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民進・岡田代表「安倍総理の発言は、消費増税先送りの言い訳にG7を利用しているといわれても仕方がない」

2016-06-01 20:04:53 | 政治・経済
 野党議員の発言シリーズとして、今回は民進党・岡田克也代表の発言を紹介する。


 (安倍晋三首相のサミットでの発言に対し)一体何をもってリーマン・ショック前と似た状況なのか、まったく理解に苦しむ。他のG7のリーダーに「リーマン・ショック前と似た状況にあると合意したか」と聞けば、イエスという人はいないと思う。自分の都合のいいように、消費増税の先送りの言い訳に使えるようにG7の場を利用していると言われても仕方がない。非常に恥ずかしいことだ。
 確かに今、消費税を上げられる状況にない。それはアベノミクス失敗の結果。それをまず認めて、経済政策を転換しない限り、結局同じことの繰り返しになる。1年半前に「必ず(消費税が)上げられる状況をつくると断言する」と(安倍首相が)言ったから、それができなければ退陣するというのが、総理がとるべき対応だ。



 安倍総理の「リーマンショック前」という発言については、もう、あちこちでツッコミが入り、失笑を買っている。自分の失政を糊塗するために世界中に恥と見識のなさをばらまくという愚行である。アベノミクスの失敗はもう既成事実といっていいだろう。2017年に「必ずあげる」と断言してそれができなくなったのだから、安倍総理はつべこべ屁理屈をいわずに即刻退陣すべきだ。

消費税増税延期はアベノミクス失敗宣言に等しい

2016-06-01 17:55:04 | 政治・経済
 ついに、消費税増税が再延期されることとなった。

 その根拠として安倍総理が主張する「世界経済はリーマンショック前と同じ状況」という見方がてんで的外れであることはもうあちこちからツッコミが入っているが、この点についてはいくら強調してもしすぎることはない。安倍総理は、増税延期せざるを得なくなったことをなんとか外的要因のせいにしようとしているが、実際にはそうではない。アベノミクスは外的要因によって失敗したのではなく、そもそもの出発地点から失敗を宿命づけられていたのである。

 というのも、何人かの経済学者は、安倍政権発足当初から、きちんと経済の理論に基づいてアベノミクスの根本的な間違いを指摘しているのだ。当ブログでは、そのような経済学者の著書も何度か紹介してきた。おさらいしておくと、北岡孝義・明治大学教授は、シミュレーションの結果として、金融緩和の効果は30ヶ月ほどで失われるとしていた。また、小幡氏は、リフレ理論を徹底的に批判し、「人為的にインフレを起こすことは不可能」と主張していた。

 北岡教授の論については、金融緩和の開始から30ヶ月というのは去年の夏ごろにあたるわけだが、そこからの一年間、つまり4四半期のうち2期でGDPはマイナスの数値を出した。残る2期もごくわずかなプラスで、しかも前期がマイナスだったためにかろうじてプラスになっただけとみるのが妥当だ。今年の1-3月については「うるう年効果」でプラスが上乗せされたぶんもあり、実質的にはほぼゼロという見方もある。つまり、「30ヶ月で金融緩和の効果は失われる」という北岡教授のシミュレーションは、ものの見事に的中している。

 また、小幡氏の「インフレを人為的に起こすことはできない」という主張も、あたっているといっていいだろう。安倍政権が2年で達成するとしていた物価上昇率2%という数値はいまなお達成できず、延々先送りし続けているという実態がある。この一点だけとっても、アベノミクスは完全に失敗している。
 そして、小幡氏のリフレ理論に対する批判も、的中している。今年日銀はマイナス金利を導入したが、「期待インフレ率を高めることで実質金利がマイナスになる」というリフレ理論がその理論どおりに機能していたなら、マイナス金利など導入する必要はなかったわけである。逆にいえば、実際にマイナス金利を導入した、せざるをえなかった、ということは、彼らの理論が間違っていたと認めたということだ。

 このようにみてくればはっきりわかるとおり、アベノミクスを批判していた人たちの予測がピタリと的中しているのである。アベノミクスは、外的要因で失敗したのではなく、はじめからその理屈が間違っていた。世界経済のことなど関係なく、失敗するべくして失敗したのである。それは、まともな経済学者にははじめからわかっていたことなのだ。

 実質賃金はこれまで5年連続で低下し、個人消費も低迷し続けている。いまのGDPの成長率では、安倍政権が主張する2020年度のプライマリーバランス黒字化などとうてい不可能だが、消費税増税再延期で、その目標はさらに遠のいたという見方もある。このように、アベノミクスはもう完全に崩壊状態にあるのだ。

 今日の昼に投稿した記事では、消費税増税延期の理由として安倍総理が「リーマン前」といったのを「嘘の上塗り」と書いたが、一部報道などによると、安倍総理は「私はリーマンショック前と同じ状況とはいっていない」ともいったという。事実とすれば、嘘の上塗りに、さらに嘘を上塗りしていることになる。安倍総理の「できもしないことを断言する癖」や虚言癖については当ブログで何度も書いてきたが、ここまでくるともう開いた口がふさがらないとしかいいようがない。こんなにも平気で嘘をつく人が総理大臣をやっているということがおそろしい。

共産党、志位委員長「自らの失政の責任を世界経済に転嫁するというのは成り立つ話ではない」

2016-06-01 13:36:55 | 政治・経済
 野党議員の発言シリーズとして、今回は共産党の志位委員長の発言を紹介する。5月の27日に、党本部で記者団に語った内容である。(引用は、朝日新聞電子版より)


《G7の首脳宣言を見ても、世界経済は回復しているというのが全体の評価だ。リーマン・ショック前の状況と言っているのは安倍首相だけで、世界に通用する話ではない。
 (一方、国内では)リーマン・ショックの2008年に比べても、個人消費の落ち込みはより深く長いものになっている。(今の世界経済が)リーマン・ショックというなら、日本経済の実態こそ、そういう状況だ。
 安倍首相自身の行ってきた経済政策、アベノミクス、そして消費税の大増税がこういう事態を作った。自らの失政だ。自らの失政の責任を世界経済に転嫁するというのは成り立つ話ではない。》


 われらが安倍総理は、サミットで「世界経済はリーマンショック前夜の状態」とトンチンカンな見方を示して世界の失笑を買った。
 問題なのは、これがただの見当違いでなく、意図的な嘘としか思えないというところだ。ここには、「うまくいったら自分の手柄、うまくいかないことはなんでも人のせい」という安倍総理の人間性がにじみ出ている。
 2014年に消費税増税先送りを決定したときには、「17年には必ず税率を上げる」と断言していたが、それができそうもなくなった。だがそのときに、「リーマンショック級のことが起こらない限りは」という条件もつけていた。だから、いまはリーマンショックと同じぐらいの状況ということにすればいい……という発想だ。嘘が嘘でないことにするために新たな嘘をつく。こういうのを、一般的に嘘の上塗りという。志位委員長が安倍政権の経済政策を「失政」と切って捨て、「リーマン前」発言を責任転嫁と断ずるのも当然なのである。