今週はトランプが国連で演説するのみならず安保理にも登場したというのが話題になっている。
アメリカはこんなに素晴らしいというパフォーマンスというか、アメリカ人向けのある種の選挙対策だったんだろうか。
しかし、別に地面というか足元の状況は変わってないどころか、シリアもウクライナも汚いゲームであることは変わらない。また、イランを異常に敵視しつつ、これを使って、中国、インドを(アメ or ディープステート)に膝を屈するようしむけようというのもあるんだろうなと思う。石油を買うな、というもの。
総じていえば、地球上の大部分の人はアメリカに不信感を抱いているという状況には変化ない。
その意味でステルス帝国は各国明の支持を失っているという意味では破綻しているが、しかし、隠然と各国の支配者層を繋いでいるわけだから、実質的には繋げている。
大戦争の時代を経てブレトンウッズの次にペトロダラーが来て、意図的なバブルと破壊の20年、30年をやっているわけだけど、でも主要国(または金持ち国)を繋いでいるというところは壊れていない。
だから、このあたりでアメリカは違うんですよ、みたいな粉をかけながら新しい(騙しの)線を模索しているのかな、などとも思う。新しい衣装を探すステルス帝国とでも言ってみたものか。
(トランプという人本人が何を言おうとも、何を考えていようとも彼を取り巻いてる人たちはかなり強硬なネオコンと介入主義者なので、彼の発言だけ見て安心するのは正しくないでしょう。)
でまぁ、この話はもう少しさかのぼるべきで、現在の戦争を使って、いやもっとあからさまに言うなら、人殺しと騙しの正当化を使って世界制覇をしようなどと考えはじめた一群が問題だという話でしょう。
私たちは多分「戦争」という語で騙されているんだと思う。過去100年か150年ぐらい地球上で起こって人々を悩ませているのは、戦争というより、支配のための争い。戦争は主体者同士がぶつかるが、後者は、誰がリーダーなのは本当はわからない。ただ、各地域がそれぞれアルカイダみたいに周辺をかきまぜてるだけ。
で、そうなるにあたって重要だったのは、マッキンダーとアメリカの中央銀行制度なんでしょう。
マッキンダーがいわゆるハートランド理論を語ったのが1904年、
そしてアメリカのFRBの根拠法Federal Reserve Act が通ったのが1913年。
第一次世界大戦がはじまるのが1914年7月。この大戦によって、欧州の没落は決定的になり、なかんづく、世界の金の7割だか7割5分だかが、アメリカに渡ったことが決定的に重要だった。
マッキンダーのハートランド理論は、こんな感じの図。だいたい、シーパワーがどうしたランドパワーがどうしたと書いてあるけど、要するに、1904年当時のアングロ・シオニストの認識として、ロシアとイランを抑えたら世界を取れると言ったも同然ってな認識を表してると読むべきではないでしょうかね。簡単だと思ったんだと思うわけですよ。
極東で日本、中東ではオスマンを解体してサウジ+イスラエル(の萌芽)を丁稚小僧にする成り行きも整ってた。中国、インドはまだ植民地にされたまんま。
で、2つの大戦があって、よし、これで全世界取ったも同然と思ったんでしょう。
アメリカも当時は、こういうマッキンダー的世界支配を英とその仲間たちによる植民地主義ととらえてそんなに好感してない側もいた。そもそもルールベルトは構想においてはアングロ・シオニスト側ではないですね。
ところがソ連はブレトンウッズ体制に入ってくんない。嫌がった。しかも赤軍ったら強い。中国共産党支配の中国も言うこと聞いてくんない。
その後、中国が表向きは非同盟諸国の雄だがソ連と仲たがいすることによって、アメの準同盟的な恰好になって、ソ連は潰れた。
が、しかし、それで何かが終わったと考えるのは間違ってて、それこそ、上のマッキンダー的な考えからすれば、やったーーー!だったんでしょう。
ロシアは内部から崩壊させて、ただの資源の場にして、日本とドイツを内陸に対する軍事拠点にして、そこに経済連携をくっつけて、ステルス的に全世界を操る、と。
しかし、どうも上手く行ってない。いってないからこそ、内陸に向けて、周辺のいうところの三日月地帯各国民を内側に向けて吠えさせる。火種ばっかりつくってるけど、でも、中露が共同しはじめると、それって、あれ、マッキンダー理論から離れてる! なわけですね。
別に何の結論もないんだけど、1904年にアングロ・シオニスト組が、世界大戦しながら俺らの好きなようにしてやるぜと考えた時より、100年経ってみると、彼らにとって状況はそれほどよろしくなくなっているというべきだろうと思う。
どうしてこうなった? 一つの大きなファクターは、ロシアのみならず中国、イラン、モンゴル、カザフ等々の内陸民は別におとしなしい木偶の坊ではなかったからではなかろうか。
昨今の出来事を見ていれば、こんな悪魔の出来損ないみたいなのの言うこと聞かなきゃならん筋合いはありまへんがな、と古い文明を持った人々ならなおさらそう思うであろう。
そして、中露が上海協力機構、一帯一路+ユーラシア経済連合で協力しあうという姿勢をこれでもかと見せている姿は、最低でもユーラシア圏内の人々にとって、出来損ない悪魔のしもべにならない道があるのだと考えさせることができただけでも、まったくの光明ですね。そして、それが何十億という人々の認識を変えていく。
■ 日本の認識問題
で、それらこれらを考えてくると、今後非常に苦しむのは日本だわなぁと思うわけですよ。というのは、折々に適当に都合のいい歴史認識、社会認識でやって来たわけだけど、それじゃもうもたないだろうと私は思う。もちろん、言語鎖国を通して完全ガラパゴス化を続けるという選択肢もなくはないけど、どうなんだろう、それってと思わざるを得ない。
そう考えながら、昨日(一昨日?)の宗純さんのエントリーを思い出す。
日英同盟→日独伊3国同盟→日米同盟
実際問題、日本の支配層の一貫した姿勢は、アングロ・シオニストの子分でいよう、って話なんだろうなとは思うわけですよ。分岐点での選択肢はそれって感じ。しかし、その途中で、内側の判断として、自分なりに最適化しているつもりにはなってる。
ドイツが欧州で勝利している間は、日本(松岡 洋右)か結んだ日独伊三国同盟で勝ち馬に乗って、欧州列強の植民地を手に入れるとの汚い火事場泥棒が成功していたのである。
この『勝ち馬に乗る』作戦ですが第一次世界大戦で日本は大成功していた。しかし、第二次世界大戦でも同じ作戦だったが勝ち馬だと思ったドイツが負けたのですべてが水の泡。大博打に失敗して日本はスッテンテンになる。(そもそもの話が、バクチとはそのような代物だった)
しかし、全体として見て見れば、世界支配を試みる側に使われてる。
これをどう整理したらいいのかというのは結構難しい話。
■ 関連
ロマノフ家のプリンスからガーター勲章まで