貧乏人の巧名

今回のリフォームでお世話になっている社長さんは
隣町の大地主さんでして
もともとは、たたみ屋さんを生業としておられたようでございますが
近隣に相当数の不動産を所有し、その物件の手直しをするために
リフォームチームを作ったのが発端となって
業務の一環として、あちこちのリフォームを手掛けるようになったそうでございます。

なれど、どうやらリフォームは道楽でやっている節も見受けられ
採算度外視の良い人ぶりは貧乏人にはありがたいことで
そんな方にリフォームして頂くご縁に恵まれたことに感謝する今日この頃でございます。

で、その社長さん、現場では監督兼小間使いのようなお仕事をされます。
元来、きれい好きで、きたないところは放っておけない性分のようで
おんぼろ我が家を見回しては、
やれ、あれは直した方が良いとか、新しくした方が良いとか
私が全然気にしていないところまで、指摘されるのでございます。

先立つものさえあれば、如何様にもできるのでしょうが
一般庶民の家とは、こういうものでございますぞ。

指摘される度に、そう言って抵抗するのでございますが・・・。

なれど、社長さんが言われるように
業者さんが出入りしている今頼めば、工賃も安上がりになるため
今まで、見て見ぬふりをしてきた代物の修理も
いくつかお願いすることにした次第にございます。

台所の水道の先が老朽化してきたので、その部分の交換を
お願いしましたらば
どうせなら全部交換した方がきれいになりますよ、と社長さんが言います。

そんなのわかっていますとも。
お金さえあれば新品のピッカピッカくんをつけますがな。
何せ、先立つものがありませんゆえ・・・と申しますと

そんなのいくらもしませんよ、とのお言葉。
社長さんにとっては幾らでもない金額でも
貧乏人にとってはえらい出費なんですよ、と
事あるごとに私が貧乏人アピールをしまくっておりましたらば
ある日、どこぞから新品の蛇口を調達してきてくれて
プレゼントしてくれたのでございます。
しかも、その取り付け費用も水道屋さんに交渉してくれて
プライスレスとなったのでした。

また、ある時は、ペンキ屋さんに
見積もりに入っていなかったサンルームの屋根やら
訳のわからん部屋の屋根のペンキ塗りまで
プライスレスでやるように、交渉してくれたのでした。

さらに、自分は畳屋なので和室の畳を取り替えてあげましょう
との申し出があったのですが
そうなると、箪笥の移動などをせねばならず
めんどくさがり屋の私は、お断りしたのでした。

っていうか、そんなチマチマプレゼントしてくれなくても
いっそ、リフォーム代をプレゼントしてくれたらよござんすのに



どうしても私に畳をプレゼントしたかったのでございましょうか
ある日、こんなものを持ってきてくれました。





ピカピカのフローリングが、和室になってしまったじゃないか！
と思わなくもなくなくもなかったのですが
フローリングの傷み防止にもなりますし
ゴロゴロ横になり放題、昼寝し放題ですし
使ってみると、こんな良いものはございません。

で、最初6枚あれば充分ですからと遠慮しておったくせに
あまりの便利さを社長さんにご報告したところ
結局、12枚も頂戴してしまったのでした。

おかげさまで、この冬は炬燵でゴロゴロできそうであります。


以前、社長さんから新米を頂戴したお話をいたしましたが
とても美味でございましたと御礼を申し上げましたらば
またまた、ど～んと届けてくださったのでございます。

日頃の貧乏人アピールが巧をなしたようでございます。

めでたし。めでたし。