ジェーンに会いに来たロジャーの手には、ペンと紙が握られていました。
そして命が助かる方法がある、それはカトリックへの改宗だ、とジェーンに伝えます。
「カトリックへ改宗?」
と言ってジェーンは顔を曇らせます。
「そんな顔、すると思った・・・。」
彼女の表情を見てロジャーがつぶやきました。
この場面でのロジャーの表情は2月の時点と3月の公演ではかなり違っていました。
2月の時は言いながら彼は笑顔でした。「やっぱり、そんな顔すると思ったよ!」的な、比較的明るい笑顔。
3月では、明らかに悲しそうに、落胆の色すら見える力ない笑顔でした。
でも、ロジャーは諦めません。
全力でジェーンを説得にかかります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3d/13/2faef79bb0a603cfe20f877c0e1c084e.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/59/5a9b30b284e5fa3bfd27a4899cd18be8.jpg)
君ははめられたんだ、君は何も悪くない、嫌ならカトリックに今だけ改宗してまたプロテスタントへ戻ればいい。
ジェーンの命を救うため、言葉の限りを尽くして彼女がうん、と言うのを渇望するロジャー。
しかし、
「さぁ、ここに書いてしまおう。」
と紙とペンを差し出しても、ジェーンは悲しそうにロジャーの手元に視線を落とすだけで近寄ろうとしません。
ジェーンが改宗するとその紙に書かない事は、彼女の死を意味します。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/68/f3/3ce7cb347f9fada27dc6321e5cfffe87.jpg)
ついには魂を曲げてまで生きていたくない、とジェーンは言います。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/65/6a/085c9139978df21ac3d8888d3ec2d287.jpg)
「魂と肉体は一緒だ、肉体が消えたら魂も消える。私は君に消えて欲しくない!!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0e/10/efbea57bc8a2d343d57f9186ec95f7fb.jpg)
業を煮やしてロジャーがジェーンの腕を掴み、抱き寄せます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/00/63/4aad9719f1e55fdf44f6778a31001a99.jpg)
それはまるでギリギリにならなければ言えなかった、ロジャーからジェーンへの愛の告白にも聞こえました。
そしてとうとうギルフォードの処刑が行われてしまいます。
舞台後方より処刑台が出て来ます。
木製の小さな舞台の様な物の上に、真ん中がくぼんだ断頭台が置かれていました。
ギルフォードは遠くを見つめる様にそこへ立ち、自分にもう少し知恵があったらこの国を一緒に作っていけたかもしれない、とジェーンに語りかけます。そして
「君とはもっと違う時代に出会いたかった。」と。
若い夫婦なりに寄り添ってこの過酷な運命を懸命に乗り越えようとしていた姿が思い出され、胸が締め付けられるようです。
ギルフォードが断頭台のくぼみに頭を乗せると、大きな大きな斧が振り落とされました。
息をのんで見つめていた客席の静寂を切り裂くように、ジェーンの悲鳴が響き渡ります。
恐怖に身を震わせるジェーンでしたが、ロジャーの心からの言葉の数々に、彼女は一つの考えに行き着きました。
しかし、それは残念ながらロジャーの思惑とは大きくずれた結論でありました。
自分には女王になる事を拒否する言葉があったはずだ、と。
女王になると言う事は、国の長になる事であり、国を動かす責任ある地位に自分を置く事。
そんな重大な事にも気付かずに、あまりにも簡単に女王になる事を承諾した自分はいけなかったんだと。
ジェーンのつむぎ出した思わぬ結論に
「今、気付いたじゃないか!!!」
とロジャーは声を震わせて叫びます。
しかし、ジェーンの結論は翻る事はありませんでした。
「罪だと言われるならば甘んじてそれを受け入れる。」
それが自分に嘘をつかないやり方だと彼女は結論したのです。
ついぞ首を縦に降らなかったジェーンに、がっくりと肩を落とすロジャー。
でもきっとロジャーは分かっていたんじゃないかと思うんです。
ジェーンは改宗など絶対にしないと言う事を。
分かっていたからこそ、あんなに必死にジェーンを説得したのではないかと。
もしロジャーがジェーンの立場であったとしたら?
誰かに言われて改宗するでしょうか?
