速記係”ギィ”役の井上裕朗さんは、最初この舞台の台本を読んだ時途方に暮れたとか。
ほとんど言葉を発さず、舞台上のテーブルに居る時間がとてつもなく長い役、ギィ。
しかし、井上さんは相馬イーブ・伊藤ロバート組と稲葉イーブ・伊達ロバート組において、その各々のコンビの創り出すお芝居の雰囲気がまるで違うため、ギィがどちらでも同じ雰囲気にならない様に役づくりしてこのお芝居に取り組んだそうです。
ロバートとの関係性も、伊藤さんと伊達さんとでは”ギィ”はただの速記係ではなく、伊達さんとではギィは右腕的な「スーパーサブ」。
伊藤さんとでは、彼が若いので、ギィはやはり刑事であるロバートの父親と昔ずっとコンビを組んでいた元・相棒。
井上さんはブログしていらっしゃって、御自分の出演された舞台や共演された役者さんたちの事などを書かれています。
”blue cafe net”井上さんブログ
「ブラックホール」と言うタイトルの記事がこの舞台の時に書かれた物です。
この井上さんの書かれた文章を読んで、アタシが相馬さんの時も稲葉さんの時もカーテンコールで涙を流してしまった理由が少し解かる気がしました。
「イーブをどうにかして救ってあげたいが、その方法が見つからない。かける言葉すら見つけることが出来ない。ひたすら無力。」
「孤独と絶望の果てに行ってしまった彼をなんとか引っ張り戻したくて、そして彼の勇気を讃えたくて、袖中で毎公演彼を抱きしめた。ふたりして泣いた。」
舞台袖の暗がりでの光景が目に浮かび、胸が締め付けられる様な感覚に襲われます。井上さんの感情がとてもよく理解出来ます。
アタシは人の好き嫌いが激しく「あの人嫌い。苦手。」とすぐ言ってしまうけど、本当はよく見たら人は誰でもいいところを必ず一つは持ってる。つぶさに見つめればもっと見つかる。
でも、アタシは目先ばかりにとらわれて人見知りの性格も手伝って、すぐに人を見つめる事が面倒でやめてしまう。
井上さんの文章を読んでいると、きっとこの人は人をつぶさに見つめる事を面倒くさがらないでやれる人なんだろうなぁと感じます。
そしてそれが井上さんの役者としての血肉になっているんだろうなぁと。
役者さんもミュージシャンも写真家も絵描きも物書きも「発信」する職業だけど、発信するまでにはたくましく「受信」する力が必要不可欠なわけで、受信できないと発信出来ないとアタシは思っています。
井上さんはそんな「受信力」の強い人なんだろうなと。
そしてそれも表現者としての「才能」なんだなと。
稲葉・伊達コンビでは、この井上さん演じるギィと絶妙なコンビネーションで様々な事件に取り組んで来たであろう伊達さん演じる刑事。
確か舞台上にギィが不在だった時の場面だと思いますが、舞台のテーブルに伊達さんが乗って立ち上がり、判事のデスクに居る稲葉イーブを真正面から見据えて「俺はお前を絶対に逮捕してやるからな」と言う様な宣言をする場面がありました。
凄くかっこよかったんです。
宣戦布告の様な、ロバート刑事の本気を示すパフォーマンスが実にキマッていました。
同時にここからイーブも本腰を入れて、この大人達と対決しようとします。
しかしそれは相馬さんのイーブの時と同じく、彼が己の痛みと孤独に打ちのめされる事を意味していました。
つづく。
ほとんど言葉を発さず、舞台上のテーブルに居る時間がとてつもなく長い役、ギィ。
しかし、井上さんは相馬イーブ・伊藤ロバート組と稲葉イーブ・伊達ロバート組において、その各々のコンビの創り出すお芝居の雰囲気がまるで違うため、ギィがどちらでも同じ雰囲気にならない様に役づくりしてこのお芝居に取り組んだそうです。
ロバートとの関係性も、伊藤さんと伊達さんとでは”ギィ”はただの速記係ではなく、伊達さんとではギィは右腕的な「スーパーサブ」。
伊藤さんとでは、彼が若いので、ギィはやはり刑事であるロバートの父親と昔ずっとコンビを組んでいた元・相棒。
井上さんはブログしていらっしゃって、御自分の出演された舞台や共演された役者さんたちの事などを書かれています。
”blue cafe net”井上さんブログ

「ブラックホール」と言うタイトルの記事がこの舞台の時に書かれた物です。
この井上さんの書かれた文章を読んで、アタシが相馬さんの時も稲葉さんの時もカーテンコールで涙を流してしまった理由が少し解かる気がしました。
「イーブをどうにかして救ってあげたいが、その方法が見つからない。かける言葉すら見つけることが出来ない。ひたすら無力。」
「孤独と絶望の果てに行ってしまった彼をなんとか引っ張り戻したくて、そして彼の勇気を讃えたくて、袖中で毎公演彼を抱きしめた。ふたりして泣いた。」
舞台袖の暗がりでの光景が目に浮かび、胸が締め付けられる様な感覚に襲われます。井上さんの感情がとてもよく理解出来ます。
アタシは人の好き嫌いが激しく「あの人嫌い。苦手。」とすぐ言ってしまうけど、本当はよく見たら人は誰でもいいところを必ず一つは持ってる。つぶさに見つめればもっと見つかる。
でも、アタシは目先ばかりにとらわれて人見知りの性格も手伝って、すぐに人を見つめる事が面倒でやめてしまう。
井上さんの文章を読んでいると、きっとこの人は人をつぶさに見つめる事を面倒くさがらないでやれる人なんだろうなぁと感じます。
そしてそれが井上さんの役者としての血肉になっているんだろうなぁと。
役者さんもミュージシャンも写真家も絵描きも物書きも「発信」する職業だけど、発信するまでにはたくましく「受信」する力が必要不可欠なわけで、受信できないと発信出来ないとアタシは思っています。
井上さんはそんな「受信力」の強い人なんだろうなと。
そしてそれも表現者としての「才能」なんだなと。
稲葉・伊達コンビでは、この井上さん演じるギィと絶妙なコンビネーションで様々な事件に取り組んで来たであろう伊達さん演じる刑事。
確か舞台上にギィが不在だった時の場面だと思いますが、舞台のテーブルに伊達さんが乗って立ち上がり、判事のデスクに居る稲葉イーブを真正面から見据えて「俺はお前を絶対に逮捕してやるからな」と言う様な宣言をする場面がありました。
凄くかっこよかったんです。
宣戦布告の様な、ロバート刑事の本気を示すパフォーマンスが実にキマッていました。
同時にここからイーブも本腰を入れて、この大人達と対決しようとします。
しかしそれは相馬さんのイーブの時と同じく、彼が己の痛みと孤独に打ちのめされる事を意味していました。
つづく。