湖のほとりから。

花と空と心模様を写真と詩と文に託して。

冬の日の海辺の思い出

2018-01-07 22:36:08 | 日記
強い風が吹いていた


海岸の波打ちぎわに立っていた私


すくっと私をお姫様抱っこしながら、
ヤツにはできないけれど
俺には、できるよと言いながら


風の中をダンスするみたいに
あんまりクルクル回るものだから
声をあげて
必死にあなたの首元にしがみついてた


私の頬があなたの頬に触れたとき
凍えんばかりに
頬が冷え切ってたから
思わず両手ではさんで温めてしまっていたね
あなたは、されるままに目をつぶっていたけど
本当は何を考えていたの?


期待させてしまった?


それ以上のこと
私にはもう
なんにもできないのよ
ただ、目の前の冷たい頬を温めただけ
ただ、あなたの顔を見てただけ


シャカシャカと
あなたのダウンジャケットは
音を奏でるけれど
それ以上の主旋律は私、持ち合わせていないの


互いが風にとばされぬよう
両手どうしを
違う場所で温めて

違う心で受け止めて

悲しい気持ちを
わざと冗談でくるみながら
やっぱり重いよって
大切なものを降ろすようにゆっくりと
私を砂浜に立たせた


一瞬、、
一瞬だけ風が止まったんだよ


その瞬間に
私の心の小さな箱に
鍵をかけた


あなたは
冬の海にだけいる
私のまぼろしとなった


風が
頬も心も切り裂いていくような
遠い遠い寒い海辺での思い出