米国が、イスラエルに高高度防衛ミサイル(THAAD)を配備している。
Committed to Tel Aviv regime, US deploys THAAD to Israel for 1st time
https://www.presstv.com/Detail/2019/03/04/590159/US-military-EUCOM-Israeli-security-THAAD
イスラエルの現体制に対する米国のコミットメントの一環というやつなんでしょう。
今のアメリカの政権は、マジで、日を追うごとに、クリスチャン・シオニスト(在米)とユダヤ・シオニスト(イスラエル)の夢がかなった政権になってるなぁと日々思う。
これはまぁ別に驚くこともでないとチョムスキーなら言うでしょう。この件に関してはチョムスキーは昔からずっと正しいことを言っていると思う。
つまり、多くの人はシオニストというとユダヤの、と思うけど、クリスチャンの方がずっと先でずっと広い。18世紀、19世紀を見ても英国のエリート層に深く浸透してる。アメリカ、カナダ、オーストラリアで流行ってることを見てもそれはわかるだろう、と。
(19世紀に英米から出て来た新興宗教的なものはほとんどそうだと思って間違いない。それに対して、古いキリスト教、特に正教はシオニズムを認めていない)
で、イスラエルをなぜアメリカが支援するのかのその次の理由は、ヨーロッパ側から見た時の最後の植民地主義で、中東をコントロールしたがっているからイスラエルを起点にしてるんだ、と。
さらに3つ目が軍事戦略上の問題。これは戦後の話で、イスラエルの独立にあたっての戦争を米軍は支援してるし、それでいいと思った(国務省は躊躇していた)。あそこに強い軍を置くのは有利だと思ったから。
という筋から見た時、現在のトランプ政権は、1つめのシオニストの大義を応援し、3つ目の軍事から見た時の拠点確保を行ってる。欧米側からの植民地主義はリビアを倒して、シリアを倒そうとしていることを見ても鋭意継続中って感じ。
■ さてしかし
さてしかし、だからなんだろうというのだろうってところはありますね。
一つの懸念として、イラン相手に戦争する気になってると読むこともできますが、もうね、やるならやれって感じでしょう。
ロシア、イランあたりは、どうせ何言ったって聞かないんだし、勝手な妄想垂れ流しておかしなことばっかりやって、合意したって破るんだし、話し合おうっていっても蹴るんだし、といった感じで、意味不明なアメリカを前に、各種のシミュレーションを積み重ねるばかり、といったところ。
プーチンはこの間のロシアの一般教書演説で、去年お披露目した「強制MAD」に至らせるためのミサイルとその戦略についての続きを話していた。
プーチンの2018年一般教書演説:強制MAD
アメリカはINF条約もぶち壊したわけだが、その上で欧州や極東にこれ以上配備をつづけた場合には、ロシア軍としてはこうするああするというメカニズムを話していた。
目新しいところ(でもないんだが)としては、ミサイルが高速であるためロシアが米海岸に配備している潜水艦が米国内のターゲット目指して発射した場合、到達までの時間は5分とか12分とかいうオーダーだぜ、というのを表したところか。冷戦時代より遥かに大規模なことがあっという間に行われる。
これに対してアメは正式にも反応してないし、メディアもインチキなことしか言ってない。
つまり、今後のアメの動きによっては世界は破壊されるというメカニズムが決定されたようなものですので改めてお知らせします、といったところ。
ということで、世界制覇の夢を追って、強盗はする、モンロー宣言は辞さずとか言ってみるアメリカが、今後何をするのかもう誰にも知れたものではない。そこで、ロシア、イラン、そして多分北朝鮮&シリアあたりは、恐怖に支配されることなくやるれることをやろうという態度で行ってる感じ。
ちょうど一年前、ロシアの国連大使のネベンジャさんが、西側の国連代表者たちに「私たちはあなたがたが正気に返ることを願います」と言ったことがあったが、ロシア指導層の西側エリートに言いたいことはまさにその一言につきるでしょう。
明日もロシア人は生きるし、イラン人も生きる。ハルマゲドン妄想に付き合う言われとかねーよ、ってところ(正教ロシアとシーア派イランがこう来る、というのは偶然ではないのかもしれない)。
北朝鮮にもベネズエラにも腹をすかした人がいる、ところで俺のところは豊作だ、だったら援助だというのもこの延長のような気もするな。
プーチンは、クラスノヤルスクのユニバーシヤードの応援に忙しい。
■ オマケ
ちょっと整理しておくと、
何が問題かというと、世界制覇という妄想を掻き立てながら進むこのプラットフォームを西側がやめられない、ってところが問題だということです。
ユーラシア vs 西側:マッキンダー理論とSCO
言語で表現されるものとしていえば、共存する、とか、協力して生きる、友好、信頼みたいなことを言えないのが西側の現在。ゼロサムとも言いますが。
このへんの語句に変化があれば、それは変化する気があるんだなとなるでしょうが、しかし今まで敵視されていた人たちがそれを信じるまでには時間がかかるでしょう。騙し続けたツケは大きい。
だからプラクティカルな解決方法としては、次のフェーズで騙しがあっても大丈夫なように相互に譲り合いながら進むしかない、ということ。北朝鮮に対する中国・ロシア共同提案のロードマップにもこの精神が見られる。
が、現在のアメリカのエスタブリッシュメント、or 陰の支配者だかなんだか知りませんが言論、ナラティブ、ストーリー展開を支配している人たちにその変化は見られない。実務者レベルでは理解されているように見えたとしても。
イルハンオマール、オカシオコルテス、トゥルシガッバード、この三人の女性議員の勇気。BDSに賛同するロジャーウォーターズの正義感。人と生まれたからにはこうありたい。