1週間前、
正気を失ってるアメリカ、底を打てないアメリカ
と書いて、シリアで無茶苦茶なことをしているアメリカがまったく事態を収拾できないというだけでなく、直視すらできないという話を書いた。毎日毎日NYTが書き散らしたり、散発的に起こるイギリス系のデマニュースなどがニュース市場を席巻しているため人々はあっちにふらふら、こっちにふらふらのニュースしか見ていない。
で、それをかいくぐって考えてみるに、今のアメリカの混乱の要因はもちろんたくさんあるわけだけど、かなり大きな役割を果たしているのは結局これだなと思わざるを得ない。
バンデラを称えるウクライナ&欧州ネオナチ同盟
現在でいえばウクライナ、ちょっと前から見ればウクライナ、ポーランド、そしてイスラエルの形成にかかわった人々がアメリカの中でディアスポラ集団となって存在している。その人たちの動きをアメリカという国家、東欧系以外だって大量に住んでるそのアメリカはコントロールできるんだろうか?という問題。
問題の核心は、簡単にいえば、100年越しでロシアを潰すといいことありますという「希望」を抱かせてきたその集団のこと。現状でいえば、暴発してるというべきでしょう。
最初はいわゆるロシア革命の前にロシア各地で騒擾を作るために、ロシアから連れてきてアメリカ、カナダで育てた人たち。
次が、ナチスと同期してウクライナに攻めていってソ連への扉を開ける際に使った人たち。現在のカナダの外相のおじいさんがそうであったように、ナチス・コラボレーターとして現地で多数の惨いことに手を貸していた人が、WWII後、アメリカ軍に拾われて、主にカナダに移住した。
「西側ではナチズムが生きている」カナダ編
ここで、上のもともとのロシアからの移民団の反ロシア主義とくっついて、アメリカ、カナダの中には、ポーランド系ディアスポラ、ウクライナ系ディアスポラ、ロシア系ディアスポラという在外集団が形成される。
それらの人たちは戦後、冷戦という名のもとに過激な反ソ連を求めるアメリカの軍産やらCIAと話があうわけだから、そこで力を得ていく。
人数がいれば選挙民団となる。
しかし、冷戦はいろんな要因から、結構大人の人たちが出張って行ってソ連崩壊という形で終わった。
するとこのディアスポラ集団はどうなるのか。
解体できず、ここがNATO東方拡大政策への強い支持層となる。
この人たちにしてみたら、弱ったロシアをアメリカと一緒に叩けることの幸福こそ、待ちに待ったチャンスって感じだったでしょう。
クリントン夫の時代に、NATO東方拡大が決まったんだが、その頃の雑誌の記事。選挙でのポーランド人を無視しない方がいい、とある。Better not ignore the Poles at the polls
検索したところによればU.S. News & World Report、1997年7月
NATO東方拡大は、そもそものソ連封じ込めのアーキテクトだったジョージ・ケナンや軍のリアリスト系の人たちが大反対だった。
拡大しない、という約束でソ連側の軍事力を解体させておきながら生き残って自分だけ拡大してロシアを再び敵にするという、信じがたく信義のないやり方になっているのが現在のアメリカ。
NATO東方拡大:ゴルバチョフはマジで約束されていた
■ 大統領よりエライ気になっちゃってる人々
で、これらディアスポラ集団を無視できないのは、選挙民として票を持っているという点のみならず、オバマ政権でヨーロッパ担当の大統領補佐官のビクトリア・ヌーランドが、当時のウクライナ大使と一緒に明らかにマイダン革命を教唆していた側にいたことで見られるように、安全保障系のシンクタンクや国務省、国防省といった中に入って、政権に近づいている。あるいはシンクタンクやジャーナリズムで「大活躍」する。
そして、現在トランプの弾劾問題を画策した1人のおじっちゃんはウクライナ・ディアスポラ集団の1人。
事前に準備した文書の中でビンドマン中佐は、トランプ氏が7月25日にウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領と行った電話会談の際、ゼレンスキー氏に圧力をかけているのを聞いたと述べた。この電話会談が弾劾調査の引き金となった。
https://www.afpbb.com/articles/-/3252154
電話会談を聞いたビンドマンは、大統領のこの行動をよろしくないと判断して、それを外にもらして、そしてそれが弾劾調査のきっかけとなる。
ビンドマンは軍から安全保障会議(NSC)に出向しているスタッフだから、そういう現場に立ち会った。
これはもう、軍人関係者からしたらあってはいけない事態を目の前にしているとしかいいようがない。
ビンドマンはスタッフ、トランプは公選で選ばれた大統領。
それをビンドマンが、トランプの方針はダメだと判断して敵対勢力と共に行動するというのは、あらゆる組織において基本的にダメだとされるだろうが、まして軍にあっては、大統領という司令官の行為を覆すよう外部ソースと連絡して大統領の首を取りに行っているというんだから、これってつまり謀叛でしょう。
だけどそういうふうに言挙げしてしまうと軍の方にも責任が・・・みたいなところでもちゃもちゃやっているんだろうと思う。後ろで。
NYTとかワシポなどは、大統領の命令が違法であればスタッフは従わなくてもいい、というロジックを使って正当化しようとしている。
だがしかし、アメリカの大統領が小国の大統領に仮に脅しをかけたとして、そんなことは違法か????? というか、違法か否かの前に日常だろうとしか思えない(笑)。
で、ビンドマンにしてもNYTで一生懸命記事書いてる関係者にしても、この人たちは自分たちが何をしでかしているのか全然わかってない。というより、悪いとは1ミリも思ってないでしょう。つまり、
