取りあえず。
お芝居の千秋楽と言うのを初めて経験しました。
舞台には独特の雰囲気がありました。客席にも。
上川チャンスと浅丘アレクサンドラのやり取りもこれで最後かと思うと、静かにそっと観ていたかったのですが
「段差をぴょんっ」
ではやっぱり「グフッ」っと笑ってしまうし、ハシシを吸って急に笑い出したアレクサンドラを見て動揺し慌てて「吸って!吸って!」と言うチャンスに、子供みたいな「はい。」を言うアレクサンドラにも「うひゃひゃ」となってしまうし、そこそこ満足発言に「あぁ、そうかい、そうかい。」とでも言う様に何度も頷いてるチャンスにも「がははっ」となってしまいました。”そこそこ”って言われるのも今日で最後なんだなぁと思うとなかなか感慨深かったです。
アレクサンドラのトラベラーズチェックを換金しに行くと言うフロントへの電話を聞いて有頂天になるチャンス。
着替えながらキャデラックで町へ出かけると言います。ベッドの後方にあるバッグから白いソックスを出し、両手でヒュンヒュン振り回しながら前に出て来ます。この場面でアタシが心の中で
「子供かっ!!!」
とツッコむのも今日で最後です。だって「ひゅー」とかなんとか自分でも言ってんだもん。
思えばこの「渇いた太陽」と言うお芝居の登場人物達の会話は噛み合っていないと言うか、話していても楽しい雰囲気ではなかった気がします。
なので時折登場する笑える場面に、アタシの心は随分とホッとしました。
二幕では、キャデラックでホテルへやって来たチャンスの台詞にアドリブが。
キャデラック到着場面は「音」だけで表現されています。室外で何かがぶつかる音がして、チャンスの声がします。
町中を走り回って来たキャデラックを最後の駐車でぶつけたチャンス。
「まいったなぁ~最後でやっちまった・・・」みたいな事を言います。
本日は
「最後で・・、本当に最後の最後なのに」なんて言っていました。
最後までちゃんと停めらんなかったんですね。
この場面、千住の初日ではもっと長かったんです。ホテルのスタッフに駐車を頼む声がして、またぶつかる音がします。「おい、何やってんだ!僕がぶつけるのと君がぶつけるのとじゃ意味が違うんだ!」みたいなチャンスの台詞の後にまたぶつける音がして
「学べぇぇぇーーーーっ!!」
ってチャンスが言っていたんです。思わず「ブフッ」って笑ってしまったんですが、クリエ初日ではなくなってました。
そして千秋楽の本日は事件発生。
ウォッカをロックで呑んだり、怪しい薬をお酒で飲んで常にフラフラなチャンス・ウェイン。
彼を探して部屋から出て来たアレクサンドラに部屋へ戻るよう言いますが、彼女は離れようとしません。大声で彼女のために車椅子を用意するように言います。また発作が起きた、と。プライドを傷つけられたアレクサンドラは、チャンスを突き飛ばします。
突き飛ばされ、舞台の向かって左に置いてある脚の4本ある長椅子の方に行ったチャンス。フラフラする足でそこまでたどり着くと、己をコントロール出来ずその椅子ごと後ろへひっくり返ってしまいました。
「ドンっ!」と音がして、チャンスの体は後ろへ倒れた椅子の底の向こう側に。椅子の後ろはすぐに壁だったため、何かが壁にぶつかる音がしました。
アタシはそちら側の何もさえぎる物の無い席に座っていたので、一部始終が目の前で起こりました。
でも、あからさまな流血もなかったし芝居は続けられました。
彼らはプロの役者さん達なのだし、余程の事が無ければお芝居が止まる事はないはず。
客席も共演者達も彼の事を心配はしつつも信じて、舞台の空気に戻りました。
アタシはこれをハプニングだと思っているんですが・・・もしや・・・わざと・・・?
