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安倍総理、消費増税再延期の説明は、嘘に嘘を塗り重ねたあげく収拾がつかなくなり破綻

2016-06-02 18:55:39 | 政治・経済
 当ブログでは、昨日から消費税増税のことを集中的に取り上げているが、もう少しこの話題にこだわりたい。

 安倍総理は、会見において、「世界経済がリスクに直面している」ことをその根拠とした。新興国や途上国の経済が落ち込んでいるために、リスクがあるというのだ。
 しかし、この言い方は、嘘に嘘を塗り重ねて収拾がつかなくなったために出てきた言説でしかないことはあきらかだ。
 ここにいたるまでの経緯をおさらいしておくと、次のようになる。


 アベノミクスが失敗して消費税増税は不可能 → でも失敗とは認めたくないし、ただ延期すると前回衆院選前に「再び延期することはない」と断言したのが嘘ということになってしまう → 世界経済がリーマンショック前ということにする(「リーマンショック級のことがあれば延期はありうる」と過去にいっていたから) → 「リーマン前というのは間違っている」と批判される → 「リーマン前とはいっていない」と、サミットでの主張をなかったことにする → 「それじゃ増税延期の根拠は何なのか?」というツッコミが入る。


 つまり、「リーマンショック前」という見方を示したことで赤っ恥をかいたのでそれをなかったことにしたはいいものの、それによって増税延期の根拠も否定することになってしまった。「リーマン前だから増税する」といっていたのに、「リーマン前の状況ではない」というのだから、「じゃあ増税延期する必要ないじゃん」となる。嘘に嘘を塗り重ねた挙句、自己矛盾をきたし、もういかに取り繕ってもつじつまが合わせられない状態に陥ったのだ。それで、「これまでの約束とは異なる新しい判断」という言い方をせざるをえなくなった。
 二つのテーゼが矛盾してにっちもさっちもいかなくなってしまったために、それを解消させるべくまったく関係ないテーゼをひねりだす――ヘーゲルもびっくりの見事な弁証法的解決である。
 だが、いくら理屈をひねったところで、アベノミクスの根本的な間違いが解消されるわけではない。屁理屈は屁理屈でしかないからだ。この点については、昨日の記事でも書いた。個人消費は低迷し続けているし、実質賃金も下がり続け、物価上昇も目標の数値とはほど遠い。また、最近あちこちで指摘されるようになったが、安倍政権のこれまで3年間あまりの実績をGDP成長率でみると、トータルでいえば旧民主党政権時代の3年間より低いというデータもある。安倍総理は「リーマンショック前」という見立てが日本だけでなく世界中のメディアなどから否定されたので「新興国、途上国の経済」という新たな言い訳を持ち出してきているわけだが、そうやって「人のせい」にしてしまえる問題ではないのだ。
 安倍総理は「アベノミクスを一段と加速させる」などといっているが、加速するもなにも、アベノミクスはその最初からまるで失敗しているのである。加速させれば日本の経済はさらに泥沼に陥るだけだ。それでも安倍政権の面々は、ここでもヘーゲルにならって「理屈どおりにいかない現実が間違っている」と言い張るのかもしれないが、彼らのでたらめな理論の失敗で被害をこうむるのは一般市民なのである。