたか、悲壮感は初期段階で振り払う事に成功した試合となりました。

前半1分、いつものようにアバウトなボールを前線に送り、こぼれ球を拾いにいったジュニーニョが反則を受けてセットプレーの好機を得た栃木。
右サイド・エリアからすぐ手前という絶好の位置でしたがシュートには繋げられず。
「ストーミング」を貫く特異なサッカーは相変わらずであり、試合前の長崎・松田浩監督のインタビューでも、それを十二分に意識したようなコメントが聞かれており。
栃木が相手の警戒通りの立ち回りを見せた事で、変な言い方になりますが、長崎は幾ばくかの安心感を得たでしょうか。

その後の3分に今度は長崎が、加藤大が栃木・西谷に反則を受けて右サイドからのFKを得ます。
キッカーはウェリントン・ハットで中央へクロスを入れると、クリアしきれず中央へこぼれた所を毎熊がシュート。
GKオビ・パウエル・オビンナがセーブするも、尚も植中が拾って混戦となり、栃木のクリアを毎熊がブロックした所を植中がシュート。
これもGKオビンナが止めるも、さらに江川が追撃してゴールネットを揺らします。
栃木のお株を奪うようなセットプレーでの乱戦で、長崎が早くも先制します。

一方乱戦でクリアしきれなかったのが致命傷となり、リードを奪われた栃木。
その後攻め込むも、6分にはジュニーニョの豊田へのスルーパスがオフサイドとなり。
7分には右からのロングスローを黒﨑が投げ入れ、ニアで柳がすらすも繋がらず、逆に長崎のカウンターが炸裂。
ハットが中央をドリブルで突き進み、エリア手前からシュートを放つもGKオビンナがキャッチ。
栃木サイドの焦りが垣間見えます。

リードした長崎、上記のカウンターの場面以外では、最終ラインでじっくりと繋ぐ立ち回り。
栃木のプレッシングを受けるも、サイドバック(右=毎熊・左=米田)の上がりは控えめで、かつどちらか一方のSBが最終ラインに残って数的有利を作るビルドアップでそれをいなし。
こうした後ろ3枚でのビルドアップを徹底されると、苦しさを見せるのが今季の栃木。
前に出ていっても、GK高木和も使いつつパスを繋いで巧くかわす、長崎の落ち着いた振る舞いの前に実りません。

栃木の反撃姿勢を無事にやり過ごし、迎えた11分。
ルーズボールを澤田が拾ったのち、中央を経由して右サイドへ渡り、ハットと毎熊がスルーパスを応酬して一気にエリア内へ。
ハットが受けにいった所に栃木・谷内田の脚が掛かり、ハットが倒れると審判の笛が鳴り反則。
あっけないような感じですが、PKを得た長崎。
ゲットしたハットがそのままキッカーを務めましたが、この好機を生んだ大胆な推進力とは一転し、実に慎重にシュートを蹴りにいき。
しかしその結果弱々しく左へ放たれたボールをGKオビンナがセーブし、失敗か……と思われた瞬間、審判の笛が鳴ってやり直しというジャッジに。
GKオビンナが蹴る前に前方に出たという事で、再度のPKとなりますが、ここでもハットのシュートは慎重さが前面に出たものとなり。
再び左に蹴られたボールをGKオビンナがまたもセーブ、しかし今度はハットの目の前に転がって万事休すとなり、3度目の正直でネットに突き刺したハット。
グダグダした時間帯でしたが、無事に追加点を得た長崎。

2点差が付いた事で余裕が生まれた長崎を尻目に、1点を返しに攻め上がる栃木。
GKオビンナのロングフィードや、ロングスローなどを絡める普段通りの攻撃を徹底するも、長崎サイドも対処法は既に熟知されており。
20分にロングスローのこぼれ球を、中央で佐藤がボレーシュートにいきますがミート出来ず終わり、結局シュートを放てないまま飲水タイムを迎えます。

ブレイク後も攻め上がる栃木ですが、最初の好機(27分)で右サイドから黒﨑がクロス、巧くフリーのファーサイドに上げるも溝渕が谷内田と被ってしまう不運。
どうにも歯車がかみ合っていないシーンを描いてしまいます。
それでもクロス攻勢を貫くしかない栃木、29分には自陣からのFKでGKオビンナのフィードをジュニーニョが収めてから、西谷から上がったクロスを柳がヘディングシュート。
会心の一撃といった柳のシュートでしたが、GK高木和のセーブでゴールならず。
この試合が今季初出場となった高木和、昇格争いの最終盤という大事な試合ながら、突然の出番に臆せずのプレーを見せます。

