理想国家日本の条件 さんより転載です。
幸福実現党
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時事問題の中から気になるテーマを取り上げながら、
本音の議論を進めます。 2021年12月9日収録
2021.12.15
https://youtu.be/bNSrKLa0m54
(12月9日収録)
幸福実現党党首 釈量子
◆「例外中の例外」が常態化する日本の財政状況
12月6日、岸田首相は、過去最大規模の補正予算の成立に向けて、臨時国会に臨みました。
所信表明演説の冒頭では「屋根を修理するなら、日が照っているうちに限る」というケネディ大統領の言葉を引いて、コロナ対策や経済回復に向け、一日でも早く手を打たないといけないということを、訴えておられました。
また「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」と銘打ち、総額55.7兆円の財政支出を計画しており、この額は、過去最大規模となります。
だいたい、日本政府の税収が60兆円くらいなので、今回の補正予算は、来年度の予算分を先食いするようなものです。
財務省が、財政の赤字拡大は止まらないことを「ワニの口」に例えて、入ってくるお金(歳入)よりも、はるかに多くのお金を使っていた(歳出)わけですが、コロナ禍で天井をぶち抜くような予算を組んでおりますので、もはやワニのあごが外れそうな状況です。
2021年度は、昨年のとびぬけた一般会計歳出147.9兆円から、一気に元に戻して、106.6兆円の予定でしたが、今回の補正予算によって、142.6兆円とほぼ横ばいとなりました。
また、国債発行額も、当初予定の43.6兆円が、65.7兆円に跳ね上がっています。
コロナ禍で「例外中の例外」のはずが、気が付いたら今年もで、これが常態化すると「気は確かか?」と財務次官が造反論文を書きたくなるのも、分からなくないような、極めて恐ろしい状態です。
◆債務拡大の先に待ち受ける増税の未来
一方、こうした過去最大規模の予算と聞いて、「頼もしい!」と思う日本人がいるのも事実ですが、既に日本の財政赤字は1200兆円もあります。
こういうと「いや大丈夫だ。日本政府は金融資産があるし、世界一の対外純資産もある。国債は円建てだし、家計の金融資産も1900兆円を超えているから平気だ」と言う方もいます。
しかし、債務がここまで天文学的な数字となり、これから高齢化が進行すれば、家計の資産も取り崩す一方となるわけです。
これでひとたび信用不安が起きたら、国債が暴落する可能性は十分あるわけですが、そうならないよう、政府は増税の準備に余念がありません。
例えば、預貯金口座とマイナンバーを紐づけて、給付金受け取り用で政府のオンラインシステムに登録すれば「7500円分のポイントが付きますよ」と言っています。
逆にマイナンバーは増税のインフラとなり、ザックリ持っていかれるのも時間の問題でしょう。
そこで「もう、いい加減にしてくれ!」と考える皆さま方と共に、今回の補正予算に関して「無駄づかい」を少し指摘させて頂こうと思います。
◆バラマキは「票の買収」
まず、筆頭に挙げられるのが「バラマキ」です。
公明党肝煎りの公約だった「18歳以下の子どもへの10万円給付」ですが、約2兆円、消費税1%分の税収が使われることになります。
当初は「10万円の給付のうち、半分の5万円をクーポンで」と言っていましたが、クーポンだと現金給付に比べて900億円を超える莫大な事務費がかかることが判明し、ここに批判が噴出、現在は「全額現金給付」の方向になっています。
これに関して、一般的には「なぜ18歳以下なのか。なぜ10万円なのか、大人も配れ」だとか、保守言論人の中には「ドケチだ」と批判する方もいましたが、私たちはそもそも、政治が恣意的に対象を選び、現金を懐に入れるのは、もはや「下の下」、政策ではなく、ズバリ「票の買収」だと考えます。
何より、働かないでお金が手に入るようになると、必ずまたもらえないかと思うもので、結果的に国民の働く意欲を奪ってしまいます。
「施しは愛ではない」ということを考えれば、バラマキは本当に最低なことかもしれません。
また、無駄遣いという意味では「時短要請に応じた飲食店等への協力金等」に約6.5兆円もムダです。
そもそも時短要請をしなければかからないお金ですし、世界的に見ても、ロックダウンの効果を疑問視する人はたくさんいるので、そろそろやめてはどうかと思います。
◆コロナ対策の中にある大きな無駄づかいとは?
コロナ対策費も、感染症拡大防止に18.6兆円の予算を組んでおり、うち2兆円以上が、新型コロナ用の病床確保などに使われます。
しかし、夏の流行では、補助金をもらいながら、コロナ患者を受け入れない、いわゆる「幽霊病床」が問題となりました。
菅政権では、病院がコロナ患者のためにベットを空ければ、ICUの場合、1床あたり1日最大43万円以上、普通の病床でも1日最大7万円以上がもらえる仕組みを作っていました。
「幽霊病床」対策として、岸田政権は病床使用率を調べ、一定基準よりコロナ向けにベットが使われていなければ、補助額を「3割減らす」と決めました。
では「なぜ3割減か?」といえば、これズバリ適当ということかと思います。
そもそも日本は病院のベット数は世界一であるにもかかわらず、莫大な税金をつぎ込まなくてはいけないというのは、本当にバカバカしい話です。
◆コロナウィルスは本当にエボラ並みか?ワクチンに効果はあるのか?
