たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

ゴーン日産を少し考える <日産のクーデター失敗で>とか<日産検査不正>の一端から少し見えるもの

2018-12-13 | 企業・事業・研究などの不正 適正な支援

181213 ゴーン日産を少し考える <日産のクーデター失敗で>とか<日産検査不正>の一端から少し見えるもの

 

日産前会長のゴーン氏が1210日、起訴されるとともに、再逮捕されました。いずれも金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)で、期間が違うだけのようです。

 

ゴーン氏の逮捕からさまざまな情報合戦が続き、情報が錯綜しているようにも思え、この段階でなにかを言ったり、書いたりするのは控えようと思っていましたが、今日も仕事で時間をつぶし、業務時間が終わりに近づいたのに、とくに話題が見つかりません。

 

そんなわけでつい、アエラのセンセーショナルな記事に少し違和感を覚えたこともあり、ちょっぴり感想めいたことを書いてみようかと思います。

 

とりあえずそのアエラ1212日付け記事<日産のクーデター失敗で西川社長が明智光秀になる日 ゴーン再逮捕も特捜部敗北の危機>は、さすが週刊誌ですね、西川社長の明智説から、さらに特捜の敗北まで言及しています。いちいち気になることでもないのですが、どういう根拠でこういった議論をしているのかと思わず読んで見ました。

 

というのは、この件、特捜だけでなく、東京地裁も当然、ゴーン氏という世界的な経営者を逮捕するわけですから、しかも金商法違反の有報虚偽記載、その内容が報酬というので、極めて慎重に扱ったと推測します。当然、特捜だけで判断せず、最高検まで相談しているかもしれません。東京地裁も担当裁判官一人で判断したとは到底思えません。どこまで相談したかはブラックボックスですが、相当慎重に判断したと思うのです。

 

では、アエラ記事はどんな人からどのような言説なり根拠を得たのでしょう。

 

<金融相として1億円以上の役員報酬の開示制度を導入した亀井静香・元衆院議員は、法務省の現役幹部に電話>したときの内容を踏まえて、特別背任や横領が狙いであったという目算で、<大きな疑惑が明らかにできなかったら『幽霊の正体見たり枯れ尾花』。検察の失態となる」>という話を取り上げています。

 

そうでしょうか、むろん特別背任とか横領は重大な犯罪ですが、今回の有報虚偽記載もその金額からすれば、十分に反社会性・反規範性などの面で重いとみてよいと思うのです。いや、私なぞは、これで有罪立証できれば、検察の勝利と思っています。むろん簡単ではないですが、起訴にたどり着いただけでも、まず第一段階は成功でしょう。

 

次に<米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)>記事の西川社長更迭計画ですか。ただ、この話もとくに根拠は示されていませんね。今期の業績悪化の傾向を取り上げ、前社長の例を引き出して、推測しているに過ぎません。しかし、前社長は2期連続の下方修正ですし、今期の業績が悪化したとしても、それは後に述べる不正検査の発覚が影響している可能性が十分考えられ、それはゴーン体制によるマイナス面とも指摘されている中、簡単に首切りの話となるかは疑問です。

 

今度は<元東京地検特捜部検事の郷原信郎氏>の見解を取り上げています。西川社長の個人的な動機、それがアエラ記事になると光秀になるのでしょうか。郷原氏の見解がいかなる根拠に基づくのか、これだけではわかりませんが、WSJの記事自体どうかと思いますので、憶測の域を出ないと思うのです。

 

だいたい逮捕時期と更迭計画の時期の密着性を云々していますが、そもそも相当期間かけて特捜が内偵していたようですし、逮捕の時期もゴーン氏とケリー氏を一緒に逮捕できる状況をつくることもそれほど容易であったとは思えません。両者の時期の密接性を云々するのはまだ早いと思います。

 

郷原氏だけでは不足と思ったのでしょうか、こんどは匿名の特捜OBが登場して<「司法取引をしたんだから、逮捕前に証拠は十分にそろえたのかと思っていた。それが同じ金商法違反で再逮捕して、勾留延長なんて信じられない。>と、金商法違反が軽いとみていますが、私はその感覚自体に疑問を感じます。

 

ただ、郷原氏が指摘する、西川社長の関与との関係では無視できない部分があります。有報提出自体を論じている点は、西川氏が未記載報酬を知った上であれば、また、合意書にサインしていたのであれば、特捜の対応として疑問ですし、その後の西川社長の記者会見も含めて疑問であることは私も同感です。しかし、西川氏が郷原氏指摘の関与があったとの報道に私はいまのところ見ていませんので、郷原氏が何を根拠に知っていたというのかは不明です。アエラはそういった内容の「報道」があると言及していますが、重要な内容ですので、WSJのように具体的に報道主体を特定して指摘すべきです。

 

再び亀井氏を登場させ、捜査2課時代の昔話を話してもらい云々するのはどうでしょう。西川氏との関係で適切な事実の報道といえるのか、躊躇を覚えます。私は別に西川氏を応援する立場ではありません。むろん悪役をあぶり出したヒーローとも思いません。まだそういった議論ができるほど、資料が公になっていないと思います。

 

最後にアエラは<ゴーン氏が無罪になったらどうなるのか。・・・世界から日本の司法制度への批判が高まることは間違いない。・・・混乱を招いた日産経営陣の責任も厳しく問われることになるだろう。その時、西川氏は現代の明智光秀になる。>と言いたいようです。

 

はたしてそうなるか、金商法違反は割合、しっかり認定されるかもしれません。とはいえ、仮に無罪になってもそういった復帰劇はむずかしいように思えます。

 

この点、本日付ブルームバーグ記事<ゴーン被告の支援、仏政府動かず-エリート主義の印象払拭に躍起>は、すでにゴーン氏の報酬問題は事実として、日本国内はもちろん、フランスでも、おそらく各国で批判されていると思います。ゴーン氏は信長でも秀吉でもないのです。そして検査不正をやむなくしてきた、あるいはコストカットを強引に迫られた日産従業員、元従業員のいずれもゴーン氏は光り輝く存在ではなくなっていると思います。

 

ちょっと時間がなくなりました。途中ですが、これでおしまい。また明日。


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