普段はJ2メインなこのブログですが、今週水曜はJ1・J2共に休み(鳥栖vsガンバを除く)。
そんな訳でJ3の試合を観るという気まぐれを起こしてみました。
今季のJ3は、秋田が良くも悪くも引っ張っている印象。
これまで無敗と圧倒的な成績で首位を快走しているかと思えば、経営面では観客数水増し問題が浮上、謝罪を余儀なくされました。
そして先日J2ライセンス交付が条件付きで決定するに至り、昇格に向けての機運が高まっている状況です。
もう一方の自動昇格争いが白熱し、その中へ突入している状況なのが岐阜。
前年J2から降格したクラブで、知っている選手も多いため興味を持って試合を観る事が出来ましたが、この日はアウェイで今治と対戦。
今季の岐阜は1年での昇格を期して戦いに挑むに辺り、ゼムノヴィッチ・ズドラウゴ氏を監督に招聘。
2001~2002年に清水の監督を務めた事で有名で、天皇杯(第81回大会)で見事優勝を齎しました。
しかし2年目のリーグ戦で振るわず、その後続く清水混迷の入口を作ってしまい退任。
指導歴も晩年も迎え、再び日本で監督を務め(VONDS市原)、そして今季岐阜で仕事を果たす事となりました。
しかし同じ清水監督でいえば、オズワルド・アルディレス氏の晩年も振るわないもの(町田監督を務めるもJFL降格を招く)で、言葉は悪いが時代遅れのサッカーになっていやしないか。
そんな危惧が現実のものになったのでしょうか、9月21日にゼムノヴィッチ氏は休養、そのまま契約解除という運びとなってしまいました。(成績自体は下位に低迷という訳でも無いので、他の要因の可能性も)
後任はヘッドコーチだった仲田健二氏で、初の監督業が昇格を託されるという重い役割となりました。
しかし選手時代はもっと苦しい状況を経験している仲田氏(J2初期の甲府の中心選手)、そんな苦難は屁でも無いと言わんばかりに、就任後3連勝。
巧くチームを上昇機運に乗せ、この日を迎えています。
初の今治のホーム・ありがとうサービス.夢スタジアムでの試合を体験する岐阜。
その小さい箱の環境で、さらに全方位(バックスタンドは無いけど)アウェイに晒された影響でしょうか、前半は今治が押し気味の試合展開を描きます。
それでも立ち上がり(前半2分)に決定機を得た岐阜、左サイドバックの柳澤が、エリア手前の斜めからシュートを炸裂させます。
これをGK修行がセーブするも粟飯原が詰めてシュート、決まったかと思われたものの、ライン上で今治・チョンハンチョルがクリアして先制ならず。
最初のビッグチャンスをモノに出来なかった岐阜、その代償は大きく。
その後押され気味となり6分の今治のコーナーキック。
クロスのこぼれ球に越智が走り込み、シュート体勢に入った所を岐阜・川西のスライディングを受け、倒れると笛が鳴って反則・PKとなります。
澤上が務めたこのPKですが、ゴール右へのシュートはGK松本がナイスセーブ。
難を逃れた岐阜でしたが、試合内容は変わらず今治の攻勢は続きます。
そして10分、今度もセットプレー(左サイド深めからのフリーキック)で、キッカー上原のファーサイドへのクロスがワンバウンド。
これを原田がボレーシュート、しっかりとミートされたボールがグラウンダーでゴールを捉え、攻勢を先制点に結び付けました。
前半の岐阜は、フォーメーション的にバランスが悪いと感じました。
4-1-4-1という並びで、1トップには川西・1ボランチに竹田。
ボランチが1人で、誰かが降りてこない限りビルドアップでどん詰まりとなり、右サイドへロングボール→右サイドハーフ・町田ブライトの推進力を活かすのが主な攻撃となりました。
そんな岐阜を尻目に攻勢を掛ける今治ですが、こちらは4-4-2の形で、ビルドアップもボックス型とオーソドックス。
しかしSBはそれほど上がらず、ビルドアップの出口としての役割が主。
そして前にボールが進み上がる段階になっても、片方のSB(ボールサイドでは無い方)は最終ラインに残ったままという、J2以上の試合ではあまり見られない光景が。
リスクを冒さない立ち振る舞いが目立ちました。
ブライトの能力を活かす手口を採った岐阜、22分にそのブライトの右からのクロスで、川西が擦らすヘディングシュートを放つもゴール左に外れ。
慎重なサイドアタックを掛ける今治は、25分に右SH・山田のドリブルを突破口に、右SB・原田がエリア右角からシュートするもGK松本のセーブに阻まれます。
両者良い流れが生まれつつ飲水タイムへ。
しかし明けた30分、再び今治が岐阜エリア内を急襲します。
左SB・上原(キッカー担当)のライナーの縦パスをトラップした山田、その勢いのままエリア内へ抜け出してシュート。
GKとほぼ一対一で放たれたシュートはゴール上部を捉え、早い時間に追加点。
2-0となり盛り上がる今治、一方の岐阜はキックオフ前に円陣を組み直して活を入れます。