いやいや、まさか・・・ねぇ。
あぶないもん。
このお話の中では人種差別も描かれています。ホテルのボーイの黒人青年である”フライ”は、一幕の最初に出て来ますが二幕にも出て来ます。彼はとても真面目で働き者で、笑顔の可愛い人です。しかし、二幕では町の権力者ボス・フィンリーのでたらめな演説を聞いて悔しそうに顔をしかめます。
誠実そうな彼がそんな表情をしてあふれ出す感情を押し殺すように、椅子で床をトンっと小さく叩きます。でも今日は押し殺さず、椅子を倒して自分の気持ちを表現してみせてくれました。
”フライにもう一度笑顔を見せて欲しい”
お話の中ではもう彼は登場しません。バツが悪そうに下をむいて舞台を去る彼を見ながら、”あの笑顔をもう一度”と願わずにはいられませんでした。
さて、ラストの方でチャンスは泣いていました。
アレクサンドラも体を小さく震わせて、瞳は涙でいっぱいでした。
チャンス・ウェインと言う男は自分の潮時を認めず現実逃避気味に暴走し、怪しい薬なんかでフラフラなどうしようもない男です。
しかし、自分に起こりえているトラブルじみた事には「何か意味がある」と彼は言います。
ギリギリの所で、誰かのせいにはしないで逃げないでいることにアタシは「望み」を感じます。
ラストシーンは二人の命が危険にさらされたまま終わります。
アタシは自分の感じた一つの「望み」が二人の命を救って欲しいと願いました。
カーテンコールでは、ボス・フィンリー役の渡辺哲さんに何か言われ、頷いて上川さんの口が「ありがとうございます。」と動いたのが見えました。男らしい、やり遂げた表情をされていました。
二度目でスタンディングオベーションに。観客はほぼ全員が立ちました。
何か客席から声も飛んでいました。
上川さんと浅丘さんだけで出て来るカーテンコールでは、浅丘さんが上川さんに手を差し出すようにして拍手を、「いえいえ!」と上川さんが浅丘さんの方へ手を差し出すようにして拍手を。
お二人が舞台を去っても拍手は鳴りやまず、公演終了のアナウンスが流れても拍手は鳴りやまず。まるでライブのアンコールの様に、「パン、パン、パン、パン!」と、もはや手拍子状態に。
ステージがもう一度明るくなって、歓声が。
浅丘さんが上川さんの手を引っ張るようにして出て来てくれました。
そして、もう一度出演者全員を呼び込みました。
感極まる様な表情を何度も見せた上川さん。その唇が「ありがとうございます。」と動きました。
「ブラボー!!」
と言う男性の声がとんで、「ありがとうございます。」と浅丘さんが。
膝間付くようにしてお辞儀をしていた浅丘さん。何度目かに出て来た時、泣いてらっしゃいました。
大きな惜しみない拍手が出演者全員に贈られました。出演者の皆さんも客席に向かって拍手を。一列に並んだ皆さんはとても素敵な笑顔をされてました。観客席からは役者さんの名前を呼ぶ声やら、何やら聞こえてきました。
この時、渡辺さんがまた何かを上川さんに言ったんです。身振り手振りで・・・。なんか・・・
「これ、やる?」
みたいに見えたんです。そしたら上川さんが笑いながら首を横に振って
「やりませんっ!」
みたいな。
なんだろ、あれ気になる
渡辺さん、何をやろうとしたの
全員で手をつないで深く客席に一礼し、出演者の皆さんは舞台を去って行きました。
浅丘さんと何度も手を振り合ってしまいました。
アタシもあなたみたいにパッションとエネルギーを持って生きて行きたい。
そう思いながら、両手で手を振りました。
大女優パワー頂きました。
アタシは素人ですが、演ずるのがとてもハードなお芝居であったんじゃないかと感じています。
だからこそチーム力が高くなければ、出来なかったんじゃないかとも。
