舞台「クロードと一緒に」再演、無事幕を下ろしました。
アタシしは二公演拝見し、二公演ともBlancでしたので”クロードと一緒に”史上もっとも感情的であった刑事と、もっとも幼く制御不能である”彼”イーブに出逢えた再演でした。
最後にはやはり、涙が出ました。
どうしても、一人の青年を救えなかった気持ちに勝てず、この手を落ちて暗闇に飲まれてしまった美しい金色の髪の男の子を思うと、哀しくて泣けてしまった。
松田さんの演じるイーブから伝わって来る物は、一般的な常識では考えられない事であっても、「それのどこがいけないのか、どうしてそれが批難されるべきことなのか」悪びれる事なくピュアに分からないと言う様な、天真爛漫とでも言いたい位の少年っぽさでした。しかし、その純粋さはどこか歪んで、時折、不協和音を奏でては彼を苦しませているような。
きっと今まで彼には、誰も、どの大人も
「イーブ、それはしてはいけない事なんだよ。」
と教えてくれなかったんじゃないかと感じました。本気で向かい合ってくれた大人が居ないまま成長してしまったんじゃないかと。
でも、イーブは夜な夜な客を取るため公園に立って、これが正常なわけがないと言う事はもう知っているんですね。
だから時々寝る前とかに「へどが出そうになる。」んだと思うんです。
そんなイーブを強く抱きしめて「よしよし。」と言ってくれた恋人のクロードの愛を、ほんの少しだって見落としたくなくて、イーブは精一杯出来うる限りの心と力でクロードを想ったんじゃないかと感じました。
その行く先が最愛の人の死であったのにもかかわらず、イーブは「あの人を愛してる。」と幾つもの夜に切り刻まれてボロボロになりながらも告白します。
「愛していた」ではなく、「愛している」と。
果てしない憎悪と、温かくて大きくて柔らかい愛にたった一人で対峙して演じた松田凌さんに敬意を表します。
松田イーブの激しさは、ピュアでありすぎるからこその爆発であると感じた再演でした。
本日の千秋楽で、今まで行った事のない領域までたどり着いたのではと感じる瞬間がありました。
きっとこの公演を終えた後の景色は今までとは違って見えていると思います。
お疲れ様でした。そして、ありがとう。
アタシは刑事役でしか拝見出来ませんでしたが、唐橋充さん。長くウェーブのかかった髪を振り乱しながらイーブに詰め寄る迫力が凄かった。
「俺はお前を逮捕するためには何でもやる、何でもだ!俺には根性があるからだ!!!」
この台詞が好きでした。激しく言い合い怒鳴り散らしてはいるものの、イーブとはちゃんと向き合ってると思ったんです。
人間くさい人。
この人が刑事と言う職についたの何故なのか?そう考えた時、唐橋さんの演じる刑事はこの「諦めなさ加減」が芯なのだと思いました。生まれ持った探求する事に関しての欲が。どうしても決着をつけたい人なのだと感じた刑事でした。
同じく、ギィ役でしか拝見出来なかったけれど山口大地さん。イーブが己の忌まわしき運命と闘うように独白を続けるうちに、ギィは記録を取るのをやめます。じっとイーブを見つめ、その話に耳を傾けていました。
冷静で常識人のギィにとっては、イーブの生きる世界などまったく分からないでしょう。
今まで聞いた事のない真実の告白に、大きな衝撃を受けたかもしれません。
しかし、大人として一人の青年に何か言葉をかけてやりたくて、告白を終えて脱力しているイーブの後ろ姿に近づき何か言おうとします。
が、何も言葉が出て来ないのです。
イーブのためにドアを開けて待ちますが、来ないと分かると耐え切れず一番先に部屋を出てゆきました。
きっと多くの大人は、イーブの話を聞いた直後はこんな態度を取るんじゃないかと思いました。
このお話の”救済”である、ラトレイユ役・鈴木ハルニさん。
この写真、可愛いわぁ~~
初演からの続投はハルニさんだけ。今回も「大ですか?小ですか?」の質問あり
あげく、イーブにも「大か?小・・」と聞こうとして、刑事に「聞くな!」と突っ込まれる始末
冒頭ではドアをガチャガチャとやって「アレ?あ、押すのか。」なんて言いながら舞台に登場し、帰る時も「あ、こっちからは引くんだね、あぁーおかしー」とか言いながら退場。出た、この空気の読めなさ加減
刑事に「外線は頭に9か?」と電話の使い方を聞かれ、「聞いてみます。」とか言って電話をかけますが
「あのぉー、もしもーし!ちょっと電話が遠いみたいなんですけどぉーーーーっ!!」
手元を見ると受話器が逆さまとかね
このピリピリした空気感の中にあって、ラトレイユの存在は本当に救いだと思うわけです。
「クロードと一緒に」に関してはずっとラトレイユは鈴木ハルニさんで演じて欲しいと思います
出演者の方々、関係者の方々に大きな拍手を送りたいです。
お疲れ様でした。
この舞台もまた、忘れえぬ物語です。
再演を初めて観劇した後電車に乗り、Heartと言うバンドの演奏する「Love Hurts」と言う曲をイヤホンで聴くうち涙が出そうになり、必死でこらえて帰りました。
涙目でつり革につかまるオバサンを、学校帰りの高校生が不思議そうに見ていました。
またいつかこの物語に会いに来れるのでしょうか。
そんな事を今、ぼんやりと考えています。
本当にありがとうございました。
