たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

飲酒と運転 <吉澤ひとみ、矛盾点が多い「酒量」とモー娘。>を読みながら

2018-09-11 | 刑事司法

180911 飲酒と運転 <吉澤ひとみ、矛盾点が多い「酒量」とモー娘。>を読みながら

 

今日も体調が思わしくないようです。なんとか和解文書を作ったり、いくつかの作業をこなしましたが、頭は心地よく働いてくれそうにありません。

 

さて今日のテーマ、毎日記事の<東日本大震災7年半 望郷の念、帰還見えず 「取り残された」心迷い>と考えていたのですが、どうも頭の中が整理できません。難しい問題ですし、元気なときでないと、少しでもいい話をしようとしてもできそうにありません。

 

そんなわけで時折、事件として取扱ながら難しいなと思う飲酒運転のことを取り上げてみたいと思います。

 

週刊女性ウェブ今日の記事で<吉澤ひとみ、矛盾点が多い「酒量」とモー娘。OGが受ける「とばっちり」>というのが出ていました。

 

この女性も、モー娘とやらも、まったく知りませんが、困ったものですね。だいたい交通事故を起こして逃げるといったことは一番やっちゃいけないことですね。とはいえ責任回避の気持ちは瞬間心の中に起こるのも人間の気持ちですが、それを乗り越えて対処してほしいものです。

 

記事は冒頭、<酒気帯び運転で、ひき逃げをしたとして警視庁に道交法違反容疑で逮捕された元「モーニング娘。」でタレントの吉澤ひとみ容疑者(33)>と事件概要を紹介しています。

 

この記事では捜査関係者の話として引用されている部分がいくつかありますが、それがタイトルの<矛盾点>として指摘されている根拠のようです。その内容に少し疑問を感じたので(たいした話ではありませんが)、取り上げようか悩みつつ、そのくらいなら頭が働くかなと思いつつ、今日の話題にしたのです。

 

で、その概要は

<事件を起こしたのが早朝の7時過ぎという点>そこから<その時点で、酩酊(めいてい)に近い飲酒量ということは、深夜遅くまで相当量の飲酒をしていた>と推認しています。

 

< 本人は、深夜0時頃まで夫と自宅で缶チューハイを3缶飲んだと供述>していることに対し、<呼気検査で出たアルコール濃度と、酒量が矛盾していておかしい>と指摘しています。おまけに<2歳児のいる母親のすることじゃありません>と生活態度まで非難しています。分からないでもありませんが、捜査関係者が事件に関係して言うのはどうでしょう・・・

 

その呼気アルコール濃度は <“呼気1リットルあたり・・・058ミリグラムが検出>ですから、酒気帯びとなる基準値0.15mg4倍ということで、相当な量であることは確かです。ただ、上記の<酩酊に近い状態>というのは不当な予断を与える余地がありますね。

 

酩酊については法律上の定義はないように思いますが、辞書にはひどく酔うことといった説明が一般的ではないかと思います。他方で、酒酔いについては、飲酒運転の中で、酒気帯びが呼気中アルコール濃度0.15mg以上、同0.25mg以上の2類型となっていて、違反点数をそれぞれ6点、13点にしていますが、酒酔い運転はこの濃度とは関係しません。警察内部で判断する基準をもっていて、立たせたり、歩かせたりして様子を見て判断しているようです。実は私は酒酔い運転自体を取り扱ったことがないので、それを否定された被疑者・被告人から話を聞いた(だいぶ以前)程度しか知りません。

 

ともかく呼気アルコール濃度だけで、<酩酊に近い状態>と断定するのはいかがなものでしょう。

 

それよりも気になったのは<058ミリグラムという数値は、ビールの中瓶4本分のアルコールが体内に残っていたことになる>という話です。

 

一体、どういう計算方法で、呼気アルコール濃度0.58mgということからビール中瓶4本分のアルコールが体内に残っていたとなるのでしょう。この部分はカギ括弧がついていないので、取材者が別の情報から判断したのかもしれませんが、本人供述の飲酒量に矛盾するという捜査関係者の話を引用しているところからすると、情報源は後者のように思えます。

 

むろん捜査側は、飲酒運転者の供述する飲酒量を鵜呑みにすることはまずありません。まず、呼気アルコール濃度と飲酒後の時間を確認します。

 

捜査側としてはそこに矛盾する疑いがあれば、飲酒場所や購入先を調べて、当日の飲酒量について裏付け捜査をします。たとえば近くのコンビニの防犯カメラなどで本人かどうかから、購入履歴・時間・酒の種類・本数を確認します。家宅捜査でどんな酒が何本残っているかなんかは基本捜査でしょうね。

 

他方で、捜査側のアルコールの算定方法を知りませんので、なんともいえませんが、いかに客観的な方法でも個人差があり、それは相当幅があると思います。

 

私なんかは参考にさせてもらうのは<アルコール濃度計算機>などです。これは<ドイツの法医学者ウィドマークにより考案された,体重,飲酒量,経過時間から,特定時における呼気1リットル中のアルコール濃度mg/lを推定する計算式です。>と定義して、体重、飲酒量、経過時間のファクターが分かれば、ある時点での呼気1リットル中のアルコール濃度mg/lを算定するものです。

 

むろんこのウェブサイトでも断っていますが、個人差がありますから、絶対的なものではないですね。

 

仮にこの計算式で計算すると、この女性の体重が不明ですので、この計算機の最低体重40kgとしてもなお不明な点ばかりです。缶酎ハイも350ml500mlかも、その銘柄(アルコール濃度が38%の間で違いがあるようです)も不明ですし、どちらがどの程度飲んだかも分かりません。仮に500ml缶を3本、濃度は標準の5%のもので、その大部分をこの女性が飲んだとして、飲酒後7時間経過していたことを前提に計算した結果は、最小0.117、中間0.577、最大0.865 mg/l3種類の結果が出てきました。

 

この中間の数字は彼女の供述と似通っています。そうすると彼女の供述もそれほどおかしいとはいえないかもしれません。他方で、ビール中瓶4本だと2000CCで、上記計算式で算出すると、中間値が0.897 mg/lと少し多すぎるかもしれません。

 

ま、これは一つの方法ですので、捜査側の判断がそれなりの根拠をもっているかもしれません。いずれにしても捜査側の情報をそのまま鵜呑みにするのはいかがかと思う次第です。


飲酒と運転を書こうと思っていたのですが、一時間をとっくに経過してしまい、体調もよくないので、本論にたどり着く前にダウンしました。

 

これを書いている1時間余りは少し頭が働いていたように思います。まだぼっとしていますが・・・今日はこれにておしまい。

 

 


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