かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『寒気氾濫』の一首鑑賞 355

2024-11-29 23:07:05 | 短歌の鑑賞
  2024年度版 渡辺松男研究42(2016年9月実施)
    『寒気氾濫』(1997年)【明快なる樹々】P143~
     参加者:M・S、鈴木良明、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:鈴木 良明    司会と記録:鹿取 未放



355 君といるときは山毛欅(ぶな)の原林に雨降るような安堵もありぬ

     (レポート)
 山毛欅は欅のような大木になり、若葉に産毛が生えるのでこの名がある。山毛欅は落葉広葉樹なので、その原林は明るく、雨が降っても暗くじめじめした感じではない。だから下の句が自ずから納得されるのである。(鈴木) 


       (当日意見)
★大好きな歌です。母性とか言うと歌がつまらなくなるけど、原林が効いていて、山毛
 欅は一本ではなく辺り一面山毛欅林で、そこにしっとりと雨が降って木々を育ててい
 る。雨、安堵とア音を重ねて明るく心が解放されている。大きく柔らかい、やさしい
 ものに抱かれる安堵感をうまく出せている。男の人の気分ってこんな感じなんだろう
 なと納得がいく。(鹿取)

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