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人工肛門を体験して

2017-02-24 08:08:21 | 日記

アナウンサー・中井美穂さん、ストーマ(人工肛門)体験を公表した理由

 ちょうど1年前の2016年2月、トーク番組「徹子の部屋」(テレビ朝日系)で、かつてのストーマ体験を初めて公にした。ストーマとは、病気で腸を切除した患者が腹部に設ける排泄(はいせつ)口のことだ。

 「大腸がんの患者さんの支援活動をするようになって、自分のことも隠さず話したほうが、親近感を持ってもらえると気づいたんです」と公表の理由を語る。

 02年に腹膜炎で大腸の一部が破れ、治療のため翌年まで1年間、一時的におなかの左下にストーマを設けた。それが縁で、ストーマが必要な人もいる大腸がん患者の支援活動に講演や司会で携わる。

 ストーマは腹部に開けた穴から腸管を出したもので、そこに便を受ける袋(パウチ)を着ける。「人工肛門」とも呼ばれている。ただ、肛門のように括約筋がないので便意はなく、排泄を自分でコントロールできない。

 それまで、一部の人にしか明かしていなかったストーマ体験。その間も生放送や海外取材も含めテレビの仕事を続けていた事実は、多くの視聴者を驚かせた。

 「病気でつらい思いをしている人は、実はたくさんいらっしゃる。自分がそうなってみて初めて、よくわかった。人を思いやれるチャンスをもらった」

 それが、自分にとってのストーマ体験だったと思っている。

ストーマに「光圀くん」と名前をつけて…

 手術後2週間ほどして体が回復してきた頃、ようやくおなかにあるストーマを意識した。「人工肛門」という言葉のイメージの悪さもあり、こわくて目を向けられずにいると、先に見た母の明るい声がした。

 「あら、かわいいわよ」

 ピンク色でぷるんとして軟らかく、まるで唇のよう。梅干しにも似ている。「確かにかわいい」。そして思い出したのが、看護師の奮闘をコミカルに描いた漫画「おたんこナース」(小学館)。「あったよね、似たエピソード」。意外に穏やかな初対面になった。

 とはいっても、管理は大変だ。こまめにトイレに行き、ストーマに接着したパウチ(便を受ける袋)の中身を捨てたり、パウチを取り換えたり。接着面に触れるおなかの肌の手入れ――。知るべきことはたくさん。入院していた病院には、排せつケアを専門に担当する看護師がおり、厳しくも手厚い指導を受けた。

 「嘆いていてもどうにもならないから、慣れるしかない。自分の体の一部なんだし、愛して仲良くやっていこうと決めました」

 まずはストーマに「光圀(みつくに)くん」と名前をつけてみた。「おはよう」「元気?」と話しかけ、ペットを飼うつもりで世話することにした。「このヒトのおかげで生命が保たれている。本当にありがとね」。感謝の気持ちを忘れないようにした。


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