ことのはのはね~奈良町から

演劇、アート、短歌他、町家での出会いまで、日々を綴ります。

小町座公演「コロナ姫」レポート①

2020-12-06 | 小町座
小町座、次の公演稽古を10月から始めています。「コロナ姫~冠を戴くように」(奈良市文化芸術活動臨時支援事業に採択)2021年3月6日(土)奈良市ならまちセンター市民ホールで公演します。こういう時期に、奈良市が文化予算を確保し、活躍の機会が減った文化活動をサポートする機会を設けたことは意義があると感じています。
さて、「コロナ」が私たちの中にもたらしたものは、病気であるということはもちろん、社会システムの問題や、人の距離感、精神や文化面の問題などなど、あまりに多岐に及びます。こういう大変な時には、新たな価値が生まれると言われますが、一方、経済的な指標で中々その価値が計れないもの…文化や芸術的なものは、難しい立場におかれます。一家庭人としては、それはやむを得ないことだと思う気持ちもある、けれども、こうした危機的な時に、私たちがどうあるべきかを問う思考力こそは、文化芸術の中にあると、強く感じています。そんな大げさな言い方をしなくても、「何かおきた時にどういう言葉が出て、どういう行動をとるか」ということでしょうか。そこには、これまで自分が見てきたもの、読んだもの、聞いたもの、感じたことが色濃く反映されます。見て、読んで、聞いたもの、美術、音楽、演劇、本…こう並べるだけで、もう既にこんなアナログの世界、終わってるんじゃないの?と聞こえてきそうなムードも、このコロナ下ではあります。けれども、こうした芸術が、長い年月で蓄えてきた力を、コロナの時代に手放してしまってよいのか?と思うのです。
ただ、こうしたことを考えるたびに、それじゃあ、関わっているものが、暮らしの中に、もっと当たり前のように、文化芸術がある環境を作ってきたかと言われると、私自身まだまだ、と思います。本当に難しい。実際に活動していて思うのは、「10歳の壁」です。小学校では二分の一成人式を、私の息子もしましたが、高学年になり、塾に行き、放課後遊ぶ時間がなくなってしまう現況で、既に子どもたちは、大人時間のモードに入ってしまい、このリズムが当たり前となります。遊ぶ中で見るもの…そこに何気に絵や音楽や台詞があればなぁと思いますが、何せ、10年でその時間が終わってしまうとしたら…。小町座の地元小学校の放課後教室は、低学年が多く、やはり10歳未満の集まりといえます。けれどまあ、何とも面白い。あの全身から物をつかむ感覚というのは、あの時期ならではでしょう。「耳の力」というものを、子育てをしながら感じてきました。文化芸術に参加する時「表現すること」ばかり言われますが、実はそちらでなく受け取る「耳」、聞く力の方が、中身を育てると確信しています。
なんだかレポートと言いながら違う方向にそれました。「コロナ姫」は、「コロナ」と耳にした時から、すぐに私の中に生まれました。私の戯曲デビューは「りんご姫」でした。続く姫シリーズ?!が「コロナ姫」。全く違う二つの世界の物語です。ようやく全てのキャストが揃い、通して読みました。アラフィフのお姫様劇!というだけで、「うそー?」となりますが、いえいえ、それがお姫様に見えるので、そこが小町座メンバーの不思議なところです。また今回、客演で男性3人参加も始めてのこと。一体、どうなるでしょう。撮影には大学生も参加してくれます。アラフィフたちが必死に「コロナ姫」と格闘する姿を、若い世代はどのように見てくれるのでしょうか。
最後になりましたが、「コロナ姫」上演の前に、なんとトーク企画があり…あの、劇作、演出、女優、日本劇作家協会会長と八面六臂の大活躍!の渡辺えり様と、Zoomトークをさせていただきます。もうこちらは、えり様にお任せして…。コロナ姫、作っていきます。よろしくお付き合いください。



最新の画像もっと見る