UCIによって2013年のプロツアーライセンスを許可されなかったカチューシャがCASへ提訴した結果、UCIは「複数のドーピング疑惑が持ち上がったこと、そしてそういった問題が起きるということはチームが組織が十分に機能していないということ、そしてアンチ・ドーピングに対する意識が低いことがライセンス拒否の理由」という文書による回答をしたようです。
一時は財政面での問題匂わせていたのに、今度は一転して「アンチ・ドーピングに対する意識が低い」ことをライセンス不許可の理由に挙げている。財政面の問題であれば数字という明確な証拠が提示できるけれど、チームの「意識の問題」と言われてしまえば、明確な証拠を提示することは難しい。まして、ドーピングでガリムジャノフが2年間の出場停止を受けた事実がカチューシャにはある訳です。
では今年UCIのプロツアー・ライセンスを保有しているチームで、所属選手がドーピングスキャンダルを起こしているのはカチューシャだけなのかというと、そんなことは決してないのです。ランス・アームストロングの事件を総括しないままのUCIがチームの「アンチ・ドーピング意識」を云々するのは明らかにおかしいと私には思えるのですが・・・
度重なるドーピングスキャンダルに撤退するスポンサーが後を絶たない現状で「アンチ・ドーピング意識」は錦の御旗となることは確かですが、UCIはこの10年「アンチ・ドーピング意識」を高めるために一体何をして来たのでしょう?規制を強化し罰則を重くすることでできる抑止などたかが知れているのです。法で規制をしようとすれば、必ずその抜け穴を探し、法の網の目をすり抜ける者が出て来るのが人の世というものなのです。
UCIは抜き打ちのドーピング検査をするために、UCIプロツアーに所属する選手たちに自分の所在地を報告する義務まで科しているのです。ここまで選手の行動を規制しているプロスポーツは他にないでしょう。ここまで規制をしてもドーピングスキャンダルが後を絶たないことに対する責任をUICはどのように考えているのでしょう?
私は今ドーピングとはいったい何か、何故アンチドーピングが必要なのかを原点に立ち戻って考える必要があるのではないかと思っています。科学技術や医療技術が進んだ結果、禁止薬物が年々増え続けています。運動能力の向上に資するものだけでなく、ドーピングを隠蔽するための薬物も増えているのです。利尿剤(ドーピング検査の材料となる尿の量を多くして、禁止薬物の濃度を薄めてしまう)のように本来は運動能力の向上には益のない薬物まで禁止薬物リストに加えなければならない状況にあるのです。
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