親友に説得されたならなお更「君なら分かってくれるだろう。」と言う思いになりはしないでしょうか。
二人はあまりにも近しくて、あまりにも特別な存在同士だったのではと思うのです。
つづく。
そして命が助かる方法がある、それはカトリックへの改宗だ、とジェーンに伝えます。
「カトリックへ改宗?」
と言ってジェーンは顔を曇らせます。
「そんな顔、すると思った・・・。」
彼女の表情を見てロジャーがつぶやきました。
この場面でのロジャーの表情は2月の時点と3月の公演ではかなり違っていました。
2月の時は言いながら彼は笑顔でした。「やっぱり、そんな顔すると思ったよ!」的な、比較的明るい笑顔。
3月では、明らかに悲しそうに、落胆の色すら見える力ない笑顔でした。
でも、ロジャーは諦めません。
全力でジェーンを説得にかかります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3d/13/2faef79bb0a603cfe20f877c0e1c084e.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/59/5a9b30b284e5fa3bfd27a4899cd18be8.jpg)
君ははめられたんだ、君は何も悪くない、嫌ならカトリックに今だけ改宗してまたプロテスタントへ戻ればいい。
ジェーンの命を救うため、言葉の限りを尽くして彼女がうん、と言うのを渇望するロジャー。
しかし、
「さぁ、ここに書いてしまおう。」
と紙とペンを差し出しても、ジェーンは悲しそうにロジャーの手元に視線を落とすだけで近寄ろうとしません。
ジェーンが改宗するとその紙に書かない事は、彼女の死を意味します。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/68/f3/3ce7cb347f9fada27dc6321e5cfffe87.jpg)
ついには魂を曲げてまで生きていたくない、とジェーンは言います。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/65/6a/085c9139978df21ac3d8888d3ec2d287.jpg)
「魂と肉体は一緒だ、肉体が消えたら魂も消える。私は君に消えて欲しくない!!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0e/10/efbea57bc8a2d343d57f9186ec95f7fb.jpg)
業を煮やしてロジャーがジェーンの腕を掴み、抱き寄せます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/00/63/4aad9719f1e55fdf44f6778a31001a99.jpg)
それはまるでギリギリにならなければ言えなかった、ロジャーからジェーンへの愛の告白にも聞こえました。
そしてとうとうギルフォードの処刑が行われてしまいます。
舞台後方より処刑台が出て来ます。
木製の小さな舞台の様な物の上に、真ん中がくぼんだ断頭台が置かれていました。
ギルフォードは遠くを見つめる様にそこへ立ち、自分にもう少し知恵があったらこの国を一緒に作っていけたかもしれない、とジェーンに語りかけます。そして
「君とはもっと違う時代に出会いたかった。」と。
若い夫婦なりに寄り添ってこの過酷な運命を懸命に乗り越えようとしていた姿が思い出され、胸が締め付けられるようです。
ギルフォードが断頭台のくぼみに頭を乗せると、大きな大きな斧が振り落とされました。
息をのんで見つめていた客席の静寂を切り裂くように、ジェーンの悲鳴が響き渡ります。
恐怖に身を震わせるジェーンでしたが、ロジャーの心からの言葉の数々に、彼女は一つの考えに行き着きました。
しかし、それは残念ながらロジャーの思惑とは大きくずれた結論でありました。
自分には女王になる事を拒否する言葉があったはずだ、と。
女王になると言う事は、国の長になる事であり、国を動かす責任ある地位に自分を置く事。
そんな重大な事にも気付かずに、あまりにも簡単に女王になる事を承諾した自分はいけなかったんだと。
ジェーンのつむぎ出した思わぬ結論に
「今、気付いたじゃないか!!!」
とロジャーは声を震わせて叫びます。
しかし、ジェーンの結論は翻る事はありませんでした。
「罪だと言われるならば甘んじてそれを受け入れる。」
それが自分に嘘をつかないやり方だと彼女は結論したのです。
ついぞ首を縦に降らなかったジェーンに、がっくりと肩を落とすロジャー。
でもきっとロジャーは分かっていたんじゃないかと思うんです。
ジェーンは改宗など絶対にしないと言う事を。
分かっていたからこそ、あんなに必死にジェーンを説得したのではないかと。
もしロジャーがジェーンの立場であったとしたら?
誰かに言われて改宗するでしょうか?
親友に説得されたならなお更「君なら分かってくれるだろう。」と言う思いになりはしないでしょうか。
二人はあまりにも近しくて、あまりにも特別な存在同士だったのではと思うのです。
つづく。