ばらくてブログ――おうたのかいオブさんのおおばらブログ――

おうたのかい作曲・歌唱担当オブさんが、日々のあれこれをてきとうに綴る、まとまりもとりとめもないいかがわ日記

ブログでトグロ巻きR その3 GPIFの年金資産運用とギャンブル

2016-01-28 18:31:13 | Weblog
 もう今は昔の話ですが、私、パチンコにどハマリしていた時期があります。パチンコ好きの同僚に誘われたのがきっかけで、そのとき、いわゆる「ビギナーズラック」で大当たりしてしまったのが運の尽き(機種は、忘れもしない「綱取物語」でした。スーパーリーチで「ノコッタノコッタ」のかけ声とともに軍配うちわがクルクル回るのがとても興奮しました)。仕事が終わればパチンコ屋、休みは朝からパチンコ屋、仕事をしても遊んでいても、頭に浮かぶは銀玉のことばかり。いやもう一時は生活そのものがパチンコ中心に回っていたことさえあるくらいのハマりようでした。
 あるとき、自分はどうもパチンコというかあらゆるギャンブルに深くはまりやすい性格なのではないか、ということに遅まきながら気づき、ぷっつりとパチンコからは足を洗ったわけですが、結局、ン十万円を「パチンコ銀行」に預金したまま、今日に至ります(残念ですが、もうそれを取り返そうとは思いません。貴重な「勉強代」だったと思うことにしています。とほほ)。

ギャンブルで勝つのは胴元と一握りの「プロ」だけ

 今から考えれば、貴重な時間とお金を浪費してしまったわけで、まったく愚かしい振る舞いだったと反省しています。そもそも、ギャンブルというのは競馬やパチンコなど合法なものでも非合法なものでも、いわゆる「胴元」と一握りの「プロ」以外はみんな負けてしまうのが前提だ、という趣旨のことを、ギャンブラー作家の森巣博さんもいくつかのご著書の中で書いています。シロウトがもうけることができるようなものではないわけです。遊びの範囲内で済ませられるならよいのですが、私のような「ハマりやすい」人間にとっては、人生を棒に振るほどの危険性を持っているのがギャンブルなのですね。

株式の売買は立派な「ギャンブル」

 と考えると、株式の売買というのも、相当なギャンブルだ、と私は思います。
 自分のかかわっている、あるいは好きな会社の株を買って、会社の経営を下支えし、配当や優待を得る、というのは別に問題はありません。そもそも株式というのはそのようなものだと思います。
 しかし、株式市場における株価の変動を見ながら、将来の値上がり・値下がりを予測して短期的に株を売買するというのは、まさにバクチそのものですよね。競馬やパチンコのように「胴元」がいるわけではありませんが、株価は人間の心理に大きく左右されるもので、基本的に将来予測は困難だ、というのは、バブル崩壊やリーマンショックなどを経験してきた経済人にとってはもはや常識のはずです。

「そのうち勝てる」で泥沼にハマるギャンブラー

 パチンコにハマっていたとき、私の心理状態はこんな感じでした。
(1)初めに大当たりして、しばらく連チャンが続き、その後出玉が止まったとき。
 さっきまで出てたんだから、またアタリが来るだろう、と思い、せっかく得た銀玉をどんどんつぎ込み、気がつくと玉はすっからかん、持ち金もみんななくなっていました。
(2)いくらつぎ込んでもアタリがさっぱり来なかったとき。
 そのうちきっと流れが変わってアタリが来るさ、だってこんなにつぎ込んでるんだもん、などと思い、どんどん金を突っ込んだり、「台が悪いんだ台が」と言いながら次々台を変えて打ち続けても、とうとう全く当たらず、ン万円を呑まれておしまい、ということになりました。
 早い話、「今は負けていても、きっとそのうち大当たりが来て大逆転するのさ」と思いながら泥沼にズブズブとはまり込んで抜け出せなくなる、というのが、多くのシロウトギャンブラーの典型的なパターンであると言えるでしょう。

大切な年金資金をギャンブルにつぎ込んではいけない

 だから、私たちの積み立てている年金資産を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人。なんて長い組織名だ)が、利率は低いが安全性が高い国債等の国内債券から、国内外の株式への投資を増やして運用し、しかもそれが大変な含み損となっている(一説によると10兆円の損が出ているとか)というニュースを見たときは、「そりゃそうだろう」と思ってしまったわけです。
 株式を、その時々の相場で短期的な売り買いを行うというのは、これは「投資」ではなく「投機=ギャンブル」そのものです。前述したとおり、ギャンブルは胴元と一部の「プロ」以外は勝てない前提になっていますから、少なくとも国民の将来生活安定のための大切な年金資金をそういう「ギャンブル」につぎ込むのはやっぱりまずいでしょう。
 おそらく、お役人である担当者は、かつての私と同様の「シロウトギャンブラー」なのだろうと思います。「今はとりあえず負けてるけど、そのうち流れが変わって大勝ちするのさ」などと根拠なく考えて、それでもいちおうは証券会社の担当者かコンサルタントかの「アドバイス」を受けながら(それも結構な金額の指南料を払いながら)、貴重な年金資金を株式市場につぎ込んでいる姿が目に浮かびます。それで含み損をどんどん積み上げてるわけですから、目も当てられない話です。
 そういうこと、もうやめませんか。日本社会の維持・発展のために堅実かつ懸命に生きてきた人々の老後資金は、やはり堅実に扱うべきです。ひょっとすると、一発大逆転のような株価上昇の可能性は皆無というわけではないのかもしれませんが、やはり限りなく少ない確率でしょう。10兆円とも言われる含み損ですが、「負けた分を倍にしてやるぜ」などと考えてさらに金を突っ込むのは、典型的なダメダメギャンブラーです。年金資金は総額で135兆円あるそうです。手を引くなら今です。


 と言いながら、とても重要なことを忘れていました。GPIFの年金資産運用の方針変更を主導したのは、何と我らが総理大臣閣下チームだというではありませんか。ということは、シロウトギャンブラーの背後には総理大臣閣下がいらっしゃった、ということになり、そういうことなら、年金資金に大穴を空けた最終的な責任も、総理大臣閣下ということになります。
 そういえば総理大臣閣下は、就任以来、自らの権力のあり方を規定している憲法や、戦後日本の政治社会システムの大本であるポツダム宣言もよくご存じでない、ということが明らかになっています。 
 もう、この際、いろいろシロウトである総理大臣閣下は、ご自身の理解できる範囲でお仕事をしていただき、ご自分でもよく分かっていらっしゃらないらしい年金運用や政治・外交からは、手を引いていただくのが、ご本人のためにもよいのでは、と思う今日このごろです。