ウエスティに猫な日々

日々の料理と外食、趣味の熱帯魚と読んだ本の感想と我が家の犬と猫の話。
ほか、日々のちよっとした独り言。

「峠の声」  伊集院 静

2014-12-06 23:17:16 | 
  「峠の声」  伊集院 静

       

本棚を整理していて、随分前に買ったままの本を見つけました。
買って数ページ読んでそのままになっていました。1992年発行、表紙が黄ばんでいます。
整理のため読みかけましたが、好みでなく、やっぱり一日数ページ読むと嫌な気持ちになって、なかなか前に進みませんでした。
「峠の声」は、帯に〔 待望の秀作集! 清澄な名作 〕と書かれていますが、暗くて陰気で読むのに数日かかりました。
~~~~~~~
  「峠の声」
毎年、母と五三男は父親の墓参りに峠に行く。途中のハゼの木の下に来ると母はいつも「誰かの声がする」と言い出す。
病気の父が亡くなった日のことを思い出した。
母は五三男が小さいころから、茶筒の白い紙の方は番茶木(虫殺し) 赤い紙は山兜(人殺し)と口が酸っぱくなるほど言っていた。
あの日、父は母にすがって何かを頼んでいた。
母は畑の虫を殺しに行くと言い出して筒を出したが、後には赤い筒も転がっていた。
「あっちの国へ行けるかの」「心配するな、行かせてやる」・・・・「まさか?」  

  「化粧坂(けわいざか)」  
長期滞在のホテル客で詩人の市村辰之助が、薬を飲んで自殺した。
ホテル従業員のかなゑは通夜に行き、辰之助の死化粧をみて、彼が「化粧坂はこの坂に、平家の武将の首をさらしたとき化粧をしたからそう呼ばれる」
と言っていたのを思い出す。

  「黙り蜜柑」
家族ぐるみで付き合っていた羽振りのいい栗栖に、母が父に黙って多額の金を貸し出していた。
栗栖は倒産と同時に逃亡した。家の金の半分以上貸していて翌日から家は大変なことになり、母は泣いて家族に謝った。
やっと栗栖を探し出し母と尋ねると、トタン屋根の引揚げ者住宅と呼ばれる粗末な家で、何にもない。
栗栖は二人の前に「これでもどうぞ」と一個の夏蜜柑を差し出した。

  「聖夜」
19年前に別れた元妻から娘が会いたがっていると電話があった。子供2人には20歳になるまで仕送りをしていた。
19年ぶりに娘と会って食事をし、少し話して別れた。 娘は美しい顔で笑い走り去った。

  「冷めた鍋」
父は、病気の母のために猫を鍋にして飲ませたのかも? 冗談かそれとも本当のことか。
~~~~~~~
有名で、直木賞も受賞されていて、色々な話題でよくお見かけする方ですが、この本は楽しめませんでした。
「聖夜」は父娘の話で、少し救われる話でした。



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猫は~丸くなる。犬は~

2014-12-03 22:58:23 | 犬と猫
2~3日前から急に寒くなって、朝の犬の散歩もブルブルです。
風が強く、庭の金木犀の鉢植えが横倒しになっていました。何かの箱がコロコロ道を転がっています。
体は正直で、暖かい間は調子のよかった腰が、途端に痛みだしました。
そろそろ、また整体に行かなくちゃかも。

猫は、炬燵の部屋はパズルで立ち入り禁止なので、毛布で丸まって可愛い寝顔です。

            


                           

犬は、ストーブの前でずっとお昼寝です。
冬用の大きなベッドを買ったのに、小さい狭いベッドがお気に入りみたいです。

            

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 「ゆがんだ闇」 角川ホラー文庫 

2014-12-02 01:08:00 | 
    「ゆがんだ闇」

       

 「生きがい」      小池 真理子
 「ナイトダイビング」  鈴木 光司
 「子羊」         篠田 節子
 「白い過去」      坂東 眞砂子
 「兆し」         小林 泰三
 「Gene」        瀬名 秀明

作家6人のホラー小説の競作。10年以上前に読んだ覚えがありましたが、最後を忘れているのもあったので再読。
「子羊」は、恐ろしくてよく覚えていました。
~~~~~~~~
上流階級の人たちは、子供が生まれると、その子の原始卵胞を取り出して保存しておき、必要な時が来たら培養液で成熟させる。
子供達は、臓器移植する日まで、シスター達に神の子として大切に育てられ、神の国に送られる前に、一つ願いをかなえられる。
M24(子供のネーム)は、前に見た少年の笛が聞きたいと希望して、かなえられる。
少年により事実を教えられ、逃げるように誘われる。

この「子羊」によく似た映画がありました。
2005年に映画館で観たアメリカ映画「アイランド」  主演 ユアン・マクレガー とスカーレット・ヨハンソン

大気汚染から隔離された清潔な都市空間コミュニティーで規則正しく暮らす人々は、
時々行われる抽選で選ばれた人だけが地上最高の楽園「アイランド」へ行ける。
みんなそれを心待ちにしているが、真実は、外の世界のオリジナルの人たちが契約している保険会社が造ったクローンたちで、
クライアントが臓器が必要になれば、移植用に連れて行かれる。
それを知ったクローン人間の二人は逃亡する。彼らと政府の死闘を描いた近未来SF。
~~~~~~~~
医学や科学や化学の発展で、人の命が救えたり、病気を治したり、不自由な体を助ける器具を作ったりできることは喜ばしいことですが、
人間は命の誕生から終わりまでの、どこまで踏み込むことが許されることなのか、考えさせられます。


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