DEEPLY JAPAN

古い話も今の話も、それでもやっぱり、ずっと日本!
Truly, honestly, DEEPLY JAPAN!

箱根:正常性バイアスなのか選択的な欲望なのか

2015-07-02 17:31:45 | 太平洋情勢乱雑怪奇

これは一体何なのだろうか。多くの国民が既に気が付いてしまっていると思うけど、なぜここまでこの箱根町なのか神奈川県なのか、あるいは実は政府周辺なのか、とにかく箱根関係者の一部は箱根で現在進行中の問題を小さくしようとするのか。

「大湧谷周辺」での情報発信要望 箱根町、風評を懸念
http://www.asahi.com/articles/ASH716G4PH71UTIL050.html

大涌谷が箱根というカルデラの一部でないとか、実に端っこだというのなら分かってやってもいいけど、ど真ん中で何を言うねんという気がする。

むしろ、箱根湯本とか塔ノ沢あたりまでの早川沿いなんかなら、何かあってもすぐ小田原に抜けられますから大丈夫ですとか言ってもいいような気がする。

残りのエリアは、実のところ出るのが結構大変なところなんだよね。行楽シーズンに箱根エリア全体が混雑するのはただ人が多いだけではなくて構造的な問題も大きい。

箱根ジオパークさんのところにあった立体地図が素晴らしい。お借りします。

こっちは、有隣堂さんの文化事業ユニット? Web有隣さんが7年前に掲載していた箱根がらみの記事にあったマップ。

当該の記事は 箱根火山 噴火の新しいメカニズムをさぐる というタイトルで今読むとさらにリアルかも。というか怖いかもしれない。



でもって、歴史的に考えてみても、各時代の人々はこの箱根山一体を避けながら通路を確保していて、このカルデラの中を突っ切って動脈にしようとは思わなかったわけで、これはつまり、中央火口丘付近でたまに、100年とか50年とかに1回水蒸気が吹き上げるぐらいのことはあったからじゃないのかなぁと改めて思ったりする。つまり、記録とか地層に残るほどではない事象は結構あったんじゃないのか、と。箱根の権現様がお怒りじゃ、みたいな。

最初、800年代までは、箱根周辺のエリアの道は足柄峠が名高いように北側を通っていた。下の赤い地図の右側の方。

その後奥にある富士山の噴火があって富士山と箱根外輪山に挟まれたエリアが通行できなくなったことから、海側の道を開削。つまり箱根の南側を通ることにしたと。そのご700年ぐらいの間実際どちらが主流だったのかといえば、武将はむしろ山側を通ることが多かったのではないかと思うのだが(北条氏から足利尊氏なんかはそうだと思う)、江戸幕府が箱根湯本から元箱根に至る山道を整備したので、そこがいわゆる旧街道として知られ、私たちが知っている1号線に至る。

しかし、沼津から御殿場を通って、箱根山の周囲をぐるりと回って国府津に出るルートが忘れ去られることはなくて、近代ではそこに線路が敷かれる。東海道線は最初今の御殿場線の道を取っていた。

が、1号線側の道よりマシとはいえ越えるべき山はあるので蒸気機関車はかなり苦労する。そこで、伊豆側をぶち抜きゃいいんだとなって丹那断層をもろともせず丹那トンネルを掘りぬいて鉄道を通す。赤い地図の一番左側のあたり。北伊豆地震があって断層が丸見えになってもおののくことなくやり遂げた。現在の新幹線もその考えの上にある。

と、こうやって考えてくると、箱根エリアの安定通行の確保ってものすごい苦難の歴史を伴っていたし今もいることがわかる。

どうしてそうなるかといえば、ここは伊豆半島が本州にぶつかった場所だったから地面が複雑に盛り上がってますねん、という話だし、その伊豆半島は単品でできているわけではなくて、その下にはそれを乗せているフィリピンプレートがあって、そのフィリピン海プレートがユーラシアプレート、北アメリカプレートと沈み込み境界で接している。活断層が真ん中を通っている活火山、それが箱根です、なわけですよね。

さらにその下に、日本海溝から太平洋プレートが沈み込んでいる。ところで、その太平洋プレートは現在どうも動意づいている。

と考えてくれば、伊豆箱根周辺の警戒を怠るべきではない、という結論が当然に出てくると思う。

■ 正常性バイアスなのか選択的な欲望なのか

ところが、政府筋とそれに引きずられたと思しき気象庁は、現在起こっていることを何か、とても控えめに控えめに語ろうとしている。噴火しても噴火でないと言おうとしていたよね。箱根は噴火しない、が前提としてあって、従って、もろもろの事象は噴火ではない、とか言いだしかねないノリがあったし今もある。撤退は転進であるみたいな感じだろうか。

しかしではどうしてそうなるのか?

  • 絶対に大涌谷付近の小規模水蒸気噴火以上にならない確証がある

というのでない限り、

  • もう怖い想定をするのが嫌なので、大丈夫だ大丈夫だと語っている
  • リスク保険、地震保険、投資回収プラン等々の設定を大口の投資家さんたちが対応できるまでは文言上噴火させない
  • 資産算定する必要のある人たちがいるのでそれまで文言上噴火させない
  • 大事になる前に、重要人物、重要施設が移動を完了するまで、一般人には事態を伏せる

とかとかのお金の話じゃなかろうかとかいろいろ想像してしまう。地元観光業者のためとはちょっと思えないもの。

山谷えり子防災担当相も「小涌谷、芦ノ湖周辺など主要な観光地は今回の規制の範囲外。箱根登山ケーブルカーも通常運行している。冷静に対応していただきたい」と話した。

上の朝日新聞にあった文言だけど、「今回の規制の対象外」っていうけど、今回の規制が拡大する恐れはないんですか、ないとすればあなたなんでそれが断言できるんですか、確率はどうですか、となんで記者は突っ込まないんだろう?

やっぱりこの箱根を巡る展開は謎すぎる。

 


日本海の拡大と伊豆弧の衝突 ―神奈川の大地の生い立ち (有隣新書75)
藤岡 換太郎,平田 大二
有隣堂

 

伊豆・小笠原弧の衝突―海から生まれた神奈川 (有隣新書)
藤岡 換太郎,平田 大二,有馬 真
有隣堂

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 箱根小規模噴火と東京オリン... | トップ | ヨーロッパの実存的危機だけ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

太平洋情勢乱雑怪奇」カテゴリの最新記事