さようなら、イーブ。
アタシしは二公演拝見し、二公演ともBlancでしたので”クロードと一緒に”史上もっとも感情的であった刑事と、もっとも幼く制御不能である”彼”イーブに出逢えた再演でした。
最後にはやはり、涙が出ました。
どうしても、一人の青年を救えなかった気持ちに勝てず、この手を落ちて暗闇に飲まれてしまった美しい金色の髪の男の子を思うと、哀しくて泣けてしまった。
松田さんの演じるイーブから伝わって来る物は、一般的な常識では考えられない事であっても、「それのどこがいけないのか、どうしてそれが批難されるべきことなのか」悪びれる事なくピュアに分からないと言う様な、天真爛漫とでも言いたい位の少年っぽさでした。しかし、その純粋さはどこか歪んで、時折、不協和音を奏でては彼を苦しませているような。
きっと今まで彼には、誰も、どの大人も
「イーブ、それはしてはいけない事なんだよ。」
と教えてくれなかったんじゃないかと感じました。本気で向かい合ってくれた大人が居ないまま成長してしまったんじゃないかと。
でも、イーブは夜な夜な客を取るため公園に立って、これが正常なわけがないと言う事はもう知っているんですね。
だから時々寝る前とかに「へどが出そうになる。」んだと思うんです。
そんなイーブを強く抱きしめて「よしよし。」と言ってくれた恋人のクロードの愛を、ほんの少しだって見落としたくなくて、イーブは精一杯出来うる限りの心と力でクロードを想ったんじゃないかと感じました。
その行く先が最愛の人の死であったのにもかかわらず、イーブは「あの人を愛してる。」と幾つもの夜に切り刻まれてボロボロになりながらも告白します。
「愛していた」ではなく、「愛している」と。
果てしない憎悪と、温かくて大きくて柔らかい愛にたった一人で対峙して演じた松田凌さんに敬意を表します。
松田イーブの激しさは、ピュアでありすぎるからこその爆発であると感じた再演でした。
本日の千秋楽で、今まで行った事のない領域までたどり着いたのではと感じる瞬間がありました。
きっとこの公演を終えた後の景色は今までとは違って見えていると思います。
お疲れ様でした。そして、ありがとう。
アタシは刑事役でしか拝見出来ませんでしたが、唐橋充さん。長くウェーブのかかった髪を振り乱しながらイーブに詰め寄る迫力が凄かった。
「俺はお前を逮捕するためには何でもやる、何でもだ!俺には根性があるからだ!!!」
この台詞が好きでした。激しく言い合い怒鳴り散らしてはいるものの、イーブとはちゃんと向き合ってると思ったんです。
人間くさい人。
この人が刑事と言う職についたの何故なのか?そう考えた時、唐橋さんの演じる刑事はこの「諦めなさ加減」が芯なのだと思いました。生まれ持った探求する事に関しての欲が。どうしても決着をつけたい人なのだと感じた刑事でした。
同じく、ギィ役でしか拝見出来なかったけれど山口大地さん。イーブが己の忌まわしき運命と闘うように独白を続けるうちに、ギィは記録を取るのをやめます。じっとイーブを見つめ、その話に耳を傾けていました。
冷静で常識人のギィにとっては、イーブの生きる世界などまったく分からないでしょう。
今まで聞いた事のない真実の告白に、大きな衝撃を受けたかもしれません。
しかし、大人として一人の青年に何か言葉をかけてやりたくて、告白を終えて脱力しているイーブの後ろ姿に近づき何か言おうとします。
が、何も言葉が出て来ないのです。
イーブのためにドアを開けて待ちますが、来ないと分かると耐え切れず一番先に部屋を出てゆきました。
きっと多くの大人は、イーブの話を聞いた直後はこんな態度を取るんじゃないかと思いました。
このお話の”救済”である、ラトレイユ役・鈴木ハルニさん。
この写真、可愛いわぁ~~
初演からの続投はハルニさんだけ。今回も「大ですか?小ですか?」の質問あり
あげく、イーブにも「大か?小・・」と聞こうとして、刑事に「聞くな!」と突っ込まれる始末
冒頭ではドアをガチャガチャとやって「アレ?あ、押すのか。」なんて言いながら舞台に登場し、帰る時も「あ、こっちからは引くんだね、あぁーおかしー」とか言いながら退場。出た、この空気の読めなさ加減
刑事に「外線は頭に9か?」と電話の使い方を聞かれ、「聞いてみます。」とか言って電話をかけますが
「あのぉー、もしもーし!ちょっと電話が遠いみたいなんですけどぉーーーーっ!!」
手元を見ると受話器が逆さまとかね
このピリピリした空気感の中にあって、ラトレイユの存在は本当に救いだと思うわけです。
「クロードと一緒に」に関してはずっとラトレイユは鈴木ハルニさんで演じて欲しいと思います
出演者の方々、関係者の方々に大きな拍手を送りたいです。
お疲れ様でした。
この舞台もまた、忘れえぬ物語です。
再演を初めて観劇した後電車に乗り、Heartと言うバンドの演奏する「Love Hurts」と言う曲をイヤホンで聴くうち涙が出そうになり、必死でこらえて帰りました。
涙目でつり革につかまるオバサンを、学校帰りの高校生が不思議そうに見ていました。
またいつかこの物語に会いに来れるのでしょうか。
そんな事を今、ぼんやりと考えています。
本当にありがとうございました。
さようなら、イーブ。