どうして大きな水害の発生が予想されている中、宴会を開いてみたり、いわゆる66時間の空白を作ったりしていたのか。
欧州訪問をどうしてもやりかかったからだろうと私は考えているわけですが、その理由はまず確定なのはフランスの革命記念日に自衛隊を連れてって、安倍がマクロンと共に貴賓席から手をふる、これをやりたかった。
しかしそれは、単なる一回限りのパフォーマンスではなくて、昨秋からの動きから見ても、日本がNATOに本格参入することの明白化だったんだろうと思うわけです。
ご存じない方も結構いるように思うけど、日本はブリュッセルにNATO日本政府代表部を開設することになってる。
NATOに日本政府代表部
理事会で開設同意
2018年5月26日 午前10時33分
http://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/334950
【ブリュッセル共同】欧米の軍事同盟、北大西洋条約機構(NATO、本部ブリュッセル)加盟国代表で構成する意思決定機関、北大西洋理事会は25日までに、ブリュッセルの在ベルギー日本大使館にNATO日本政府代表部を開設することに同意した。代表部大使は林肇駐ベルギー日本大使が兼任する。
日本政府は4月1日に施行された法律で、代表部設置を正式決定。設置日は「調整中」(政府関係者)とされる。同大使館には既にNATO担当の外交官がおり、増員は行わない方針。
日本は域外のパートナー国として、北朝鮮への対応などでNATOと関係を強化する。
で、NATOのページを見ると、日本は90年代から域外のパートナーで、長い間、
アフガニスタンの安定や、ソマリアの海賊対策、そして、
グルジア、ウクライナ、モルドバ、ヨルダンのようなパートナーの強化を一緒にやって来た、とある。
Japan is NATO’s longest-standing partner outside Europe, with deepening cooperation since the early 1990s. Over the years, the Alliance and Japan have worked together to stabilize Afghanistan, to counter piracy off the coast of Somalia, and to strengthen partners like Georgia, Ukraine, Moldova, and Jordan. Today, Japan has liaison officers at NATO, including at Supreme Headquarters Allied Powers Europe in Belgium, and Maritime Command in the United Kingdom. Japan also contributes a staff officer in support of the Alliance’s work on Women, Peace and Security.
https://www.nato.int/cps/en/natohq/news_154886.htm
まぁ、その、ウクライナやモルドバは、実際には住民はNATOに入りたくなくて揉めて来たところで、無理くり入れられてロシア向けの戦争をさせられるのはごめんだと真っ先に考えるようなところ。
日本はそこでNATOの支援に回ってるわけですね。だいたい知ってましたが、それはつまり、勝手に、ロシアと敵対関係になろうとしているわけですが、これは日本でどれぐらい知られている話なんでしょう?
私は日本のNATOへのこれ以上の接近は、現代の三国同盟だなと思ってる。(二度目は茶番かもしれないが)
意味は、日本が三国同盟なんか結んでいなければ、日本とアメリカの関係に何があろうとも、アメリカは欧州の戦争に入る大義がないから、世界規模の戦争にはなってない、それを繋いでいく重要なユニットが三国同盟だったから、またかよ、と思うということ。
欧州において、1939年9月3日にイギリスとフランスがドイツに宣戦布告をしたとしても、アメリカは関係ないし、日本も関係ない。イギリスとフランスが勝手に負ければよかっただけの話と言えるでしょう。自分で蒔いた種なんだから。
