2023年版渡辺松男研究⑨(13年10月)
【からーん】『寒気氾濫』(1997年)33頁~
参加者:崎尾廣子、鈴木良明、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
レポーター 鈴木 良明 司会と記録:鹿取 未放
67 見付けたきもの見付からぬ倉庫にて物言わぬ荷に視姦されいき
(レポート)
「私が物を見る」ということは、同時に「私は物から見られている」ということでもある。倉庫に入って意識的にものを探しているときには、「物を見る」という私の主体が強く働いている。ところが、当のものが見つからないとき、主体は肩透かしを食らって、今度は一転、私は客体に転化し、「物から見られている」という意識が強く浮上してくる。物言わぬ荷にまじまじ見つめられて、まるで視姦されているかのようだ。 (鈴木)
(当日意見)
★私もよくこういうことがあります。本当はあるんだけど、見つけることができなく
て、向こうから見られている感じ。(曽我)
★こういう場面はけっこうある。特に人気のない倉庫だと怖くて、物に見られている
感じがする。子供がまだものが言えない赤ん坊の時、ふたりきりでいたら、赤ん坊
の視線がとっても怖いと思ったことがある。我が子なのに目の奥に異星人みたいな
得体の知れないものが潜んでいて覗かれているようで怖かった。それとこの歌の感
覚は似ている気がする。(鹿取)
★こういうのを歌にするのは難しいことだし、こういう経験を即、まあ即かどうか分
からないけど、歌にしてしまうところが渡辺さんのすごいところ。(鈴木)
【からーん】『寒気氾濫』(1997年)33頁~
参加者:崎尾廣子、鈴木良明、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
レポーター 鈴木 良明 司会と記録:鹿取 未放
67 見付けたきもの見付からぬ倉庫にて物言わぬ荷に視姦されいき
(レポート)
「私が物を見る」ということは、同時に「私は物から見られている」ということでもある。倉庫に入って意識的にものを探しているときには、「物を見る」という私の主体が強く働いている。ところが、当のものが見つからないとき、主体は肩透かしを食らって、今度は一転、私は客体に転化し、「物から見られている」という意識が強く浮上してくる。物言わぬ荷にまじまじ見つめられて、まるで視姦されているかのようだ。 (鈴木)
(当日意見)
★私もよくこういうことがあります。本当はあるんだけど、見つけることができなく
て、向こうから見られている感じ。(曽我)
★こういう場面はけっこうある。特に人気のない倉庫だと怖くて、物に見られている
感じがする。子供がまだものが言えない赤ん坊の時、ふたりきりでいたら、赤ん坊
の視線がとっても怖いと思ったことがある。我が子なのに目の奥に異星人みたいな
得体の知れないものが潜んでいて覗かれているようで怖かった。それとこの歌の感
覚は似ている気がする。(鹿取)
★こういうのを歌にするのは難しいことだし、こういう経験を即、まあ即かどうか分
からないけど、歌にしてしまうところが渡辺さんのすごいところ。(鈴木)
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