181217 米軍基地返還のあり方 <沖縄の米軍返還地の原状回復 日本政府が129億円負担>を読みながら
沖縄の話に入る前に、昨夜から大きなニュースとなった札幌市豊平区の爆発と多くの負傷者、当初は「飲食店爆発」などの見出しが流れ、なんとなくガスを使うからなにかの拍子に爆発したのかしらと思っていました。ところがビル自体が木っ端微塵になっているのですから、テロ事件でもないようですし、飲食店で起こるのかしらと不思議に思っていました。
すると毎日最新ニュースでは<札幌の爆発、不動産店で「消臭スプレー100缶ガス抜き」 現場検証始まる>とあり、<42人が重軽傷を負った爆発事故>の発端は、どうやら飲食店ではなく隣の不動産店舗だったようです。
<爆発があった「酒井ビル」は木造2階建てで、延べ床面積は約360平方メートル。・・・
1階は南側から不動産仲介業「アパマンショップ平岸駅前店」、飲食店「海さくら平岸店」、整骨院の3店が棟割りで入居していた。不動産店と飲食店の2店部分が倒壊し、特に不動産店は跡形もないほど崩れて建物は全焼した。>というのが物的被害です。
<捜査関係者によると、不動産店の従業員が「100個以上の除菌消臭スプレー缶のガスを抜いた後、手を洗おうとしたら爆発した」と話しているという。>他方で、<市消防局によると、建物裏側に各店舗用のプロパンガスのボンベが計9本あったが、目立った損傷は見られなかった。【真貝恒平、澤俊太郎】>ということですから、プロパンガスが爆発したのではないようです。ではあのスプレー缶がこんな破壊力をもつのでしょうか。
私もスプレー缶をゴミ出しする前に、いつも穴を開けて残っているガスを出して空にしますが、驚きです。臭いとか気になりますが、そんな爆発力があるとはですね。ただ、この不動産店での穴開け作業は異常ですね。繁華街で、しかも密閉の部屋の中で、100個以上の除菌消臭スプレー缶のガス抜きをしていたというのですから、信じられません。臭いがするもの、あまりしないものもあるでしょうし、こんなに大量にガスを排出したら、事故の可能性があることくらいわかりそうなものです。
私は外でガス抜きするか、室内でも倉庫など人気がないところで、ドアを開けた状態でやりますね。臭いがきになりますし、ちょっとしたことで爆発したり、発火するリスクも可能性としては認識していました。というのは東京都杉並区の不燃ゴミ中間処理施設の事件を担当していたころ、なんども施設を訪れ、職員から燃えるゴミ・不燃ゴミなどの収集車内での火災事故が少なくないことを聞いていましたので、そのリスクをいつも意識しながらゴミ分別と集積所に持って行っていました。
もう一つは、プラスチックも摩擦によって発火する可能性があることも専門家から指摘されていましたので、そういうさまざまなリスクを感じていました。スプレー缶にガスを残したままゴミに出すなんてもっての他ですが、それを部屋の中でさせる不動産店のあり方も厳しく非難されてよいと思うのです。むろんこの経緯については、これからの現場検証などによって明らかになるのでしょうから、早々と不十分な情報で叱責するのは控えるべきでしょう。ただ、スプレー缶100個以上のガス抜きという話はまったく根拠がなければでそうにないことですね。
この話は少し長くなりすぎました。30分も書いてしまいましたので、後残り30分で書き上げます。
毎日朝刊一面トップに<沖縄の米軍返還地の原状回復 日本政府が129億円負担>の記事がでていました。
米軍の普天間基地の返還をめぐって当然のように辺野古に基地を新設しないといけないといった不思議な論法がまかり通っています。なぜ単純に世界一危険な普天間基地を返還しないのか、これがなかなか議論の舞台に登場してきません。まさにアメリカの一方的な主張が通っています。
それに加えて、返還された場合でも、元の土地に戻すという、原状回復義務は米軍が一切負わず、日本が代わってやっています。それはおかしいでしょう。私がカナダに滞在しているときもカナダ国内の米軍基地の返還の際、ダイオキシンなどが発見され、その土壌汚染対策に必要な多額の費用をカナダ政府が米国に要求しているニュースを見たことがあります。それが本来でしょう。
ところが、<沖縄県内にある米軍用地の返還に伴い、汚染物質の処分や建物の撤去などのために日本政府が負担した原状回復費が計約129億円に上ることが、防衛省沖縄防衛局への取材で判明した。今後さらに膨らむ可能性がある。>わたしはこれまでの基地返還で、原状回復費がこの程度で済んだとは考えにくいと思っています。この<今後さらに膨らむ可能性>というのがどのような根拠で指摘しているのか分かりませんが、その通りと考えます。ダイオキシン類などの汚染は簡単な土壌調査ですぐに判明できるわけでなく、また浄化処理も跡地利用として農地などであれば、浄化のレベルも高くなりますから、豊洲の土壌処理どころで済まないと思います。
この後の記事では<日米両政府は嘉手納基地以南の米軍施設・区域の返還に合意しており、返還が進むたびに原状回復費は膨らむ可能性がある。【川上珠実】>ということで、将来の基地返還に伴う土壌汚染対策費の増加を指摘しているようです。これまで返還された土地についても、十分な土壌調査をすると新たに発見される危険は相当高いと思われます。
今後ですが、<沖縄県内では近年、返還地で環境汚染の発覚が相次いでおり、県は米国の責任で回復措置をとることなどを定めた環境条項を日米地位協定に新設するように求めている。>協定の見直しは当然でしょうね。
日弁連調査で明らかになったというか、これ自体は昔から米軍の欧米諸国での対等の関係と比べて、日米地位協定におけるわが国の劣位は異質ではないでしょうか。
<ドイツが米軍を含む北大西洋条約機構(NATO)軍と結んだ協定は、軍当局は環境への負担を避け、避けられない場合は適切な措置を講じて埋め合わせをすることが明記されている。米軍基地に対しても原則としてドイツ国内法が適用され、浄化費を米側が負担した例もあるという。>これはドイツだけでなく他のEU諸国でも例があったと思います。
<桜井名誉教授は「米側が環境汚染の責任を免れる日米地位協定はモラルハザードを引き起こしやすい。米軍に対して環境汚染の抑制を動機付けるためにも、汚染の実態と責任を明らかにすべきだ」と話している。>と見直しを求めていますね。
さらに協定とは異なり、米軍のあり方をアメリカ環境法に基づき訴訟で問題にできないか、若い弁護士諸君に期待したいところです。90年代初め、横須賀基地の空母問題で知人のGさんはわが国初?のNEPA訴訟をアメリカで提訴しましたが、沖縄基地についても新たな視点で取り組むことは可能ではないかと思うのです。
さて今日はこの辺でおしまい。また明日。
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