ところが、1940年9月27日、日独伊三国同盟が締結される。
そして
1941年6月22日 ナチスがソ連に侵攻
1941年8月9日から12日 英米 大西洋憲章で戦後体制を相談
1941年12月8日 日本、真珠湾攻撃
というタイムラインが来る。イギリスが大喜びするわけですよ。
おかしな話なんですよ、ほんと。
ということなので、私は、欧州の戦争体制に組み込まれるなんて、まっぴらごめんと真面目に思っているわけだが、また、再び、再度、そういうことをしそうなのが我が国みたいです。
■ グローバリスト日経、NATOをほめちぎる
まぁ、当然っちゃ当然ですが、グローバリストの極東代理人たる日経は、
世界の安定にはNATOの結束が必要だ
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO3294636012072018EA1000/
北大西洋条約機構(NATO)が米欧の安全保障の基盤となり、経済的な繁栄を支えてきたことは言をまたない。それをトランプ米大統領が揺るがしている。日本はもちろん、世界の安定に悪影響を及ぼす同盟の弱体化は避けなければならない。
NATOは11、12両日、首脳会議を開いた。焦点の国防費の負担について「2024年までに各国の国内総生産(GDP)比2%以上にする」という目標を確認した。達成済みなのは英国などわずかだ。加盟国は実現に向けて努力しなければならない。
いやぁ、過去40年ぐらい、NATOがなければほとんどのところで戦争なんて起きてないでしょう。アフガニスタンは少なくとも宗教と近代の中間ぐらいのままの、どちらかというと世俗的な国家のままだったでしょう。今は、NATO軍兵士がアフガニスタンで麻薬栽培の畑を見張ってるそうで、大変な仕事ですねと誰もが皮肉を言い続けてもう15年ぐらいになる。
また、コソボに巨大な基地を置いて、コソボ、アルバニアを欧州への麻薬侵入拠点にしたことも、何のためなんでしょうね。無茶苦茶で、将来が見えない話に見えますが。
911も関係あるだろうし、イラク戦争ももちろんそう。アメリカだけがやってるわけではない。
さらには、リビアのカーダッフィーが死ぬこともなく、それなら欧州の難民問題も発生してない。
シリア人がむざむざ殺されることもなかった。シリア東部から石油を盗むプロジェクトの用心棒はNATOでしょう。これを一体どうするつもりなの? ただの泥棒ですよ。
ウクライナももちろんそう。ちなみに私は、ウクライナでのマレーシア機の攻撃は、最低でもNATOの部隊とどこかの国が関与している、その疑いは限りなく濃いとずっと疑ってます。
というわけで、冷戦期のそれはまだ全然マシだったんだが、ユーゴスラビアに手を掛けて以降は、泥棒、殺人、嘘つき、詐欺、恐喝、とこの世の悪事を一身に背負ったような、北大西洋テロリスト機構と呼ばれて久しい団体になっているそれをグローバリストが欧米の安全保障の基盤だと呼ぶのは、いやぁ、語るに落ちたとはこのことよ、などと思う。そう、欧米だけが安全な保障だものね。つまりそれはその他世界にとっては大迷惑という意味で、まるで往時の東インド会社のよう。麻薬も栽培するし、結局同じか?
■ そしてトランプ
そして、トランプは、この団体を古臭いと言ってみたり、もっとアメリカに金出せと言い張ったりと、かなり滅茶苦茶なことをしている。
その意味は、さすがに廃止はないにしても、このままでは済ませない、という意味なんじゃないですかね。
金、金って煽ってるけど、金じゃないと思うな。欧州各国はただちに今の倍払えとか言われて、全部が全部はいはい払える国内状況じゃない(そこまで支持がない)というのを見越して、そこにハードルを作って何やら交渉しているんじゃないかと思う。
しかも、2%どころか、今度は4%払えとか言い出す。日経が怒る、怒る(笑)
ただ、トランプ大統領は4%への引き上げを一方的に要求した。さらにロシアから天然ガスの輸入増加を計画しているドイツに対して「ロシアの捕虜」と批判した。同盟国の結束をはかる場で、動揺を誘う発言は慎むべきだ。
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO3294636012072018EA1000/