その後は栃木のチャージに長崎の選手が痛むシーンが目立ちつつ(39分には栃木・西谷に警告)、迎えた前半の終盤。
長崎のビルドアップに対してプレスを掛け、何とか反撃の1点を……といった栃木。
そして44分長崎エリア内のGK高木和にプレスにいったジュニーニョ、高木和のキックをブロックして奪い、次の瞬間高木和の脚に引っ掛かって倒れ。
反則PKか、と思われましたが主審の笛は吹かれずとなり、得点チャンスとはなりません。
その後ジュニーニョが痛んで暫く倒れていたのもあり、正直PKとなっても可笑しくなかったと思われますが、それまでのチャージでの悪印象がジャッジに現れてしまったでしょうか。
結局2-0のまま前半が終了します。

ハーフタイムで栃木ベンチは動き、豊田・谷内田→森・山本へと2枚替え。
矢野が右サイドハーフ→FWへと回り、投入された2名がいずれもSHに入ります。(右=山本・左=森)

圧力をかけるも、中々シュートに辿り着けなかった前半の栃木でしたが、後半1分に早くも森がドリブルからミドルシュートを放ち。
グラウンダーのボールはゴール左へ僅かに外れるも、これが狼煙となり気勢を上げて攻め上がる栃木。
後半はサイドでのドリブルを多くし、クロスを上げる体勢を作る攻撃が目立ち。
それだけ開始直後の森の振る舞いが勇気を与えた、というような感じでしょうか。

しかしクロスが増えても、フィニッシュまでは繋げられずに時間が経過していき。
長崎サイドも栃木の攻撃を脅威と感じていたのか、16分に交代カードの使用に踏み切ります。
植中・澤田→都倉・加藤聖へと2枚替え。(米田が左SB→左SHへシフト)

直後に栃木はロングスローと見せかけて手前に入れ、そこから長く繋いでジュニーニョのシュート(枠外)に繋げ。
ゴール前で変化も付けつつ、まず1点を奪う事に集中していたようでしたが、その姿勢が再度ひっくり返される事となります。
19分最終ラインから左へ展開して前進する長崎、加藤聖の縦パスを受けた都倉が中央の加藤大へ送り、これがカットに入られるもこぼれ球がエリア内へと転がり。
米田が拾って切り込む所、飛び出したGKオビンナが足を引っ掛けてしまい、審判の笛が鳴り反則・PKに。(オビンナに警告)
2度目のPK(やり直し含めて3度)を得た長崎、キッカーは都倉が務めると、実にベテランらしい時間を使う振る舞いを見せたのちゴール左隅へシュート。
GKオビンナのダイブは届かず、決定的な3点目をゲットします。

直後に飲水タイムが採られ、先程の反則の際に足を痛めた米田、一旦プレーを続けるも26分に交代となり。(山崎と交代)
栃木サイドも再開直前にジュニーニョ→松岡へと交代して第4クォーターへ。

といっても逃げ切り体制の長崎に対し、栃木がどれだけ意地を見せられるかというのが残された見所でしょうか。
28分に左コーナーキックからの二次攻撃、逆の右サイド手前からのクロスをファーで柳が折り返し、中央で乾がシュートするも長崎・江川のブロックに防がれます。
36分には再びCK、今度は右からで森のファーサイドへのクロスに矢野が合わせヘディングシュート、しかしこれも長崎・都倉のブロックに阻まれゴール出来ません。

次第に好機の数も減っていく栃木。(39分に長崎は加藤大・ハット→名倉・大竹へと交代)
手詰まり感を振り払うべく、最後の交代に踏み切ったのが41分。
佐藤・西谷→三國ケネディエブス・小野寺へと交代し、DFを投入した分柳を前線へと上げる、最後の手段的な采配が採られます。
それでも敗戦への道を堰き止める事は出来ず、時間はどんどん進んでいき。

アディショナルタイムに入り、そんな栃木の衰運に付け込んで長崎が攻勢を掛け。
山崎や都倉がエリア内からシュートを放ち(両者とも枠外)、これから始まる「絶対に負けられない戦い」に上昇機運を持ち込まんとする攻撃を見せます。