以降の岐阜はフォーメーションをやや弄ったか、左インサイドハーフ・中島が、ボランチの位置に降りて来てビルドアップの出口を担当。
4-2-3-1のような形となり、竹田が最終ラインに入る「丁の字型」でボールを運ぼうと試みます。
しかしその効果はあまり現れず、34分~40分まで今治の一方的な時間帯に。
反撃の糸口を掴めないままアディショナルタイムとなり、最後は今治が山田スルーパス→澤上エリア内でシュート(GK松本キャッチ)とチャンスを作るなど、流れも今治のまま前半を終えます。
秋田だけで無く、今治も条件付きでのJ2ライセンス交付と相成った今季。
1年での昇格という機運が今治で高まっているのはそのためですが、成績的には2位グループの一歩下ぐらいの立場。
説明不要の岡田武史氏がオーナーとなった事で、徐々に大きくなっていくクラブの流れを体験させてくれる、という点で非常に重要なクラブだと思っています。
現状のスタジアムは小規模ながら、新スタジアム建設案もほぼ決まり、以降の昇格への足掛かりも順調。
四国勢のJクラブは讃岐(J3最下位)が低迷、愛媛も停滞感が漂うなど伸び悩んでおり、彼らを大外から抜き去る存在となれるでしょうか。
後半開始の前に、岐阜は石川・粟飯原→大西・橋本へと2枚替え。
ハッキリとしたボランチの大西を入れる事で安定感を得ようとしたでしょうか。(中島は川西と2トップを組む)
そして勝利への架け橋として、ベテランの橋本(本職は左SB)を左SHに起用。
しかしいきなり、GK修行のロングフィードをクリアミスし、エリア内で林にシュートを浴びてしまう(GK松本セーブ)岐阜。
不安な入りを見せてしまいましたが、交代の橋本を軸にリズムを掴みます。
後半4分、左サイドで大西のスルーパスに反応した橋本がクロス、クリアされて右CKを獲得。
そのCK、キッカー中島のニアサイドへのクロスをイヨハ理ヘンリーが擦らすと、GK修行の直前でコースが変わり(ブライトが触った?)修行は何とか弾きます。
しかしそこに橋本が詰めてゴールし、期待通りに反撃の1点を挙げた橋本。
流れを失いかねない失点でしたが、今治も守勢に回る事無く振る舞います。
6分、楠美縦パス→林ポストプレイ→桑島エリア手前からシュートという流れる攻撃を見せたものの、またもGK松本がセーブ。
その後もしっかりとしたビルドアップを下地に、ペースを掴まんとします。
その振る舞いには好感が持て、恐らくカウンター狙いに入っていたら、岐阜の怒涛の攻撃の前にあっさり呑み込まれていたでしょう。
実際17分には岐阜の攻撃、川西のヘディングシュートもGK修行がセーブして防ぎ、その後は飲水タイムまで攻撃権を独占し岐阜の攻撃機会を減らします。
しかしその効果もここまでで、飲水タイム直後にまたも岐阜・橋本にチャンスが。
25分、クリアボールを拾った橋本がエリア内に進入、シュートしますがここもGK修行のセーブに救われます。
以降は岐阜の攻勢を凌ぐ展開を強いられます。
押せ押せの中、岐阜はついにジョーカーの高崎を投入。(中島と交代、同時に藤谷→北谷に交代・29分)
今治は30分に桑島がシュート(ゴール左へ外れ)、34分に玉城(澤上と交代で出場・16分)のシュート気味のクロスを桑島がヒールでコースを変えるシュート(GK松本セーブ)と攻め上がり。
ベンチも交代の準備を始め、近藤と片井が準備をするものの、ピッチ脇でのリュイス・プラナグマ・ラモス監督の指示を受ける時間が長い。
その間に岐阜のCKとなり、キッカー川西の中央へのクロスに高崎が跳ぶも越え、後ろで甲斐が繋いだボールをブライトがシュート。
倒れながらも放ったブライトのシュートがネットに突き刺さり、執念で同点に追い付いた岐阜。
遅まきながら近藤・片井が投入され(山田・桑島と交代)ましたが、ここからは戦術云々より精神力が試される時間帯。
再びリードを奪わんと岐阜を押し込み、セットプレーを多く得る攻撃。
原田のロングスローも交えながら、3点目を狙いに行きます。
しかし最後はその隙を突いた岐阜が微笑みます。(43分)
左サイドから橋本のクロスが上がるも右へ流れ、拾ったブライトから今度は右手前からクロスが上がると、ニアサイドで甲斐が頭でフリック。
ファーサイドに上がったボールを川西がノーマークでトラップ、そしてシュート。
GK修行の壁を破り、とうとう逆転を果たした岐阜。
その後今治は越智→飯泉へと交代(44分)、飯泉の頭を狙うパワープレイに望みを託すも、巧く時間を使う岐阜の前にロングボールを送る機会も少なく。
岐阜が勝利に辿り着き、4連勝で一気に2位争いの先頭を捉える位置へ浮上を果たしました。
白熱する2位争いに拍車をかけるかの如く、前述の秋田・今治以外にも、藤枝・相模原・盛岡と今季J2ライセンスを得たクラブが多数。
何処がJ2への切符を手にするか、非常に面白くなってきました。
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