トランプは選挙の時からNATOの問題を持ち出して、何度も反応を確かめていた。アメリカの一般国民にはそれなりの支持があるとわかってる。アルカイダを仲間にしてシリアで戦争してた、ってのがかなりのところ「もういい加減にするべき」派を勢いづけたと思うし、ウクライナ問題ではNATO東方拡大問題が非常に大きなテーマになった。
また、イスラエル、NATOの欧州、日本なんかが、同盟をいいことに何かしでかすことを恐れている人は結構いる。巻き込まれたくない、と(それがまさしくウクライナというのがネオコンでも介入主義者でもないアメリカ人の認識)。
■ グローバリスト、わめいてみる
ということなので、まぁ日経をはじめとしたグローバリストたちが、ひたすらロシアを攻撃するのは、彼らとしたら敵がいなくなったら困るじゃないか、という危機なわけですね。まさしく、人の生き血で生きてるような奴らだな、おい、って感じ。
グローバリストというのは、他人の血と脂がしたたるようなバスタブにつかるのがとても好き。
米欧の溝が深まることで最も得をするのはロシアだ。プーチン大統領はソ連の崩壊を「20世紀最大の地政学上の悲劇」と位置づけている。冷戦時代に東側の軍事同盟だったワルシャワ条約機構に加盟していた東欧諸国やソ連の一員だったバルト3国はいずれもNATOに加盟した。
ロシアはこれに一貫して異を唱え、米国主導の秩序にくさびを打ち込もうとしてきた。14年のウクライナ領クリミア併合はその象徴だ。いまもなおウクライナ東部ではロシアが支援しているとみられる武装勢力が活動している。
勝手に象徴になってるけど、実際にはNATOがセバストポリを騙し打ちで奪おうとして、プーチンとよく鍛えられたロシア軍に寝首をかかれ、その動きをリードしたクリミアの住民たちにさっさと住民投票をやられて、住民たちはめでたく、念願のロシア復帰をかなえたという物語でしょう。
グローバリストはほんと、何をコッパズカシイことを言ってるんだよ、って感じ。ネオコンはグローバリストの下請け。両方の得意技は、他人の血と脂、そして詐欺。
でも、モニターの前の一般人は騙せても、クリミアに住むロシア人たちは騙せなかったし、今後も騙せないでしょう。
もうケルチ海峡に橋が架かって、クリミア半島とロシア本土がつながっちゃったからなおさら。ちなみのこの全長18.1キロの橋はロシア最長のみならず、ヨーロッパ最長。
■ オマケ
そうこう考えてみると、ここで日本がNATOとより緊密になるというのは、軍事費がらみという線もあるのかもしれない。
軍事費負担を「アメリカのせいで」2%にしなければならなくなった、と言うための言い訳ずくりか?
わかりません。いずれにしても、安倍政権がたよりにしてるらしいNATOそのものが、内輪もめしてます。
■ オマケ2
書いているうちに出て来たニュース。フランスの外相が、NATOはロシアにとっての敵ではありませんと念押ししている。
French top diplomat reassures Russia that NATO not its enemy
じゃあ何のために存在しているんだって話なんだが、NATOは70年間平和に貢献してきた、第5条(自動参戦条項)だって、たった1回、2001年の911の時に使っただけだ(それによってアフガニスタンに出て行った)、だそうだ。
でも、NATOがあるからユーゴスラビアを惨たらしく憎しみの渦にして、最後はセルビアをバカみたいに78日間も空爆しまくったという話もついてくるし、東方拡大問題によってウクライナ、グルジアでまさに犬死、無駄死させられた人たちがいる。その意味で、実際本当に、西欧諸国の東方への侵略ユニットって感じだけどね。
ヨーロッパは本当に口ばっかりのダメ国家ばっかり(ダメ支配者、という意味ね。基盤まで否定するつもりはない)。そんなヨーロッパと安全保障を共にするなんて、まったく馬鹿げてる。やっぱり悪夢の三国同盟だとの考えを持ちますよ、私は。
アヘン戦争をイギリスから引き継いだ結果をワザと忘れているよう。
お元気で何より!!
いやほんと、「アヘン戦争をイギリスから引き継いだ結果をワザと忘れている」ってのが日本の現状だと思う。
ここを無視して進めると考えていたんだろうが、多分できない。