結局3-0のまま試合が終わり、磐田の昇格決定を阻止する勝利を挙げた長崎。(翌日自力で決められますが)
2位・京都が勝利したため勝ち点差は詰まらずとなり、今後は最低でも3試合で勝ち点7が求められるという、まさに首の皮一枚という昇格条件。
また別会場では、4位・甲府は最下位の松本と対戦。
終盤に点を取り合う乱戦となり、何とか甲府が勝利(3-2)して昇格の可能性を残すも、冒頭で述べた「悲壮感のぶつかり合い」のような展開を演じる事となりました。
既に京都との直接対決も無いため、運を天に任せるしかない状況ですが、まずは自分達で出来る事をやるのみです。

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DAZN観戦 2021年J2リーグ第39節 レノファ山口FCvsギラヴァンツ北九州

2021-11-16 16:08:43 | サッカー視聴記(2021年J2)

※前回の山口の記事はこちら(34節・水戸戦、2-2)
※前回の北九州の記事はこちら(35節・大宮戦、1-3)

名塚義寛監督就任以降の山口、2連敗→3連引き分け→2連勝と推移。
負のサイクルから抜け出したのち、いくばくかの助走期間を経て滑走路を飛び立ったという流れで、成績的にも無事に危険水域から脱出。
この試合に勝利すれば、他チームの結果如何では残留も確定するという所まで浮上してきました。

この間起用選手は激しく入れ替わり、全試合スタメン出場はGK関と渡部の2人のみ。
水曜開催による3連戦も交わり、メンバーを数多入れ換えての運営をこなす、まさに総力戦で浮上の兆しをガッチリと掴んだという事でしょうか。
その総決算となるかのように、この日は岸田が久々のベンチ入りを果たし、実に3節以来という遠い出来事。
この最終局面で、クラブレジェンドといえる人物の力を借りて残留を果たさんという山口。

試合が始まり、山口は「名塚イズム」と言うべき前線からのプレッシングを敢行し、そこからのショートカウンターを狙いにいき。
前半2分に高木が敵陣深め右サイドでボールを奪い、即クロスを上げるも北九州・福森がブロック。
そしてこの際に福森が痛み暫く倒れ込んでしまうシーンとなり。
無事に起き上がり続行するも、残留の切り札とされていた椿が再加入後即故障で長期離脱してしまった(現在は復帰)という苦い思い出がある北九州。
いきなりヒヤリとするとともに、山口のプレッシングに屈さないか不安感漂う入りともなりました。

5分には自陣で高井がボールを奪った山口、彼のスルーパスで抜け出した草野がエリア内左を突いて切り返し。
そしてシュートを放ち、北九州・生駒にブロックされてこぼれたボールを、さらに池上がボレーシュートで追撃。(枠外)
その危惧が現実味を帯びたものの、その後は北九州も反撃に転じ。
6分右サイドで形を作り、佐藤亮のカットインを経て中央で新垣が前進、エリア内に進入してシュート。(ブロック)
12分には、佐藤亮が山口・佐藤謙介との交錯で倒れ込むシーンがあり再びヒヤリとさせられますが、無事に復帰。
15分には高橋がボールカットしたのち中央からシュート(ブロック)、17分には高橋のスルーパスを受けた前川がエリア内からシュート(GK関キャッチ)と、フィニッシュで上回りを見せます。

しかし北九州の攻撃は、基本である「3-1-6のビルドアップ」は既に影も形も無く。
その形を支えてきた村松や岡村・針谷の名がスタメンに無いのも影響し、普通にボックス型での組み立てを採っていました。
そのためか次第に山口ペースの流れとなり、24分に決定機。
左から佐藤謙がサイドチェンジして右サイドでヘニキが受け、人数を掛けてパスを繋いだのち高木のクロスが上がり、ヘッドで合わせたのは草野。
しかし放たれたシュートは左ゴールポストを直撃し、跳ね返りを自分で詰めにいったものの及ばずクリアされ先制ならず。
山口にとって悔やまれるシーンが生まれたのち、飲水タイムが挟まれます。

ブレイク後の北九州、主に左サイドの関係性を重視して攻撃。
新垣の突破力を盾として、その新垣が降りて受けてサイドバックの福森が上がり、スルーパスに走り込むという具合に仕掛けます。
しかしこの左サイドアタックからはフィニッシュに持ち込めずにいると、次第に肉弾戦の様相が色濃くなっていきます。
37分には反則を受けた山口・草野がヒートアップし、あろう事か北九州・高橋に報復行為に出てしまい。
主審(木村博之氏)の笛が遅れた(見ていなかった?)事で両軍さらに騒然となり、結果として草野に警告が与えられる運びとなりました。
既にここまで2枚警告を受けている(15分・楠本、31分・高井)山口、残留争いを勝ち抜くためのハードワークが負の方向へ傾いてしまうシーンとなりました。