コロナ感染で、自宅待機中に症状が悪化して亡くなる方も多かったのですが、普通の町医者がきめ細かな診療を早期にできるようにするべきです。
その為には、ペストやエボラ出血熱など1類並みの分類をやめて、季節性インフルエンザ並の5類相当にすれば、「幽霊病床」向けの数兆円は不要になります。
オミクロン株への警戒感もありますが、厳しい規制をかけ続ければ、かえって医療現場に負荷をかけることになるので、フレキシブルに対応できるようにすべきだと思います。
またワクチンに関して、補正予算では接種体制の整備や接種の実施に、約1.3兆円が組まれています。
幸福実現党は、ワクチン接種に反対の立場を採っているわけではありません。
しかし、ワクチンに本当に効果があるなら、命のお金が一番高いので、みんな有料でも打つはずです。
経済的支援が必要な人は無料で打てるようにしてもいいかもしれませんが、無料をいいことに、強制的に接種をした結果、死亡するケース、また心筋炎など重篤な副反応が生じてもろくに補償もしないことに対して、政府への不信感が高まっています。
◆「新しい資本主義」の内実
更に、岸田首相肝煎りの「新しい資本主義」も無駄だらけではないかと思います。
今回の補正予算では「新しい資本主義の起動」と銘打って、約8.3兆円計上されております。
財務省ホームページで公開されている内訳を見ると、全部足しても6兆円に達しないので、残り2兆円の使い方がよくわからない不思議な予算なのですが、どうやら新しい資本主義の成長戦略の大きな柱の一つは、「クリーンエネルギーへの投資」のようです。
岸田首相が、所信表明演説でも述べていた「クリーンエネルギー」は、アンモニアや水素でした。
アンモニア(NH3)や水素(H2)は、二酸化炭素(CO2)が含まれていないので、「これを燃やしてもクリーンだし、既存の火力発電の設備も使える」という算段かと思います。
しかし水素やアンモニアの原料として、石炭や天然ガスを使うため、製造段階でCO2が発生します。
結果的に、水素やアンモニアは「なんちゃってクリーンエネルギー」というのが実態です。
◆気候変動対策より、エネルギー安全保障の確立を
石炭や天然ガスをそのまま燃焼させて、電力を得るのに比べて、わざわざ水素やアンモニアに変化させるので、エネルギーロスが生じます。
石炭や天然ガスから「水素」に変化させると、エネルギーの約半分を消費してしまうということなので、
こうした電力を推進していくと、絶対に電気料金はさらに値上がりするわけです。
今までも申し上げてきた通り、「地球温暖化説」はフェイクですので、無駄を排除すれば、政府は石炭火力発電など、「化石燃料を今後も利用し続ける」と宣言して、安く安定したエネルギー供給体制を作り上げることが肝要かと思います。
もし「気候変動対策をしていない」と批判されるならば「日本の火力発電の技術は世界一で、非常にクリーンだ。そして日本の技術によって、安く空気中の二酸化炭素を捕まえる技術を開発中だ」とでも言えばいいかもしれません。
◆デフレ下における成長は可能か?
以上、「無駄」を削る話をしてきましたが、必ずしも「経済が縮小する」ということを意味するわけではありません。
それがこの度、幸福実現党の大川隆法党総裁が発刊する『減量の経済学』第三章において、通説である「デフレ=不況」という考え方について、実は「デフレ下でも成長は可能だ」と紹介されています。
実際、2020年の新規上場企業は過去最高でした。
コロナ禍で倒産や廃業が増え、大企業の倒産も予想される厳しい時代ではありますが、
新しく生まれてくる会社もたくさんあるわけです。
こうした時代に生き残り、繁栄を実現するためにはどうするのか。
「やらなくてよい仕事はするな」という副題の通り、「無駄なことを削り、新しい付加価値を増やしていく」ことしかありません。
◆望まれる日本型資本主義の復活
キーワードは「勤勉の精神」であり、ひとつ人物像をあげれば、二宮尊徳の精神でもあります。
岸田首相は「財政の健全化」と演説でもちらっと触れ、またご著書の『岸田ビジョン』の中で、ご自身がやりたいのは「日本型資本主義の復活だ」とも語っておられます。
「1200兆円の財政赤字をいつまでに、どうするのか」を考えるのが、二宮尊徳流かと思いますし、徳ある人物が命懸けで行ったような、壮絶な仕事をなさりたいということであれば、
国家の存続を懸けたヒントはまさにこの一冊にあります。
岸田首相の「新しい資本主義」については「そんなのが分かればノーベル賞ものだ」という声もありますが、この書籍から本当の「新しい資本主義の風景」が見えて参ります。
ぜひ年末年始、「新しい未来を創らん!」とする志のある
執筆者:釈 量子
幸福実現党党首
過去最大規模の補正予算36兆円!今、求められる政府の仕事とは?≪字幕≫(釈量子)【言論チャンネル】