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オペラシオン・プエルトの記憶

2024-12-13 11:25:54 | ドーピング問題
 ツール・ド・フランス期間中に話題に上がった一酸化炭素吸引とはいったい何なのか?パフォーマンス向上に本当に影響はあるのか?について少し書いてきました。「カーボンモノオクサイドリブリーザー」については現段階で選手組合も世界アンチドーピング機構も制限しないと断言しているのですが、UCIの今回の警鐘に私の中では過去の暗い記憶が蘇りました。ステロイドから始まったドーピングが血液ドーピングという時代に入り、2006年にスペイン国家警察が行ったドーピング摘発作戦のコードネームであるオペラシオン・プエルトです。

 2006年5月23日、スペイン人の医師エウフェミアノ・フエンテスを始めとする数名が国家警察に拘束さるという前代未聞のドーピングスキャンダルだったのです。フエンテスらはスポーツ選手の血液を事前に採取しておいて競技直前に選手の身体に戻す、いわゆる血液ドーピングを行っていたとされ、フエンテス医師のアパートから200個ほどのサンプルが発見された。そして、この医師と関係があったとされたロードレースの選手の名前が50以上も公表されたのです。

 この結果、ツール・ド・フランスの主催者(A.S.O)はこれらの選手の出場を拒否。ヤン・ウルリッヒやイヴァン・バッソら優勝候補が出場出来なくなるという事態となったのです。この時代のロードレース界はドーピングまみれで、後にランス・アームストロングがツール7連覇を含む全ての記録を抹消され、自転車界を永久追放される事態に発展しているのです。ランス・アームストロングの走りに魅せられてロードバイクの世界に足を踏み入れていた私には大きなショックだったのです。

 加えて、2010年には「ツール期間中のドーピング検査でコンタドールに陽性反応」とツール後に報道されます。検出された薬物はクレンブテロール(clenbuterol)でした。クレンブテロール(clenbuterol)は脂肪の少ない身体を作るために使われたり、畜産物の痩肉剤としても使われる薬物です。

 過去には中国で食肉に含まれたクレンブテロールを摂取した選手がドーピングを疑われましたが、クレンブテロールが肉に含まれていたことが立証され、ドーピングに当たらないという裁定が下っていたこともありました。

 この時に検出されたクレンブテロールの量は僅か50ピコグラム(1ピコグラムとは0.000 000 000 001グラム)と見積もられており、これは規定された禁止量の約400分の1程度の量に過ぎないのです。コンタドールはスペインで食べた食肉に含まれていたと主張するも、それが証明できず2012年にドーピングと認定され、2010年のマイヨジョーヌと2011年のマリアローザを剥奪されてしまったのです。
 UCIはコンタドールから検出されたクレンブテロールについて、規定に比べると400分の1と微量だったことを発表。ただ、例え量がわずかだとしても、薬物使用の痕跡が明らかになれば2年間の出場停止処分が科せられるとの方針を発表したのです。ならば、禁止薬物量の規定は無意味となるのではないでしょうか?本来病気の治療や健康保持のために使われる薬物が,競技能力を向上させることを目的として使用されることをドーピングとよびます。つまり、競技能力を向上させる効果のない量の薬物はドーピングに当たらないはずなのです。
 2011年の2月にスペイン自転車競技連盟は、この3度のツール・ド・フランス総合王者を出場停止にする自らの裁定をくつがえすことを決めたのですが、UCIとWADA(世界反ドーピング機関)はCAS(スポーツ仲裁裁判所)へ提訴し、2012年に違反と認定されてしまった訳です。CASが有罪の判断を下した理由は、クレンブテロール検出の原因を、含有サプリメントの摂取によるものだとしています。
 こうした過去の前例があるので、今回の一酸化炭素問題を危惧しているのです。今のところはWADAが承認しているので、大きな問題にはならないだろうとは思っていますが、UCIが現在WADAに正式な見解を求めているのが気がかりです。渦中にいるのがポガチャルやヴィンゲゴーというビッグネームなのですから。
 




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