その後は山口が主体的な攻撃を見せ、最終ラインからの展開で攻め上がるもゴールは奪えず。
北九州もアディショナルタイム突入後流れを掴み、セットプレー攻勢を掛けるもやはり得点には辿り着けず。
前半はスコアレスで終える事となりました。

共に交代無く迎えた後半も、山口が前半終盤と変わらず主体的に攻め込み。
敵陣でのショートパスの割合を増やして崩さんとするも果たせず、逆にその間に北九州の反撃を受ける事となります。
後半3分、前川の展開から右サイドで前進し、高橋がエリア内へ横パスとともに中に入って佐藤亮のリターンを受け。
そしてカットインを経て中央からシュートするもブロックに阻まれます。
10分には西村の裏へのロングパスを受けた前川、そのままエリア内へ進入する絶好機となるも、追走する山口・ヘニキのディフェンスで倒れてシュートは撃てず。(反則無し)

ペースを握りながらもモノに出来ず、カウンターパンチを喰らう危惧が過る流れのようになってきた山口。
しかし11分、高井がプレッシングで北九州・福森からボールを奪った所を反則を受け、絶好の位置でのフリーキックの好機。
これをキッカー田中渉が直接、ゴールに向かうクロスのような軌道で狙いにいき、GK田中悠也がパンチングで防ぐも跳ね返りを橋本がダイレクトで縦パス。
シュート気味のグラウンダーのボールを、渡部のスルーを経て高木が触りにいくも収まらず。
モノには出来ませんでしたが、これを境に山口はプレッシングのキレも戻り始め、攻撃権も支配する事となります。

これを受けた北九州ベンチは先に動き、16分に佐藤亮・前川→富山・新井へと2枚替え。
高橋をトップ下に移しての4-2-3-1の布陣へとシフトします。
しかし1トップとなった事で、ある程度プレッシングを捨てるという選択を採らざるを得なくなり。
尚も山口に押し込まれ、17分には佐藤謙の縦パスを池上が受けたのち右サイドで前進、右ハーフレーンから田中渉がシュート。(GK田中悠セーブ)
「田中(渉)のシュートを田中(悠)がセーブ」というシーンが量産され、苦しさを隠せない北九州。

リーグ戦も最終盤の時期になり、理想と現実の挟間から、とうとう現実路線へと舵を切る事となった北九州。
前述のビルドアップの変節も、センターラインに長身選手を並べて守備を固める手段との板挟みであり、仕方無いという思いはある程度織り込み済みでしょう。

J3の苦闘を経験してきて、二度とその場に落ちたくないからこその選択でしょうが、少し遅すぎたという感は拭えず。
既に1つの勝利では降格圏を抜け出せないという状況で、残り4試合を迎える事となり。
それだけ理想を追求し、行き詰まっても中々捨て去る事は出来ずにいた今季の小林伸二監督。
全権監督という立場故にその心境は複雑なものでしょうが、まずは全力で、残された残留の可能性を掴み取るのがミッション。

劣勢に立たされた20分、さらに新垣→椿へと交代カードを切った北九州。
22分には右サイドでのボール奪取から、西村が素早く裏へミドルパスを送り、先程入った新井(今季初出場との事)が走り込むシーンを作りますがオフサイドに。
山口の攻勢を受けつつも、得た攻撃機会は全力でモノにしていくという立ち回りを匂わせつつ、23分に後半の飲水タイムに。

ブレイク明けも山口が攻撃権をガッチリと掴んで離さず。
この時間帯は、最終ラインから左サイドに展開してパスを繋ぎ、北九州を右へスライドさせたのちに逆サイドへロングパスを送るという手法が多かった山口。
そこから好機が生まれたのが27分で、ロングパスを受けた高木がエリア内右へ送り、走り込んだ池上がグラウンダーでクロス。
草野が合わせにいくもクリアされ、こぼれ球を拾った田中渉が中央からシュートするも北九州・西村がスライディングでブロック。

