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中国の軍艦が尖閣へ――安倍政権は、安保政策もまた完全に失敗

2016-06-10 18:04:52 | 政治
 先日、中国の軍艦が尖閣諸島周辺の接続水域に入ってきたという。
 これまで海警局の船がやってくることはあったが、軍艦が接続水域に入るのは初のことだそうだ。領海侵犯こそしなかったが、日本側からすれば見過ごせない行動であるにはちがいない。ロシアの軍艦が接続水域に入ったので、それに対抗してということらしい。

 このことをもって、世間には、中国脅威論を煽り「それみろ、だから安保法が必要なんだ」と主張する声もあるかもしれない。だが、私にいわせれば、それはまったく的外れな話である。
 当ブログではこれまで何度もいってきたことだが、何度でも繰り返しておこう。
 中国が尖閣周辺をうろつくことや、北朝鮮がミサイルを発射していることは、安保法になんの効果もないということの証拠である。

 このことをはっきりさせるために、昨年3月の朝日新聞電子版にあった記事を紹介する。

《「安全保障環境の変化をしっかり見据え、領土、領海、領空を断固として守っていく信念のもと、その責任を果たしていきたい」
 20日の参院予算委員会。今回の安保法制見直しの狙いを問われた安倍晋三首相はこう力を込めた。
 首相の念頭にあるのは中国の存在だ。世界第2位の経済力を持ち、軍事力を増強させる中国にいかに対応するのか――。安倍政権の一連の安保政策はこの点に集約される。
 日本の対応はこれまで、米国の求めに応じてその都度、自衛隊の活動拡大を繰り返してきた。

 ……(中略)……

 だが、今回の安保法制見直しや18年ぶりとなるガイドラインの改定は、日本側から提案した。
 12年9月の尖閣諸島の国有化以来、中国公船による領海侵犯は後を絶たない。この状況を転換するには米国との「同盟深化」を前面に掲げ、米軍による抑止力の向上につなげるしかないとの思惑がある。》


 すなわち、集団的自衛権の行使容認、安保関連法は、それによって日米同盟を深化させ、米軍による抑止力を向上させ、中国の行動を抑えるるためだというのである。
 その安保関連法は昨年成立し(たことにされ)、今年施行されたわけだが、では、それによって抑止力は向上したのだろうか?
 あきらかにノーである。
 北朝鮮の行動も、中国の行動も、まったくそれ以前と変化していない。どころか、前よりさらにひどくなってさえいる。

 上の記事に出てくる安倍総理の「思惑」がそのとおりに働くのであれば、安保関連法が施行されたことによって、中国は尖閣周辺の領海侵犯をやめることになるはずだが、現実はまったくそうなっていない。この事実は、彼らの考える“抑止力”なるものが、まったく現実には機能しない絵空事であるということを示している。
 そしてそれは、北朝鮮の核実験やミサイル発射にもあてはまる。安保法が施行されてからも、北朝鮮は何度もミサイル発射を繰り返している。当ブログでは最近アベノミクスは失敗に終わったという話をずっとしてきたが、リフレ理論やトリクルダウン効果が絵空事であるのと同様に、抑止力もまた幻想にすぎない。

 安倍政権は、異次元の金融緩和によって物価上昇率を2年で2%にのせるといったが、結局それは実現しなかった。そして、安全保障においても、安保関連法によって中国の行動を抑止するつもりでいたが、まったくそれは実現していない。
 すなわち、経済政策だけでなく、安倍政権は安全保障政策においても完全に失敗しているのだ。

共産・志位委員長「集団的自衛権容認、公明党は罪深い」

2016-06-10 14:52:59 | 政治・経済
 野党議員の発言シリーズとして、今回は共産党・志位委員長の発言をとりあげる。
 昨日の、記者会見での発言である。(引用は、朝日新聞電子版より)


《公明党は非常に罪が深いと思う。2013年の参院選の際、(山口那津男代表が)集団的自衛権は「断固反対」と言って選挙をやった。その後の2014年7月1日の閣議決定は、まぎれもなく集団的自衛権の行使を容認するものだ。
 公明党がなんと言ってもこれは集団的自衛権を認めるものだ。それを自民党との間で交わしてしまった。公明党という党もこれまで『平和の党』を標榜(ひょうぼう)してこられたようだが、完全にそれは偽りのものだと言うことが、この間の経過でもはっきりした。》


 公明党は、「平和の党」だといってきた。
 かねてからそういってきたということは、たしかに事実である。だからこそ、安保国会の際にも、公明党がなにかしらのアクションをとるのではないかというはかない期待を私は持っていた。
 だが、結局最後まで公明党がブレーキ役になることはなかった。
 志位委員長のいうとおり、安倍政権の暴走を手助けした公明党の罪は重い。いずれ必ずその報いを受けるときがくるだろう。短期的に国民を騙すことはできても、公明党のとった行動は歴史の審判にはとうてい耐えられない。数十年後、数百年後の歴史書で、公明党は強権的体制に手を貸した政党として蔑まれ続けることになる。それがいやなら、いまからでも自民党とすっぱり手を切ることだ。