岐大祭 コスプレ大会 全部男の子
術前2日前の入院は余裕度が多すぎではと、担当医等に感想を述べましたが、患者が環境に慣れること、丁寧な術前の諸検査などから、2日前入院は適切でした。
前の日、麻酔医から・午前中私の前にひとつ手術があること、・手術予定は11時開始、・当日午前0時以降、水はいいが固形物は牛乳・ジュース類を含め絶食、・午前8時過ぎは絶水、を指示されました。
大腸手術などは排便処置が必要です。私は直腸切除で排便が不規則で前処置が必要です。排便記録は毎日カレンダーにつけていて持って行き、入院前から4日くらい便秘していました。術前の前日に腸を空にするため、前の晩の就寝時に処方薬緩下剤センノサイドを1錠服用して寝ました。この病院は特許切れのゼネリック薬品を使うということです。
緩下剤プリゼニドは⇒センノサイド、前立腺肥大等の排尿剤ハルナールDは⇒タムスロシン塩基塩ODという具合です。
心配した緩下剤が効いて、翌日正午頃から午後10時半までに8回の頻便でほぼ腸が空になりました。
師長さんから手術日から個室に移ってもらうと前日通知され、朝からナースがベッド毎スタッフセンター前の個室へ移動し、4人部屋の荷物も移動しました。
9時から手術用点滴がはじまり、頻繁に脈拍・血圧を測定され1時間もしないのに血圧が85まで下がり、下がり過ぎなので点滴を一気に落とす、起き上がるとめまいを起こすので寝たまま等指示されました。
11時前予定通り、ベッドに寝たまま3階中央手術室へ移動です。前の手術と同じように、紙オムツを持参し手術が終わったら履かせてと、病棟看護師からオペ看護師に引き継ぎをお願いしました。術中はT字帯、いわゆる越中ふんどしを履くか、スッポンポンの上下裸です。T字帯は持参し看護師さんに誉められました。
いよいよステンレスドアを足踏みペダルで開け、随分大きな手術室であっちこっち曲がりながら入室です。病棟ベッドから手術ベッドへ横滑りに移動し、緑衣の若い男性4~5人が目に入りました。
手術開始です。少し落ち着くため手術室の数を聞くと麻酔医は、Aから数え12室あると答えました。次いで「反回神経を切断しないようにね・・声を失くすから・・」と、冗談ではなく本音をお願いしたら、相手は笑いました。「時計はどこですか?」とも聞き、方向を教えられ「ちょうど11時ですね」と確認しました。時間確認は私のいつもの行事です。
「では、はじめますか、薬を入れます・・すぐ眠くなります」と、これはどこも一緒です。そこで、ストンと意識を失います。これは快適で死ぬ時も、ピンピンころり、P・P・Kでこのように逝きたいといつも思います。
”----点滴の滴が規則正しく落ち始めた。患者の左前腕に刺されてある持続点滴セットの側管から麻酔薬導入のための睡眠薬が注入されはじめるのと同時に、彼は深い眠りに入った。つづいて筋弛緩薬(きんしかんやく)が注入されると、その手足も完全に弛緩して動かなくなる。
麻酔医は患者の鼻口にかぶせたマスクを使って数回の人工呼吸を施し、彼の体内に十分に酸素を満たした上で気管内挿管を行う。そのあとに全身麻酔が開始されるが、麻酔の当初は麻酔医の手で酸素と全身麻酔薬の入ったバッグを握ったり緩めたりしながら人工呼吸は続けられる。
どうやら患者の状態は落ち着いてきたところで、レスピレーター(人工呼吸器)が装着された。筋弛緩剤の効き目は二、三十分であるため、彼の状態に合わせて適宜注入されてゆく。これは、術中に筋肉がピクッと動いたりするのを避けて手術をしやすくするために用いる。
手術中の患者の全身状態の管理はすべて麻酔医の責任に委ねられる。呼吸、血圧、脈拍、尿量、出血量等々が随時チェックされ、適切な補液量、輸血の是非や酸素濃度等も決定、施行される。この麻酔管理のおかげで、外科医は患者の全身状態を全く気にかけることなく手術に専念できる。
手術台に固定された患者は、全く俎上の鯉と化して眠りつづける。
彼の全身は濃緑色の滅菌四角巾で四方からすっぽりとおおわれ、手術野(しゅじゅつや:手術される部分)が確保された。煌々と輝く無影灯が肌色の手術野をぽっかり照らしだしている。-----"
(以上引用 「医者が癌にかかったとき」竹中文良 文春文庫 1994.5刊 初出単行本 1991・3文芸春秋刊)
この文庫本は家内が末期で入院中、中古店で200円で求めた。枕頭で著者の図書館の本を含め、何冊か読みました。手術のたびにこの冒頭の文章をよく読み返します。彼とは著者、日赤外科医だった先生が55歳で大腸がんを自己発見され手術、その体験記、人生観など広く人々に親しまれた良書です。
惜しくも退職後肺に転移し、故郷の和歌山へ帰り、最後に大きく一息して79歳で亡くなられたと奥様の記を週刊誌で読みました。
11月3日は文化の日 岐大祭 医学部は「つかさ祭」があり、病棟に宣伝広告が貼ってあり、元気になったお礼に見に行って楽しんできました。コスプレ大会、出店が沢山、若いって羨ましい。