ギリギリの所で防ぎ、その後も何度もクロスを浴びる等押し込まれる北九州。
勝利するためのワンチャンスが訪れたのが31分で、自陣でボールカットした西村が素早く前へ浮き球を送り、受けた高橋がさらに左へ展開。
そして受けた椿が細かいタッチのドリブルで前進、エリア手前まで進んだ所で追い越した高橋へラストパス。
エリア内左から、得意の左足を振り抜いた高橋のシュートがゴールネットに突き刺さり、欲しかった先制点を挙げた北九州。
確実にモノにし、押され気味の展開を跳ね返す事に成功しました。

危惧が現実のモノになってしまった山口。
失点直後に高木→石川へと交代し巻き直しを図るも、守備を固める北九州に対し、先程までのスムーズな攻撃は失われ。
停滞感の中終盤を迎え、さらにカードを切ったのが40分。
田中渉・草野・高井→佐藤健太郎・梅木・岸田への3枚替えを敢行します。
ここに来て岸田を投入し、彼の胸すくゴールへの期待高まる采配ですが、相手は現実的なサッカーへのシフトを果たした北九州。
すかさず(というかほぼ同時に)福森・新井→永田・岡村へと2枚替えするとともに、5バックのシステム(3-4-2-1)へとシフトする守備固めを敢行した小林監督。
新井がインアウトという事態も御構い無しで、山口の情緒的な期待感に蓋をする采配を見せます。

以降の北九州、42分にカウンターを敢行し椿がドリブル、エリア内左からの切り返しでシュートを放った(GK関キャッチ)のが唯一の攻撃機会。
とにかく山口の猛攻を跳ね返し、1点を守り切るのが勝利への唯一の道となり。

山口は44分に右コーナーキックから、池上のクロスを中央で渡部が合わせボレーシュートするも北九州・生駒がブロック。
直後の45分には左サイドから橋本がクロス、これがゴール上部に向かうボールとなるも、GK田中悠がパンチングで逃れて再度CK。
そこから岸田がヘディングシュートを放つも、枠には向かわず。
そしてATへと突入し、ヘニキを前線に上げるパワープレイ体制に入る山口ですが、どうしても得点に辿り着けません。
そして試合終了を告げる笛が鳴り、ウノゼロで北九州が勝利。

実に10試合ぶりの勝利となった北九州、笛の瞬間決勝ゴールを挙げた高橋がその場で泣き崩れるという姿も見られ。
泥沼ともいえる残留争いを戦う男たちの苦難が垣間見えるシーンとなりましたが、それも残り3試合。
14位以下の9クラブは未だ残留決定出来ていない状況で、どんな結末が描かれるでしょうか。

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DAZN観戦 2021年J2リーグ第39節 水戸ホーリーホックvsジュビロ磐田

2021-11-15 18:16:28 | サッカー視聴記(2021年J2)

※前回の水戸の記事はこちら(34節・山口戦、2-2)
※前回の磐田の記事はこちら(35節・愛媛戦、2-2)

並み居るクラブの挑戦を払いのけ、昇格へと迫る首位の磐田。
前節は2位・京都との直接対決、まさに最後の障害というカードでしたが、ハイテンションの好試合を演じた末に勝利。(1-0)
これであと勝ち点1で昇格決定と、目前まで上り詰める事となりました。
そして前日に3位の長崎が勝利し、自力で決めるのみとなった今節。

対するのは水戸で、かつてこういうシチュエーションで昇格クラブと対戦しては、悉く昇格決定を観る破目になったという実績のある(?)クラブ。
前年も後に昇格する徳島をホームに迎えましたが、見事勝利して眼前での歓喜の輪を見届けるのを免れ。
果たして今年はどうなるか。

前節(千葉戦、2-2)から、3バックへと移行した水戸のスタメン。
鈴木喜丈をセンターにして、フィジカルの強いタビナス・ジェファーソンと三國スティビアエブスを左右に置くという形を採り。
また前節は新里が1アンカーの3-3-2-2でしたが、この日は新里・平塚のドイスボランチで3-4-2-1の形でスタート。
磐田の猛攻をミラーゲーム風にして抑えにかかったようですが、仮にその狙いだとすれば、目下得点王のルキアンに主に対応するのは鈴木喜というギャップが生まれる事となり。
移行した初戦は、スコア的に守備面で振るわない試合のようであり、そんな状況で磐田相手にぶつかれば……という不安は拭えず。

