かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男の一首鑑賞  362

2021-11-23 17:06:32 | 短歌の鑑賞
  渡辺松男研究43(2016年10月実施)  『寒気氾濫』(1997年)
    【半眼】P146~
     参加者:泉真帆、M・S、鈴木良明、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:泉 真帆    司会と記録:鹿取 未放


362 ぶな若葉風のきみどりさんさんとふいに誰かを抱きたき日照雨(そばえ)

    (レポート)
 「誰か」と詠っているが、私は特定の君のような気がする。山毛欅の若葉にふりそそぐ陽光が、葉のうすみどりを透かしている。ふいの日照雨に、ある人を抱きたくなる情動が美しい。(真帆)


     (当日意見)
★誰かって特定の人ではないですね。(曽我)
★ある人って書いてあるけど、私は特定の人と思ったのです。(真帆)
★ぶな林の中にあっての思いだから、逆に決めたくはない気がします。特定の君だと言い過ぎとい
 う気がする。(鈴木)
★ここは私も気分的に不特定な誰かって考えたい。(鹿取)
★そばえがここの気分にとても合っていますね。(慧子)
★濃厚な感じじゃないですね。特定しない方が歌に広がりが出る。(鈴木)
★ぶな若葉に風が吹いてお日様がさして作者は開放的な気分を味わっていたと思うんです。そこへ
 にわか雨でしょう、ちょっと薄暗くなって少し人恋しさを感じたということかな。(M・S)
★日照雨だから、きらめきながら降っている。こそにふっと兆した人恋しさ。(鹿取)


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