【茶の湯の四季】風炉から炉へ「炉開き」
茶の世界では11月は「茶人のお正月」ともいわれます。四季の風情をおもてなしの重要なポイントにしてる茶道では11月に入ると冬のおもてなしになり、客人を暖かくお迎えするため「田舎家の面白さ」を侘茶の一つの要素として取り入れようとしたのが炉の始まりです。
一辺が一尺四寸の炉の寸法は武野紹鷗と利休が相談して決めたと伝承されています。それにより茶室も四畳半の正方形となり、仏教で「方丈」と呼ばれる大きさで、「茶禅一味」という価値観のもとでは茶室が四畳半であることは重要な意味がありました。(鴨長明の方丈記はこれから名付けられました)この炉の前でのお点前はそのような歴史をしみじみと感じてきます。床前には「日々是好日」の軸が飾られ、より一層炉開きのお点前は緊張致しました。
けいことは壱より習い十を知り 十よりかえる元の其の一
茶道の稽古は一から順に学んで十を知るようになるが、十まで習ったからもう終わりというのでは進歩がない、再び一に戻ったときは最初の一とは全く意味が違ってくるのだからそこからが勉強だ。という意味です。奥が深い茶道の道をつくずく感じた炉開きの茶会でした。