それを水戸サイドも承知していたのか、立ち上がりからハイプレスを敢行し磐田の攻撃を遮断。
前半3分と4分に立て続けに敵陣深めでカットして(いずれもシュートまではいけず)主導権を握り、6分から立て続けに3本コーナーキックを得るなど押し込みます。
9分には右サイドで平塚のボール奪取から、今掛縦パス→中山仁斗ポストプレイ→新里ダイレクトで裏へミドルパスという流れで中山仁がエリア内でシュートチャンス。
エリア内右からグラウンダーでファーサイドを狙ったものの、惜しくもゴール左へと外れ。

ここまでは水戸の流れでしたが、10分を経過した事で磐田は相手の出方をインプットしたようで。
その後はルキアン狙いのロングボールで水戸のプレッシングをいなす立ち回りを選択し、これが見事に結果に繋がります。
11分、GK三浦のロングフィードをルキアンが収めて左へ展開し、そこから磐田らしい細かなパスワークで前進。
そして山田のクロスをニアでルキアンがポストプレイ、受けた鈴木雄斗がシュート。
ブロックに阻まれるも続く右CK、キッカー遠藤のショートコーナーから山本康裕が手前からクロスを入れると、中央ややニア寄りで大井がヘディングシュート。
ゴールネットを揺らし、相手の弱点を突いた攻撃で早くも先手を取った磐田。

反撃に出たい水戸でしたが、これを境にペースを完全に失ってしまい。
磐田は13分にも山本康の裏狙いのロングパスでルキアンを走らせる攻撃(GK牡川が抑える)を敢行するなど、尚もロングボールを交えての姿勢を採る事で水戸はプレッシングを嵌められなくなります。

攻撃権を握り、何度も水戸エリア内を突く攻撃を展開した磐田は、迎えた15分。
今度は右サイドからの攻撃で、遠藤のパスを受けた山田がスルーパス、受けてエリア内右へと進入した小川大貴が倒れながらも中央へ繋ぎ。
これを大森がゴール左隅へとグラウンダーのシュートを突き刺し、昇格をグイと手繰り寄せる追加点を挙げました。

尚もペースを掴んだままの磐田、20分にルキアンのシュート(ブロック)、21分にCKから鈴木雄のシュート(枠外)とフィニッシュを重ね。
すっかり守勢に回る事となった水戸、何とか変化を付けようと、24分の攻撃では鈴木喜が最終ラインの一列前に陣取り。
甲府が基本形としている「中央CBが一列前に出てのビルドアップ」を見せ、変化を付けにいった所で飲水タイムが挟まれます。

ブレイク明けもその形を貫く水戸ですが、磐田もルキアン狙いのロングパスを貫き、その度にGK牡川がエリアを跳び出してのクリアを見せ。
ロングパスでひっくり返されるように、試合の流れも掴めそうで掴めずという展開を強いられます。
水戸がビルドアップを展開して攻めるシーンでは、伊藤涼太郎が降りて来てパスを受けるシーンが目立ち。
鈴木喜の脇で受けて出口を作らんという意図ですが、これは正直伊藤涼が担当しなくても、(甲府がそうであるように)本来のボランチ2人が行えば良いのではと思いました。

後方でパスを繋いだのち、エリア内へとスルーパス(浮き球・グラウンダー問わず)を入れる攻撃を見せるも、中々磐田ディフェンスを破れない水戸。
そんな展開を受け、秋葉忠宏監督は早くも交代を敢行し、38分にタビナス・平塚→藤尾・奥田へと2枚替え。
CBを1枚削る交代の通り、4バック(4-4-2)へとシフトします。
流れを変えられないのならば、強引にメンバーを変えるという策を地でいくようでした。

そのベンチの思惑通り、以降水戸の攻撃はスムーズとなります。
39分には大崎のロングパスがエリア内の中山仁へと収まり、そのまま中山仁がループ気味にシュート。(ゴール左へ僅かに外れる)
41分には右サイドでの繋ぎから、新里のエリア内への縦パスを受けた奥田が中央に流れてシュート。(GK三浦キャッチ)
44分にも伊藤涼のミドルシュートが放たれ(GK三浦キャッチ)るなど、以前の攻めあぐねが嘘のようにフィニッシュを重ねていきます。
しかし肝心のゴールは奪えず、2点差のまま前半終了。

