※前回の山形の記事はこちら(22節・松本戦、1-0)
※前回の京都の記事はこちら(27節・ヴェルディ戦、3-1)
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永らく続いていた、ピーター・クラモフスキー監督の不敗神話が12試合で途切れた山形。
しかもそれを境にして、一気に不調のサイクルへと突入してしまうのまでは予想外で、日に日に昇格圏が遠くなり。
何が切欠なのかを想像してみると、傍らからでは要因が複数あって解り辛い。
連勝が続いていた時に、大雨で25節が順延となったのが第一の引き金だったでしょうか。
その後FWのヴィニシウス・アラウージョが27節でスタメン復帰したものの、ここから敗戦がスタートする事となり、サッカーの質が微妙に変わってしまったのか。
また、初敗戦ののちの28節(水戸戦・0-1)で加藤が故障離脱する事態も発生し、固定メンバーで不敗神話を作ってきただけに影響は甚大なのか。
まあこれらが複合的に合わさっているのだとは思いますが。
そんな状況故、移籍期間が過ぎてから獲得したマルティノス(仙台を契約解除となってフリーだった)が、救世主としてこの日初のベンチ入り。
正直な所、少し前は「好循環を保っているチームが、ムラッ気激しい助っ人を加えて大丈夫なのだろうか……」という不安で一杯でしたが、チーム状況は急変。
停滞するチームに喝を与える存在となるでしょうか。
前の試合は、中止となった25節(長崎戦)がウィークデー(9月14日・火曜日)に行われ、その影響でスタメンを入れ替え。
松本怜・熊本・堀米と、久々のメンバーが名を連ねたものの、結果は1-5の惨敗に終わり。
そして上記3名は揃ってベンチ外になり、序列を上げる事は叶いませんでした。(半田・林はベンチスタート)
前半2分、試合前の雨によるスリッピーなピッチの影響で、野田が転倒した所を突かれてこぼれ球を京都・川﨑が縦パスを送り。
そしてピーター・ウタカを経由してエリア内左の荒木に渡り、シュートが放たれる(ゴール右へ外れる)という、いきなり不運によるピンチを招いてしまった山形。
悪循環は続くかと思われましたが、続く3分にやり返し。
左サイドバック・吉田が左ハーフレーンをドリブルで進み、中央へ送ったのちヴィニシウスがシュート。(GK若原セーブ)
さらに4分には、左サイドのスローインで南・藤田・山田康太のパスワークから、山田康のクロスが上がり。
京都はヨルディ・バイスがクリアしきれず、中央のヴィニシウスに収まると、切り返しののちゴール左へシュート。
しかし戻ったバイスがゴール寸前でブロックで防ぎ、先制とはいかなかった山形。
目下5試合連続で先制点を奪われている現状だけに、是が非でも先制したかった所でしょう。
このままペースを握るかと思われた山形ですが、7分にパスミスを京都・ウタカに掻っ攫われて再度危機。
左サイドにウタカが流れて前進したのち、戻しを受けた荻原がエリア内左を突いてシュート。
先程の荒木のシュートと同様にゴール右を襲いましたが、僅かに外れて命拾い。
その後は一進一退の攻防。
山形の攻撃は、不敗を続けていた頃のものに、ヴィニシウスのポストプレイという要素も加わり。
手数を増やしたような印象でしたが、それでも得点には辿り着けず。
この日は京都を押し込み、コーナーキックも多く得た前半でしたが、そこでやや工夫が足りなかったような気がしました。
キッカーは全て中原が務めていましたが、ニアサイドへのクロスが京都のストーン役にあっさりクリアされるシーンが目立ち。
25分に山形の攻撃、ヴィニシウスがエリア内からシュートするもブロックに阻まれ。
26分には京都のカウンターから、ウタカがエリア内右で拾ってシュートするもこちらもブロックに防がれ。
両チームの助っ人が互いにフィニッシュを見せる流れを経て、飲水タイムが挟まれます。
ブレイク明けは山形が主導権を握る展開となり。
エリア内へ切り込む所に山田康がバイスの肘打ちを喰らって負傷したり(2分程倒れ込むも無事復帰)、京都のプレスをGKを含めたパスワークでかわして前進したりと、注目ポイントを数多作って攻撃権を支配。
そして前半も終盤を迎えます。
運命の分かれ目となったのはトランジションの部分だったでしょうか。
44分、中盤での山田康のカットからショートカウンターを仕掛けた山形、そのまま前進からミドルシュートを放った山田康。
しかしGK若原にセーブされると、跳ね返りを右サイドで拾った飯田から逆に京都のカウンター。
そして飯田のスルーパスが一気に裏を取り、抜け出してウタカが受けると、飛び出して来ていたGKビクトルをかわしてゴールは空っぽに。
サイドから放たれたウタカのシュートこそ山﨑がブロックで防ぐも、詰めた宮吉がビクトルが抑えるより早くスライディングでシュート。
ゴールへと吸い込まれ、カウンターのカウンターという形で京都が先制。
攻撃権を握っていた故の落とし穴に嵌まった感があった、このシーンの山形。
その後アディショナルタイムに、山形は中原・京都は荒木がたがいにシュートを撃ち合った末に、京都がボールを握ったまま前半終了となります。