犯罪者となるとも私は無罪だ、ってのは、犯罪者と断じた側に非がある場合に、後世の人が、まさしくその通りと認めることがある、そういう場合に使うもの。
しかし、この人たちは生きながら、世俗の法も宗教的な道徳的慣習も踏み越えて、私は無罪だ論を展開しているという点で、通常、どこの世界でも狂人と呼ばれるべき範疇に入っている。
まさしく冒頭の記事の通り正気を失っている。
正気を失ってるアメリカ、底を打てないアメリカ
こういうフェーズに入ってる。
そして社会としてアメリカはこういう人たちを処罰できていない。そもそも、全体として自分たちがシリアに違法に入り込んでる、約束やぶってリビアのカーダフィーを殺害する etc.と、もう無茶苦茶になっていることから、どこかで示しをつけるということがでてきない社会になっているとも言えるでしょう。
■ ウクライナ人ディアスポラ集団
上のビンドマンについては、さすがにアメリカ人で軍歴のある人たちの中にはピンと来て、これはダメだ!とわかる人もいるわけで、そういう人たちが一応苦言を呈している風ではある。また、軍が完全放置ということはないだろうと私は思う。
が、ともあれ、自分たちの間にあるそれらのディアスポラ集団、つまり移民集団の問題にまではなかなか手が出せていない感じがする。よくわかってないしね。
しかし、この件については、当然ながら、ロシア系にはよく見える。また遠慮しなければならない理由もない。ということで、みっちり探し出してきている人もいる。Moon of Alabamaさんもドイツ系なので、関係なくいろいろ探していた。
昨日私が見つけたのではこれが詳しい。でも詳しすぎてちょっとやそっとじゃ読めないから特におすすめはしないけど。
Alexander Vindman – Why Diaspora Ukrainians are Driving Sedition
http://thesaker.is/alexander-vindman-why-diaspora-ukrainians-are-driving-sedition/
要するに、ビンドマンに限らず一部のアメリカ人だがウクライナ人だという人たちは、そもそもバンデラ主義者が打ち立てるウクライナの強い利害関係者なわけね。
だから、アメリカでの発言はアメリカ人として、アメリカにとってウクライナがどれほど戦略的価値があるか、ロシアの侵略を共に防ぐのだという、馬鹿なことだがアメリカ人が大した考えもなく放置してきた路線を熱心に語るところだけで終わるんだが、ウクライナでは自らがビジネス関係者になっている。つまり、しっかり金がかかってるようだ。
(ということは、ここからビンドマンのアメリカでの職務とウクライナでの利害を鑑み、利害相反からビンドマンの行為の違法性を構成するという手もありそう)
そう考えりゃバイデンだって儲けたくなるわな、と笑ってみたい気もする。バカバカしいが。
で、それら在米ウクライナ集団は結託して、2016年の大統領選挙の時からトランプの追い落としを画策していたことが知られてる。
そりゃそうでしょう、だってヒラリーと共に現在のバンデラ・ウクライナが出来て、その主たる正当化としては、ロシアの侵略を防ぐためには共同で、NATOの敵はロシアという説明が必要になる。
そこにトランプが出てきて、ロシアとの関係改善をいい、ウクライナ問題はオバマの問題だという態度を取った。
なんとしてもトランプを倒さないとならない、となって、そこで、トランプの他のアジェンダに反対するイギリス系の情報機関やら民主党ヒラリー派、軍産、CIA、FBIといった勢力と共通の利害を持ち、そのまま過去3年間、なんとかしてトランプを追い落とそうと画策している、と。
実に壮大に馬鹿げてる。
■ ポーランド、ウクライナ、イスラエル
ポーランド、ウクライナ、イスラエルというのはみんな一緒だなと思って見ていると結構見えやすいと思う。
反ロシアの急先鋒となって暴力団になりますから、その代わり私たちに国を作ってください、というスタイルでここまでやってきた。
で、やったはいいけど、そこで働いた人たちが目的を達成したら理性的に、あるいは雇い主にとって扱いやすい存在になるとは限らないというのが実に深刻だった。
思い出すのはイギリスのチャールズ皇太子が中東を訪問した折の書簡を巡って小さな波風が起きたこと。
チャールズ皇太子の1986年の書簡
ともあれ、このレターはなかなかいい味だしている。38歳のチャールズ皇太子はあんまりいろいろ知らなかった風で、
- アラブの人たちはがイスラエルを米国のコロニーと見ているとは知らなかった
- アラブとユダヤは両方とももともとセム語族で、大問題を生み出す一因となったのは外から来た、欧州ユダヤの流入(彼らは特にポーランドからだという)
- いろいろ複雑な問題があるのは知ってるけど、でも原因を取り除かない限りテロリズムを終わらせることはできないでしょ?
- アメリカの大統領か誰かが米国のユダヤロビーと対決する勇気を出さないとならないのではないの? 私はナイーブなんだろうけど。
-
誰でも知ってるような知らないようなイスラエル関連が話題
冷戦が終わって、フェアにみんな見ちゃいましょうという世の中になると困ると思った人たちは、何も軍産だけではなかったということですね。
やたらに軍産だけ、あるいは英王室だけをターゲットにしている人たちは、根本的なこの200年の歴史、あるいは隠し事の集積とでもいうべきストラクチャ―を知らないか、あるいは知ってて加担しているかのどっちかだと思うな。これはもう複合汚染みたいなもの。
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