ハーフタイムで水戸はさらに選手を代え、今掛→黒石へと交代。
水戸の流れは続き、後半2分にはパスワークを経て松崎が右からカットインでチャンスエリアを突く所を磐田・大森に倒され反則。
右ハーフレーン・エリアからやや手前の位置での直接フリーキックとなり、キッカー伊藤涼が直接シュート、右から巻くボールでゴールを狙うも惜しくもサイドネット。
守備面でも、ルキアンに対して三國が激しいチェックで抑えにかかり、ペースを握ったまま反撃に掛かります。

しかし一瞬の隙も許してくれないのが首位のチーム。
6分、磐田のGK三浦からショートパスを繋ぐビルドアップを、一旦は遮断するも奥田のコントロールミスで山田に拾われ。
そしてスルーパスがルキアンに渡ると、エリア内右へと進入してそのままシュートを放つルキアン。
ゴールハンターらしいシュートがネットに突き刺さり、決定的な3点目を与えてしまった水戸。

前半の交代以降、本来は攻撃的な奥田がボランチに回っており。
まさに点を奪うべくの布陣といった感じで、既に勝利は絶望的という展開でしたが、その姿勢は緩めるわけにはいかない水戸。
13分、新里のロングパスをエリア内左で中山仁が胸で落とし、そこに走り込んだ藤尾がシュート。
磐田・伊藤槙人のブロックに阻まれますが、尚もその直後に攻撃。
右サイドで黒石のスルーパスが奥田に渡り、そのままエリア内右を抉ってクロス。
磐田・山本義道がブロックに入るも、ゴール方向へ跳ね返ってしまいゴールへと吸い込まれ。
オウンゴールという形(最初は奥田のゴールとなるも後に修正)ながら、水戸が1点を返します。

尚も圧力を強める水戸ですが、14分には藤尾のポストプレイから撃ちにいった松崎、しかしシュートはミート出来ず。
前半にもシュートミスで好機を逸した場面があった松崎(アディショナルタイム)、この日はあまり調子が良くなさそうに見えました。
17分に水戸が決定機を迎え、右サイドで松崎を追い越してスルーパスを受けた黒石からのクロス、これを藤尾がジャンピングボレーでシュート。
しかし水戸・山本義に肩でブロックされ、ゴールは奪えません。
22分にも、奥田のエリア内右からのシュートが山本康にブロックされるなど、磐田ディフェンスの壁に阻まれるシーンが目立ち。

一方の磐田、後3点取られなければ大丈夫という状況に従うように、以降の攻撃はボール保持を重視。(11分に大森→大津へ交代)
水戸にボールを握られるも、ブロックの外側で半円状に回させる守備体制で凌ぎを見せます。
26分に飲水タイムが挟まれ、明ける際に水戸は大崎→山根へ、磐田は遠藤→今野へと交代。

ブレイクが挟まれた事で、磐田サイドが攻勢に出る時間が長くなるも、33分に今野が右からシュート気味にクロスを入れた(ブロックされCKに)場面ぐらいでやはり保持重視の体制。
一方の水戸は34分に最後の交代カードを切り、伊藤涼→安藤へと交代。
4バックへのシフト以降、様々な手段でチャンスを作っていた伊藤涼ですがここで交代となります。
サイドに突破力溢れる選手を置き、そこから文字通りに突破口を図らんとする水戸ですが、以降尻すぼみとなり。
44分に安藤が強引にロングシュートを放った(ブロックに当たりCKに)ぐらいで、時間経過とともに、磐田昇格のムードが高まっていくのを見送るしか無くなります。

40分に磐田も最後の交代カードを使用。(小川大・山田→松本・金子)
そのフレッシュ効果か、ないしは場内のムードのおかげかは不明ですが、ATを迎えて攻勢に出る磐田。
大津のシュートをはじめとして、CKを多数得る等押し込んでいき。
そのCKも時間を使う選択はせずに金子がクロスを入れる、ただ昇格ムードに身を任せるような振る舞いでゴールを狙いにいきます。

そして水戸のゴールキックが左へ逸れた所で、磐田が待ちに待っていた試合終了の笛が吹かれ。
J1昇格を勝利で締めくくる胸すく試合となり、無事に今季のミッションを完遂する事となりました。
かつての黄金時代に「恐怖のサックスブルー」と謳われたのを思い出すかのような、今季のJ2での独走ぶり。
それを来季上位カテゴリで果たせるかどうか、不安要素は拭えない段階ですが、今は喜びを噛み締めるという感情に身を委ねて損は無いでしょう。

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