日本が鈍感になり、アメリカがセンシティブになること

『栄光なき凱旋・中』　真保裕一

日本軍の真珠湾攻撃によって
ハワイや西海岸に住む日系人は苦境に陥る
日本に捨てられ
アメリカに壁を立てられ
分かってくれないのは
アメリカ人だけじゃなく
メキシカン、中国人もフィリピン人も
日本人もだ
そして
同じ日系人同士でも分裂が生じる
さらに
同じ敵国でも
アメリカはドイツ人、イタリア人にはそこまで酷くない
孤独な日系人たち

ちょうど東海岸に住んでいたとき
９．１１
同時多発テロがあった
あのとき
中近東の人種全員に偏見の目が向けられた
中近東は複雑でひとくくりにはならないが
要は見た目
よくは分からないが
何となく気味が悪い・・・と
学校などでもイジメが起こった
町のイラク人が９月に入って、急に消えた
なんて噂も飛び交う
それらは、すぐにニュースになった
そして
パールハーバーとの比較が必ず囁かれた
その度少しドキドキした
アメリカ人特有の「どう思う？どう考える？」
聞かれたら
どう無難にコメントしようか・・・と慌てるからさ
誰にも聞かれなかった
というか
その度に、周囲のアメリカ人たちは気を遣って話題を変えていた
NBCのローカルチャンネルに出演したMだが
やはりパールハーバーの話題が出たときは
アジア系をカメラに入れないよう
アングルを変えるという気の遣い様だった
十数年前インデイァナ州に住んでいた方は
１２月８日には近所のアメリカ人から
パールハーバーを覚えているか？と
嫌がらせの電話があったものだ
とおっしゃっていたが
アメリカにも、日系人にも、日本にも
間には何か片付かないものがある
日本にいると忘れそうなことを
人種のサラダボウル
アメリカは、日々抱えて暮らしているんだ
・・・と感じたことを思い出した