リードしている京都が先に動いたハーフタイム。
荒木→武田へと交代し、松田が左インサイドハーフ→左ウイングへとシフトして後半に臨みます。
その後半1分にいきなり、山田康が右サイドをドリブル突破する所、京都・麻田が後ろから倒してしまい反則・警告。
第2クォーター同様に山形ペースを予感させる入りのシーンで、その通りの絵図を作り上げていく山形。
主にサイドでボールを運んだのち、奥での仕掛けをメインにして、カットインを頻繁に見せていく攻撃。
京都の中央の堅さ故、単純にクロスを上げただけでは通用しないと判断しての事だったでしょうか。
何度か際どいシーンを見せていきますが、シュートは7分に樺山が左からカットインして放ったもののみに終わり。(ブロックされCKに)
一方の京都、攻撃では裏狙いのロングパスを多用。
前半の先制点もあり、露骨なカウンター狙いへとシフトしていた感のあった後半立ち上がり。
また10分には、敵陣で三沢(福岡と交代で出場・8分)がボール奪取してから攻撃を展開、左サイドでの繋ぎから中央へミドルパスが送られ。
エリア手前で受けたウタカが、宮吉のポストプレイを挟んでシュートするもゴール左へと外れ。
山形の攻撃の勢いを吸収しつつ、ゴールを脅かす事でプレッシャーを与えていた節がありました。
山形がフィニッシュに辿り着けずにいると、迎えた15分の京都の攻撃。
右サイドで飯田・宮吉・ウタカが三角形を作ってボールを回し、そこに三沢が加わったのちダイレクトパスを繋いで前進。
最後に受けた三沢がエリア手前・右ハーフレーンから思い切ってミドルシュートを放つと、ブロックに当たってコースが変わったのもありゴールネットを揺らし。
貴重な追加点を得た京都。
以降も山形は主体的な攻撃を敢行するも、その後は京都のプレスに苦しみ。
18分と19分に立て続けに敵陣でボールカットし、好機に繋げた京都。
ペースを逆転させつつあった所で、後半の飲水タイムが挟まれます。(24分)
そして明ける際に双方選手交代、京都は荻原・宮吉→本多・白井。
一方山形は山田康・樺山→木戸・マルティノスと、ビハインドを跳ね返すべくマルティノスを初出場させる事に。(中原が右サイドハーフ→左SHへシフト)
仙台時代と同様に、右SHに入ったマルティノス。
しかし京都は最終ラインに対してはプレスを掛けるものの、自陣では素早く戻って守備ブロックを作るスタイル。
2点リードもあり、時間が進むにつれてこの傾向が強まり、結果敵陣でスペースが生まれない状況となり。
マルティノスを活かすという攻撃は既に難しく、またチーム全体も、京都のブロックの外側でパスを回す事を強いられた第4クォーター。
何とかエリア内を突かんとするも、京都の寄せの前にフィニッシュは遠く。
33分に右CKから、野田のヘディングシュートが放たれるも惜しくもゴール上へと外れてしまいます。
37分にヴィニシウス→林へと交代した山形、直後にマルティノスが右サイドからエリア内右奥へと切り込んでクロス。
流れた所をエリア内左で吉田が受け、シュートするもブロックに遭い、尚も南が追撃しますがこれもブロックに阻まれ右CKに。
そのCKから、キッカー中原のファーへのクロスにGK若原が飛び出すもこぼれ、マルティノスが中央で拾ってシュートしますがこれもブロックされてゴールは奪えず。
ここからCKを連続で得たものの、どうしても京都ディフェンスを破る事が出来ない山形。
そのCKの最中に、飯田→イスマイラへと交代した京都。(39分)
4-4-2へとフォーメーションを変え、ウタカ・イスマイラの2トップへと変更して終盤に臨み。(白井が右SBへに回る)
時間が進むにつれて厳しくなる山形。
右サイドでマルティノスにボールを持たせ、そこから彼の仕掛けから何とか紛れを生まんとします。
ATに入って最初の攻撃、ボールを持ったマルティノスが細かいタッチでのキープからエリア内右奥へと切り込み、マイナスのクロス。
京都・バイスに当たったボールが右ポストを叩き、さらに拾った中原がシュートを放つもブロックに阻まれ。
その「紛れ」により際どいシーンになりましたが、運も味方せずゴールとはなりませんでした。
尚も攻め上がる山形でしたが、最後は川﨑のドリブルを吉田が反則で止めたのが切欠で、京都に右サイド奥でボールをキープする事態に持ち込まれて万事休す。
そこから脱出する事が出来ず、京都のCKとなった所で試合終了の笛が吹かれ。
0-2で勝利した京都、磐田をかわして首位へ再浮上の運びとなりました。
残り試合も少なくなり、ペースの落ちない2強(京都・磐田)を前に、3位以下の(昇格を目指している)クラブは悲壮感を漂わせながらの戦いを強いられつつあり。
それでも何が起こるか解らない、という事を信じて終盤に勝利を重ねるしかない。
山形はこの日マルティノスが見せた仕掛けの精神で、何とかリーグに「紛れ」を起こしたい状況でしょうか。
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