北朝鮮の金正日総書記が17日、急死したが、北朝鮮は金総書記が後継者に指名した三男の金正恩後氏を中心にした後継体制にすんなりと移行できるのか。金正恩後継体制の鍵を握る北朝鮮指導部内のキーパーソンを分析してみた。
北朝鮮の朝鮮中央通信は金総書記の葬儀委員会リストの1番目に金正恩氏の名前が挙げられていると伝えたほか、正恩氏を「偉大なる後継者」という表現で報じており、正恩氏が金総書記の跡を継ぐ最高指導者であることが改めて確認された。
韓国の西江大学政治外交学科の金龍洙教授は韓国メディアに対して、「金正恩が権力の前面に登場して1年しか経っていないが、絶対権力の支持と庇護を受けてきただけに、その権力基盤は弱くない。北朝鮮の後継体制が短期間で不安定になる可能性は高くない」と分析する。
中朝関係に詳しい専門家も、金正恩氏の政治手腕は未知数としながらも、「金正恩には後見役として金総書記の妹の金敬姫と、その夫である張成沢・朝鮮労働党行政部長がついており、その役割は極めて重要だ」と指摘する。
張成沢夫妻は正恩氏の補佐役として、党や軍内の古参幹部にも口出しさせないほどの発言力があり、とりわけ、金敬姫氏は北朝鮮指導部中枢では金日成主席の唯一の娘であり、だれも表立って反対することはできないというわけだ。このため、金敬姫氏の夫で、金正恩氏に次いで実質的なナンバー2となる張成沢氏の政治的発言力が高まることが予想される。
北京の中国政府筋は「張氏は中国の指導者たちの信頼も厚く、太いパイプを持っている」と張氏を評価する。
北朝鮮内部の権力闘争による混乱や対立、それによる朝鮮半島の動乱を避けたい中国指導部としては、張氏こそ権力の移行期を埋めるに適任だとみなしている。
【北朝鮮の権力移行 カギを握るのは北朝鮮軍と中国の動き】
ただ、不確定要因は軍の動きだろう。朝鮮人民軍120万人、予備役500万人の軍部をはじめ、国家保衛部(秘密警察)といった北朝鮮を支配してきた「暴力装置」を掌握できなければ、不測の事態を招きかねないからだ。
軍における金正恩氏の補佐役は李英浩総参謀長である。深刻な食糧不足に陥った1990年代の「苦難の行軍」時代に平壌防衛司令官として金総書記を支え、記念撮影では金総書記と金正恩氏の間に立つほどの厚い信任を得てきた。さらに、金永春人民武力部長(国防相)ら軍古参幹部も金正恩後継体制を支えるキーパーソンとなるだろう。
韓国の専門家の間では、北朝鮮内部では金総書記の死去という非常事態を乗り切るために、当面は協力するだろうが、その後、利害をめぐる思惑がからんで、張成沢夫妻など党・政府幹部や軍幹部の間で主導権争いが発生し、激しい権力闘争が起こる可能性も指摘されている。
その際、カギを握るのが中国の動向だろう。中国は朝鮮半島情勢の不安定化を望まない立場から、その経済的支援カードなどをちらつかせて、権力闘争に介入し、中国の意のままになる勢力を支持し、金正恩氏を中国側の意のままになるような体制を構築したいところだ。
それは金総書記が推し進めてきた軍事最優先の「先軍政治」を180度転換した平和路線であり、改革・開放路線導入による経済重視路線である。このため、よほどのことがない限り、中国の張成沢夫妻支持は動かないといえる。
(以上、NEWSポストセブン)
まあ大体上記記事のようなことだろう。中国が核を持ったのは当時ソ連の衛星国家になることを嫌い国際社会での発言力を持ちたかったからだ。金正日はその中国と同じことをした。そして中国が望む改革・開放路線導入を拒否して言うことをきかなかった。中国にとって金正日は実にやっかいな存在だったのだ。したがって中国が金正恩体制を意のままにしたいのは当然の思惑だろう。果たしてどうなるか。ではまた。