本当にお疲れ様でした。
そして、ありがとうございました。
お芝居の千秋楽と言うのを初めて経験しました。
舞台には独特の雰囲気がありました。客席にも。
上川チャンスと浅丘アレクサンドラのやり取りもこれで最後かと思うと、静かにそっと観ていたかったのですが
「段差をぴょんっ」
ではやっぱり「グフッ」っと笑ってしまうし、ハシシを吸って急に笑い出したアレクサンドラを見て動揺し慌てて「吸って!吸って!」と言うチャンスに、子供みたいな「はい。」を言うアレクサンドラにも「うひゃひゃ」となってしまうし、そこそこ満足発言に「あぁ、そうかい、そうかい。」とでも言う様に何度も頷いてるチャンスにも「がははっ」となってしまいました。”そこそこ”って言われるのも今日で最後なんだなぁと思うとなかなか感慨深かったです。
アレクサンドラのトラベラーズチェックを換金しに行くと言うフロントへの電話を聞いて有頂天になるチャンス。
着替えながらキャデラックで町へ出かけると言います。ベッドの後方にあるバッグから白いソックスを出し、両手でヒュンヒュン振り回しながら前に出て来ます。この場面でアタシが心の中で
「子供かっ!!!」
とツッコむのも今日で最後です。だって「ひゅー」とかなんとか自分でも言ってんだもん。
思えばこの「渇いた太陽」と言うお芝居の登場人物達の会話は噛み合っていないと言うか、話していても楽しい雰囲気ではなかった気がします。
なので時折登場する笑える場面に、アタシの心は随分とホッとしました。
二幕では、キャデラックでホテルへやって来たチャンスの台詞にアドリブが。
キャデラック到着場面は「音」だけで表現されています。室外で何かがぶつかる音がして、チャンスの声がします。
町中を走り回って来たキャデラックを最後の駐車でぶつけたチャンス。
「まいったなぁ~最後でやっちまった・・・」みたいな事を言います。
本日は
「最後で・・、本当に最後の最後なのに」なんて言っていました。
最後までちゃんと停めらんなかったんですね。
この場面、千住の初日ではもっと長かったんです。ホテルのスタッフに駐車を頼む声がして、またぶつかる音がします。「おい、何やってんだ!僕がぶつけるのと君がぶつけるのとじゃ意味が違うんだ!」みたいなチャンスの台詞の後にまたぶつける音がして
「学べぇぇぇーーーーっ!!」
ってチャンスが言っていたんです。思わず「ブフッ」って笑ってしまったんですが、クリエ初日ではなくなってました。
そして千秋楽の本日は事件発生。
ウォッカをロックで呑んだり、怪しい薬をお酒で飲んで常にフラフラなチャンス・ウェイン。
彼を探して部屋から出て来たアレクサンドラに部屋へ戻るよう言いますが、彼女は離れようとしません。大声で彼女のために車椅子を用意するように言います。また発作が起きた、と。プライドを傷つけられたアレクサンドラは、チャンスを突き飛ばします。
突き飛ばされ、舞台の向かって左に置いてある脚の4本ある長椅子の方に行ったチャンス。フラフラする足でそこまでたどり着くと、己をコントロール出来ずその椅子ごと後ろへひっくり返ってしまいました。
「ドンっ!」と音がして、チャンスの体は後ろへ倒れた椅子の底の向こう側に。椅子の後ろはすぐに壁だったため、何かが壁にぶつかる音がしました。
アタシはそちら側の何もさえぎる物の無い席に座っていたので、一部始終が目の前で起こりました。
でも、あからさまな流血もなかったし芝居は続けられました。
彼らはプロの役者さん達なのだし、余程の事が無ければお芝居が止まる事はないはず。
客席も共演者達も彼の事を心配はしつつも信じて、舞台の空気に戻りました。
アタシはこれをハプニングだと思っているんですが・・・もしや・・・わざと・・・?
