ことのはのはね~奈良町から

演劇、アート、短歌他、町家での出会いまで、日々を綴ります。

八千草薫さん~短歌の思い出

2019-10-29 | 短歌
女優、八千草薫さんの訃報のニュースが流れました。現在も放映中の、倉本聡渾身のドラマ「やすらぎの郷」を見ながら、どうしてこんなにいつまでも透明感のある明るさが放てるのだろうと感嘆していました。
9年前、私の自作短歌がCMで半年ほど放送されましたが、その歌を読んでくだったのが、八千草薫さんでした。当時、三國連太郎さんと八千草薫さんは、「皇潤」のCMに出演されていて、日本のダイナミックで美しい風景が印象に残るCMでしたので、皆さんも記憶にあるのではないでしょうか?そのシリーズの一貫で、9年前、丁度、奈良は平城遷都1300年祭でしたので、奈良で撮影となったとのこと。奈良の風景の中で、三國さんと八千草さんが歌を読むという設定で、その短歌の依頼を受けたのです。(奈良フィルムコミッションさんからのご紹介でした。)ディレクターさんとCMの監督さんの意向を聞きながら、いくつか、歌を作り、結果、採用されたのが、以下の写真の歌です。八千草さんの声は、本当に素敵で、私の一生の思い出になりました。ちなみに三國連太郎さんの歌は興福寺が背景です。それはまたの機会に。
女優として一生を全うするのは、本当に大変なことだと思いますが、八千草さんのように、少女の可憐さを持ち、そのたたずまいが、なんともいえない空気感を画面に出せる方というのは、思い当たりません。一方で、名作「阿修羅のごとく」(脚本・向田邦子)「岸辺のアルバム」(脚本・山田太一)といった、現代を背負うようなドラマでも、その背負い方が、演技が全てというよりも、少し違う別のもの…声の質もそうですね、ご自身全体、八千草薫というミューズによって、現代の一点の時間が普遍化されていくような…。なので、ずっと見ていたいと思う、そういう女優さんでした。心よりご冥福をお祈りします。


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