ワクチン接種券発送「時間差」容認へ 高齢者向け
政府が新型コロナウイルスのワクチン接種で、高齢者向けの接種券(クーポン券)を一斉発送するのではなく、自治体内で時期をずらして発送する方式を認める方向で調整を進めていることが6日、分かった。
自治体への問い合わせや接種予約が集中して混乱する事態を避けるためで、地域の実情に応じて自治体の裁量に委ねる。複数の政府関係者が明らかにした。
政府は4月1日以降に65歳以上の高齢者にワクチン接種を始めたい考えで、対象者は約3600万人に上る。各自治体は事前にクーポン券を対象者に発送するが、一斉に配布した場合、予約や問い合わせにより自治体のコールセンターなどの窓口がパンクし、現場に混乱が生じる事態も想定される。
このため、政府はクーポン券発送に当たり、年齢層や地域ごとに発送日をずらすことを想定。政府関係者は「発送時期をずらしてもらい、問い合わせのピークを抑えて現場の混乱を避けられないか検討している」と話す。
ただ、同じ市区町村の中でクーポン券が届くタイミングにずれが生ずれば、不公平感につながる恐れもある。このため、政府はあらかじめ指針を示し、円滑な接種関連事務に理解を得やすくしたい考えだ。
ワクチン接種をめぐっては、2月中旬以降に同意が得られた医療従事者約1万人に接種してもらい、体調の変化を確認する安全性調査を実施する。続いてコロナ患者の診療、搬送に関わる医師や看護師、救急隊員、保健所職員ら約370万人への接種開始を目指す。
4月以降に高齢者への接種開始を行い、6月の第3週までに2回目の接種を終える見通しだ。5月頃には一般にも対象を広げる考えで、この際もクーポン券発送の段階発送を検討する。