しかし、名医にこだわるのもどうかなと思うのである。
私は大学病院で治療をしたれども、私の担当医はいわゆる世の中で言われている「名医」ではない。
しかし、私は自分が納得した治療を受ける事ができたし、命を救ってもらったと感謝をしている。
患者さんの中には、医師や看護師に対して、なぜか敵意をむき出しにして、何かといえば疑う人もいたけれど、もしその患者さんが医者なら、どんな気持ちだろうか。
よい医療を受けられない理由は、患者側にある場合もある。
医師・看護師といえど、普通の人間である。
8:2の法則からすれば、全体の1-2割はスペシャリスト、そして、全体の1-2割は問題のある人、残りは普通の人。
一般の会社でもそんな割合のはずである。
医者だから全員がすばらしい人ではない。
医師や看護師もまた同じである。役職や年齢では何とも見分けがつかない。
若い先生の方が一生懸命だったり、反対に教授といわれる人の方がずさんだったり、説明ベタだったりする。
手術の腕は天下一品でも、入院中の患者のベッドへはめったに来ない人もいる。
経験の浅い先生でも、毎日患者さんのベッドをのぞいては、一言二言声をかけにくる事を欠かさない人もいる。
大学病院では、たいてい2人で1人の患者さんを担当するし、ガンともなれば担当の看護師もつく。
看護主任もいれば看護師長もいる。その中に必ず気の合う人や頼りになる人がいるものである。
そういう人に精神的に助けられながら、病気と付き合っていくのが、現実なのだ。
私の思う名医とは、よい医療チーム全体の事だと思う。
医師の名前や役職に執着しない方が、よい医療チームに出会えると思うのである。