いやいや、まさか・・・ねぇ。
あぶないもん。
このお話の中では人種差別も描かれています。ホテルのボーイの黒人青年である”フライ”は、一幕の最初に出て来ますが二幕にも出て来ます。彼はとても真面目で働き者で、笑顔の可愛い人です。しかし、二幕では町の権力者ボス・フィンリーのでたらめな演説を聞いて悔しそうに顔をしかめます。
誠実そうな彼がそんな表情をしてあふれ出す感情を押し殺すように、椅子で床をトンっと小さく叩きます。でも今日は押し殺さず、椅子を倒して自分の気持ちを表現してみせてくれました。
”フライにもう一度笑顔を見せて欲しい”
お話の中ではもう彼は登場しません。バツが悪そうに下をむいて舞台を去る彼を見ながら、”あの笑顔をもう一度”と願わずにはいられませんでした。
さて、ラストの方でチャンスは泣いていました。
アレクサンドラも体を小さく震わせて、瞳は涙でいっぱいでした。
チャンス・ウェインと言う男は自分の潮時を認めず現実逃避気味に暴走し、怪しい薬なんかでフラフラなどうしようもない男です。
しかし、自分に起こりえているトラブルじみた事には「何か意味がある」と彼は言います。
ギリギリの所で、誰かのせいにはしないで逃げないでいることにアタシは「望み」を感じます。
ラストシーンは二人の命が危険にさらされたまま終わります。
アタシは自分の感じた一つの「望み」が二人の命を救って欲しいと願いました。
カーテンコールでは、ボス・フィンリー役の渡辺哲さんに何か言われ、頷いて上川さんの口が「ありがとうございます。」と動いたのが見えました。男らしい、やり遂げた表情をされていました。
二度目でスタンディングオベーションに。観客はほぼ全員が立ちました。
何か客席から声も飛んでいました。
上川さんと浅丘さんだけで出て来るカーテンコールでは、浅丘さんが上川さんに手を差し出すようにして拍手を、「いえいえ!」と上川さんが浅丘さんの方へ手を差し出すようにして拍手を。
お二人が舞台を去っても拍手は鳴りやまず、公演終了のアナウンスが流れても拍手は鳴りやまず。まるでライブのアンコールの様に、「パン、パン、パン、パン!」と、もはや手拍子状態に。
ステージがもう一度明るくなって、歓声が。
浅丘さんが上川さんの手を引っ張るようにして出て来てくれました。
そして、もう一度出演者全員を呼び込みました。
感極まる様な表情を何度も見せた上川さん。その唇が「ありがとうございます。」と動きました。
「ブラボー!!」
と言う男性の声がとんで、「ありがとうございます。」と浅丘さんが。
膝間付くようにしてお辞儀をしていた浅丘さん。何度目かに出て来た時、泣いてらっしゃいました。
大きな惜しみない拍手が出演者全員に贈られました。出演者の皆さんも客席に向かって拍手を。一列に並んだ皆さんはとても素敵な笑顔をされてました。観客席からは役者さんの名前を呼ぶ声やら、何やら聞こえてきました。
この時、渡辺さんがまた何かを上川さんに言ったんです。身振り手振りで・・・。なんか・・・
「これ、やる?」
みたいに見えたんです。そしたら上川さんが笑いながら首を横に振って
「やりませんっ!」
みたいな。
なんだろ、あれ気になる
渡辺さん、何をやろうとしたの
全員で手をつないで深く客席に一礼し、出演者の皆さんは舞台を去って行きました。
浅丘さんと何度も手を振り合ってしまいました。
アタシもあなたみたいにパッションとエネルギーを持って生きて行きたい。
そう思いながら、両手で手を振りました。
大女優パワー頂きました。
アタシは素人ですが、演ずるのがとてもハードなお芝居であったんじゃないかと感じています。
だからこそチーム力が高くなければ、出来なかったんじゃないかとも。
本当にお疲れ様でした。
そして、ありがとうございました。