米大統領選挙の紛糾をよそに、10月10日、プーチン大統領はトルコを訪問して、トルコのエルドアン大統領と様々な合意をもたらしていた。
ロシア・トルコ首脳会談、ガスパイプライン建設で合意
http://jp.reuters.com/article/putin-erdogan-idJPKCN12B06I
[イスタンブール 10日 ロイター] - ロシアのプーチン大統領は10日、訪問先のトルコでエルドアン大統領と会談した。ガスパイプラインの建設で合意したほか、シリア北部アレッポへの支援が重要との認識で一致した。
今回の会談は、最大都市イスタンブールで開催されている会議にエルドアン大統領がプーチン大統領を招いたことで実現。エルドアン大統領は共同記者会見で「トルコ・ロシアの関係正常化が、速いペースで進むことに強い自信を持っている」と述べた。
この他、原発も続行。総じていえば、トルコ・ロシアの関係は去年のロシア機撃墜事件以前となんも変わりません、という感じになりつつある模様。
で、シリア問題については、ロイターの書き方では、シリア北部アレッポへの支援が重要、だけど、RTおよびプーチンとエルドアンが語っているところでは、シリアの流血の事態を止めることが重要だ、という認識で一致したって感じですよ。また曲げて書いてる。まぁいつものことですが。
プーチンの言はこんな感じ。
「ロシアとトルコは、シリアにおける流血事態の早期解消を支持している。ロシアとしては、できるだけ早く政治的決着に移行する必要があると考えている。私たちは、平和を望むすべての人々はこの提案を支持すべきだだろうと思ってます。」
“Both Russia and Turkey stand for the earliest cessation of bloodshed in Syria. In Russia we think that the switch to a political settlement must happen as soon as possible. We suppose that everybody, who wants peace, should support this proposal,” Putin said.
https://www.rt.com/news/362285-putin-erdogan-turkey-meeting/
つまり、
停戦を利用してテロリストに武装して、静かに再起を期するとかもうやめろよ、ムダだぜ、
どうするかといって、つまりアルカイダと手を切れよ、
ってことでしょう。だから政治決着なんだよね。金払ってるスポンサーこそ責任取れよ、だから。
宴の始末(15) アレッポに刺さってるWar on Terror時代
とはいえ、それを言っても言ってもできない、やらないがNATO/USAなので、仕方ないから、ロシアはトルコを絡めることで、NATO/USAの強盗集団が取れる行動を物理的に限定していっているんであろうと思う。
こういう図なので、トルコ側が封じられる、少なくともテロリスト軍団の好きにはならないというのは非常に大きい。
で、それはシリア北部の問題だけじゃなくて、おそらくトルコのインジルリク空軍基の話も含まれる、ってな感じじゃないのかな。
何を言いたいのかというと、NATO/USAが無理にシリアに突っ込むとしたら、使える基地は、
トルコ、イスラエル、サウジアラビア、イラクなわけだど、
イラクが使わせてくれるとは思えないし、イスラエルは現在相当微妙な態度で正面からロシアを敵にすることはないのではなかろうか、なので、残るはサウジとトルコ。だからここでトルコが条件によってはNATO/USAに基地を貸さないとなると、サウジしか残らない。
サウジと共にシリアを攻撃するってのは、現在の米国内の政治情勢的に、相当ハードル高い。
つーわけで、こうやって、ロシアは外交を通じてNATO/USAが無理できる範囲を縮めているのであろうと想像する。
一連のS-300、S-400配置と同様の措置。ロシア軍に危険が及ぶと察知した場合は撃ち返すと軍の参謀本部が断言してる。
となると、危険として残るのは、マレーシア機みたいな事件を起こしてくることだろうかなぁと想像。
■ ネジが緩んだんだよ by ドイツ
そこで思い出すのは、数日前のドイツ空軍の妙な行動。
German jets used in anti-ISIS mission grounded over ‘loose screws’
Published time: 7 Oct, 2016 15:37
https://www.rt.com/news/361955-germany-bundeswehr-tornado-jets/
IS対策で、ドイツはトルコのインジルリク空軍基地を拠点に戦闘機出してたんだけど、ネジが緩んでるのがわかって危険だから、飛行機飛ばすのやめました、地上に下ろしましたなんだそうですよ。
ホントかもしれないしホントでないかもしれないけど、ミッションに対しての抵抗なのかな、とも一応思う。
で、NATO内もぐだぐだなんだろうかなと思うのは、9月17日に米軍がシリア正規軍を空爆して60~80人を殺害、100人程度に怪我を負わせた事件では、同行していたのがオーストラリア軍、ベルギー軍で、その他イギリス軍がドローンを飛ばしていた。このメンバーは異常でしょう。
秘密に事を運ぶために、バレナイだろう、バレでもなんとでもなると米が考えたのがこのメンツなのか、ってところ。
しかし、単独で踏み切る根性はないんだなとも言えるね。カバーが欲しい。あくまでこれは国際的な協調だの有志だのと言いたい、と。
そういうわけで、各国いろいろあるだろうけど、これってヤバいかも、もうやめた方がよくね? テロリストの訓練は俺らはやってない、ないない、それは米が主体だし、俺らじゃない云々ってなことを日夜話してるんだろうなぁとか想像してみると興味深い。
■ オマケ
プーチン、エルドアンがイスタンブールで開かれたエネルギー会議に出席している動画。アゼルバイジャンのアリエフ大統領もいる。このへんがニコニコしていられるのなら、まぁいい感じで進められるって感触があるんだろうなと想像。
Putin, Erdogan chat during Russian president's first trip to Turkey since Su-24 downing
■ 参考
ロシアのやろうとしていることはシリア危機より大きかった
グルっていってもトルコは今もNATOの一員だし基地をNATO諸国に使わせてる状態ですし、これが変わることまではロシアは期待していないと思います。私もないと思います。西側にとっての価値は日本と双璧だと思いますね。
トルコはアレッポおよびその周辺については当面自重、北東部は米、クルドと三つ巴で協力したり反発したりする、って感じじゃないでしょうか。
アレッポは、ロシアとシリア軍、イラン軍で現状東アレッポを凍結して「政治的」な問題になったってのが重要かと思います。
つまり、イギリス+サウジ+αの悪の連合体みたいなのがテロリストと手を切らないことが問題なわけですね。資金も武器供給も航空支援もはここですから。
>トルコ軍は、今や堂々とシリア北部に侵略軍を進めて、東部アレッポの反政府軍に兵力重火器を供給することができる体制を整えました。トルコ/アメリカ/NATO側が制空権(ノー・フライ・ゾーン)を確立して、「アレッポの戦い」を勝ち抜く決意を固め、国連を主な舞台としてあらゆる術策を弄することでしょう。
http://blog.goo.ne.jp/goo1818sigeru
コレは同ブログの取り越し苦労でしょうか。また、その根拠についても教えていただけないでしょうか。
元々EUってな枠はCIAのマメな工作の産物だという説が最近出回ってるし、欧州はアメリカ覇権と共に行くしかないって感じは濃厚。ただ、最後は結局欧州軍の話が出てくるでしょう。
プーチンは10月にフランスに行く予定をキャンセルした模様。